法律学 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official
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国家緊急権 (NHKブックス No.1214)国家緊急権 (NHKブックス No.1214)
(2014/04/19)
橋爪 大三郎

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 タイトルで購入。自民党改憲案で緊急政令の規定を設けているので、勉強のための購入。

 まず、本書の最後の参考の部分に、国家緊急権についての憲法学者の学説、内閣法制局の答弁、ドイ基本法の条文など各国の条文、日本の法律で緊急事態を扱った条文がついていて、勉強に便利。これだけでも購入の価値あり。

 次に、国家緊急権について、著者は、国家の存亡をかけて緊急事態に陥ったときには、憲法制定権力をもつ国民の委託を受けて、政府機関が憲法秩序、法律秩序を乗り越えて、一定の期間に限って、権力を行使することをいう、と整理している。国家緊急権は政府機関が行使するもので、軍隊が行使する戒厳令とはそもそも違うこともちゃんと意識したい。

 その上で、著者は、憲法にその規定をおく必要はないし、おくべきでもないという。

 憲法に規定をおくべきでないという理由としては、本来国家緊急権を発動した政府機関のトップは、緊急事態が終了した後、裁判にかけられることもありうるという覚悟で行うべきであり、憲法に規定することで安易かつ合法的と誤解して憲法秩序を越えた行為をしかねないし、また、論理的には、すべての緊急事態を踏まえた規定を憲法に明記することはできないからという。

 前者の観点には同意する。後者については、検証が必要だが、あらかじめ想定されることはむしろ法律に規定すべきと考える。

 自分は、防災法制を担当した経験からいうと、そうは言っても、自然災害、戦争状態などの緊急事態に生じたときに、あらかじめ想定できる緊急的に対応すべき事柄については、知恵を絞って、あらかじめ法律に規定しておくことが必要と考える。

 例えば、災害対策基本法では、緊急事態制限をした場合には、物価統制、配給、金融モラトリアムなどの措置が政令でとれることになっていて、事後的に国会の承認をえることになっている。

 そのような措置をできるだけ充実させておくことが、例えば自然災害に対しては、防災担当の官僚の努めだと思う。

 同様の緊急事態における医者や運送事業者などへの従事命令などの規定は災害救助法にもあるので、一度、災害法制全体からみた、緊急事態における強制的な措置について、整理してみたいと思う。

 前回の災害対策基本法では、国家緊急事態において緊急政令を行うべき事態は、先にあげた三つ以外には想定できなかったので、改正をしなかったが、もう一度よく検証してみたいと思う。
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街場の憂国会議 日本はこれからどうなるのか (犀の教室)街場の憂国会議 日本はこれからどうなるのか (犀の教室)
(2014/05/01)
内田樹、小田嶋隆 他

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 内田樹さんの名前を見つけて購入。

 国民の生活環境とか、国民の格差の是正などを維持することを中心にして、いわゆるリベラルな論陣を張っている人たちが、今の政治風潮に何を危惧しているかがわかる本。

 市場のメカニズムを尊重に世界との競争を中心に考える、新自由主義の人たちの対極にあるが、新自由主義によって、経済の維持成長をはかる、エンジン部分と、社会の格差が広がらないように、また市場メカニズムからこぼれた人たちに、社会保障的な観点から支援を行う社会の支えとなる部分は両方必要で、特に、後者では、税金で対応すえき部分が大きくなる。

 その意味で、新自由主義的な考え方と社会民主主義的な考え方は、分裂するものではなく、融合しつつ、政策のバランスを考える必要がある、というのが自分の立場。

 この本で、大事だなと思った点。

(1)内田樹:「国政においては、次の世代のこと、次の次の世代のことまで考えなければならない。そのために民主政がある。」(p39)

 民主政は、チャーチルがいうとおり、あまり優れた制度ではないが、これまで歴史上試された制度の中では一番ましなもの。ただし、決定に時間がかかるし、国民の意見集約など手間もかかる。しかし、それは、過った判断をしないため、また、したための国民への損害を最小限にするために歴史から学んだ結果であるので、誰かが単独で、一気にきめていいものでないということが、民主政のルールであることを大切にしたい。

