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〈盗作〉の文学史〈盗作〉の文学史
(2008/07/01)
栗原 裕一郎

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 休日にレヴィストロースを読んでいて挫折したので、代わりに読んだ本。

 盗作の批判にさらされた作者。

(1)大藪春彦:デビュー作の「野獣死すべし」が「フランク・ケーン」の「特ダネは俺に任せろ」の盗作。

(2)山崎豊子:「花宴」、エーリッヒ・レマルクの「凱旋門」の盗作、「不毛地帯」は自費出版のいまいげんじの「シベリアの歌」からの盗用がある。ちなみに「大地の子」は裁判になったが山崎氏の勝訴。

(3)丹羽文雄「親鸞の再発見」では、仏教研究家の林田茂雄「たくましき親鸞」からの無断引用あり。

(4)NHKの「春の波涛」が山口著の「女優貞奴」の翻案権を侵害しているとの訴訟は、NHKの全面勝訴。

 このあたりの判決の読み方はもうちょっと勉強が必要。要はこの本の説明ではよくわからない。

 まあ、本当に大御所から新人まで盗作ばかり。アイディをどこまで換骨奪胎すれば許されるかという線引きと、特に野フィクションぽい小説はもとの事実を原典に当たっていない場合には、どこかの本からとっているので、そのまま書き写すと無断引用になってします。まあ、正直に引用と書くとか、参考文献にあげて、多大な情報をいただいたとか書けば、事実上は済む話かも知れない。

 自分も論考を書くときには、丁寧に引用や出典をかいているつもりだが注意しよう。

 でも、盗作の事典をつくっちゃう著者の好奇心には脱帽。
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戦後世界経済史―自由と平等の視点から (中公新書)戦後世界経済史―自由と平等の視点から (中公新書)
(2009/05)
猪木 武徳

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 ライフネット生命の出口さんの推薦。

 キンドルで通勤途中で読んでいた。

 最近の経済史となりと、欧米とか日中韓とか話題になるけど、意外とアフリカの独立後とか、東欧のソ連崩壊後の状況とかわからない。

 アフリカは英仏が中心になって勝手に植民地化して、英仏が維持できなくなって、独立を果たしていくという、悲惨な状況が背景にある。特に著者は、「経済の政治化」「悪しき政治」つまり、強すぎる国家、単一政党、軍隊、国営企業があらゆる経済進歩を妨げているという。(位置no.2680-2683)

 また、最近の研究では、宗主国から官僚機構をはじめとするヨーロッパの経済制度、社会制度を移入して統治したケースの方が、宗主国から医師、宗教家を除いて移り住むものが少なく、主として宗主国が鉱物を収奪するケースよりも、圧倒的に経済的なパフォーマンスがいいこと、特に、私的財産権を保証する政治体制であることが経済成長に不可欠だという。(位置no.2687-2691)

 あと、あまりこの本では触れていないが、ソ連崩壊後の東欧諸国の経済状態、また、金融危機というかデフォルトをおこしそうなアルゼンチンなどの南米の状況など、日頃経済の情報が少ない分野も、あっという間に日本の金利や株価に影響があるので注意が必要。

 あと、金融危機のときにいつも話題になるIMFの再建モデルが問題になっていることも要注意。財政切り詰め、金利の上昇といった経済縮小策が、本当に金融危機に陥った国に適切な対策などのかどうか、について経済学者の中でも議論になっていることも注目に値する。
 
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変わった世界 変わらない日本 (講談社現代新書)変わった世界 変わらない日本 (講談社現代新書)
(2014/04/18)
野口 悠紀雄

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 極めて正統的な経済学者の意見。これが日本の経済社会で常識にならないから困るんだよね。

(1)EUの前身であるEECは、農業国フランスの利益のためのものだ。ドイツは政治的な理由から、これに従わざるをえなかった。ユーロとは、ドイツに鎖をつけ、強いマルクを引きずり下ろすための装置だ。ユーロは、リーマンショック後に問題を起こすことになった(位置No. 304-307)

(2)日米経済の差は、「価値の低い伝統的な企業」と「価値の高い新しい企業」の差なのだ。日本経済は依然として前者の企業に支配されているのに対して、米国の経済は後者の企業がリードしている。(位置No. 1164-1166)

(3)1単位の付加価値(雇用者報酬と営業余剰)に要する電気・ガス・水道の投入について製造業と金融・保険業を比べると、前者は後者の10・4倍だ。したがって、「産業構造を変えて電力需要を抑制する」とは、製造業の比率を低め、その代わりに金融業のような生産性の高いサービス産業の比率を高めることである。(位置No. 1992-1995)

(4)国債の返済能力を疑われた国の通貨が暴落した例は、70年代のイギリスとイタリア、97年の韓国やタイ、98年のロシア、2001年のアルゼンチン、08年のアイスランド等々、枚挙にいとまがない。  財政破綻とインフレ(そして通貨下落)は、同義語と言ってもよいほどいっしょになっている場合が多いのである。(位置No. 2242-2246)

(5)日本人が外国人を拒否するのは、「異質なものを排除したい」という感情があるからだ。「外国人であること、異質であること」だけの理由で拒否する。こうしたクセノフォビア(外国人恐怖症)的国民感情を変えることが必要だ。  そして、資本と人材を海外から導入することによって、旧システムの核心を破壊することを考えるべきだ。海外からのものは、異質だから破壊者になりうるのである。(位置No. 2725-2729)

財政危機は待ったなしの状況まで来ている。今までの製造業を中心とした古い生産性の低い産業から、生産性の高いサービス業など、新しい産業転換が迫られている。それは、変な産業保護や既得権の保護をやめて、世界経済の市場にさらされる中で生まれてくるもの。

 一定のターゲットとなる産業を政府や役人が見つけて後押しできるものではない。

 何度も失敗してきた成長政策の失敗を繰り返してはならない。民間の自由な競争と海外と対等に戦える人材を育てていくことにしか日本の活路はない。
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ゲーテとの対話 上 (岩波文庫 赤 409-1)ゲーテとの対話 上 (岩波文庫 赤 409-1)
(1968/11/16)
エッカーマン

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 日垣古典塾の先月の宿題。ずっと積ん読になっていたが、読み始めたらおもしろい。岩波文庫とは思えないぐらい。

 ゲーテの言葉が鋭い。メモったエッカーマンという人もまめだよね。

(1)後退と解体の過程にある時代というものはすべていつも主観的なものだ。が、逆に前進しつつある時代は常に客観的な方向を目指している。現代はどうみても後退の時代だ。というのも、現代は主観的だからさ。(p262)

 プロシアがナポレオンに勝て、これからドイツ帝国ができるという時代を主観的という。今からみるとドイツが成長していた時代のようにみえるが、主観的だからだめという発想。なんとなく、大事な気がする。

 情緒的、事実に基づかない雰囲気といったら、現在にも当てはまるか?

(2)多くの専門を外観し、判断し、指導することを本分とする者は、またできるだけ多くの専門にわたって洞察できるように努力すべきである。(p233)

 そのとおり。

 学ぶ対象に限度はない。常に学ぶことばかり。


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近代以前 (文春学藝ライブラリー)近代以前 (文春学藝ライブラリー)
(2013/10/16)
江藤 淳

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 内田樹さんが解説を書いていて知った本。

 江藤淳の後半生の政治思想とは関係なし。むしろ、本業の文学史、それも江戸を中心とした近世。

 藤原惺窩、林羅山、近松門左衛門、井原西鶴、上田秋成、一冊も読んだことがないが、その一人一人に対して、定説で言われているよりも、もっと丁寧に日の光をあてて、再評価をめざしている姿勢に同感する。

(1)近松らの江戸期の隠者にかぎらず、日本文学の持続がつねに時勢の転換によって生き埋めに去れかかった人々の手で維持されてきたのは、注目すべき事実である。(p147)

要は、近世の芸能の原点は河原乞食、その下層に鬱屈したエネルギーとそれと垣間見ようとする普通の人たち、あるいは貴族などが、続けてきたのが、歌舞伎であり、浄瑠璃であり、文楽ということを言っている。

 そのような表の世界とは別の裏の猥雑な世界から芸術が生まれ、そして生き続けているという事実は、なるほどと思うが、やはり驚きだ。
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プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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