(2)高橋源一郎「民主政というのは「複雑なものを複雑なままで理解する試み」」(p132)

 政治家は忙しいから、すぱっと一言で言わないと頭に入らない。しかし、制度とそれを形成してきた歴史的事実、あるいは国際的な状況は極めて複雑、この複雑なものを、それ自体といていとわない、そういう姿勢が大事だし、政治家を支える公務員には重要な認識だと思う。

(3)中野晃一:19世紀後半から20世紀前半にかけてのイギリスの「新しい自由主義」とは、単なる自由放任主義を越えて、「人間が本当の意味から自由であるには、衣食住や基礎教育などの社会基盤があることが前提で、そうして始めて人は人らしく自律し、自己決定をすることができる。」(p204)

 これは、きちんとした、穏健で中庸な判断をするためには、きちんとナショナルミニマムが制度によって支えられていることが大事だと言っていて、自分が先に述べた、市場メカニズムの尊重と社会民主主義的な観点からのナショナルミニマムを支援するという発想と同じだと思う。

 なにごとも極端に走るのは、テンションがあがって気持ちがいいけど、日本の歴史、世界の歴史からみれば、テンションがあがって浮ついている時代に正しい政治決定はできない。落ち着いて、民主政をみんなで支える思想を、できのわるい制度としりながら、ちゃんと守っていくという、粘り強い思想の力が必要だと思う。

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絶望の裁判所 (講談社現代新書)絶望の裁判所 (講談社現代新書)
(2014/02/19)
瀬木 比呂志

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 いろいろちまたで話題になっている本。

 裁判官であった著者が、途中で退官して明治大学の先生になり、裁判官官僚制度の生息感、上意下達システム、質の劣化などを具体例をあげて厳しく指摘している。

 読み終わって、これは結構、日本の政治社会システムの危機だなと思った。

 自分も法律をつくるときに、内閣法制局にかようが、そこでは、最終的に違憲判決がでないように最新の注意を払いながら、法律を立案する。その過程で、平等原則とか基本的人権、比例原則など、政策立案の基礎をたたき込まれてきた。

 もちろん、政治家でも、最高裁の判決がでれば、それに従わざるを得ない。一票の格差も最高裁の判断によって、ようやく是正の動きがでてきている。

 いわば、裁判所システムは、行政、国会の精神的なストッパーになっていて、その判断を抽象的には常に意識しながら行政や国会の立法活動が行われているのが実態。

 この最後の砦がこれだけ、上意下達システムにおかされ、また、質も劣化しているとなると、個別の訴訟事件で不適切な判決がでてくるだけでなく、立法活動などにも歯止めがなくなってしまう。

 なんとなく、司法改革に対する最高裁事務総局の動きは不透明な感じがしたが、ここまで腐っていたのか。

 自慢じゃないけど、行政の官僚システムの方がもう少し緩やかだし、自由で、本音と正論がいえる雰囲気がある。前向きの政策をつくる行政と、受け身の判断をする司法システムの違いかもしれないが。

 ここは、こういう裁判官の声を素直にききつつ、同じ司法システムの中の検察官や弁護士の意見も聞きながら、司法改革をきちんとしていく、国民が、最後は裁判所が頼りになるという仕組みをきちんと再構築していく必要があると痛感した次第、
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憲法改正のオモテとウラ (講談社現代新書)憲法改正のオモテとウラ (講談社現代新書)
(2014/02/19)
舛添 要一

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 舛添さんとは仕事がら直接話したことはない。自民党本部で当時の片山虎之助先生にくっついて歩きながらレクしているのをみて、随分、卑屈な感じで話す人だなと思った記憶がある。

 この本は、小泉政権時に自民党新憲法起草委員会で事務局次長をつとめ、実際に法文化の作業をされた経験を踏まえて述べている。

 大事がことは、舛添氏が、憲法は、法の支配、すなわち権力者を国民が縛るものという立憲主義をきちんと理解していること。当然、天皇や国会議員などの公務員が憲法を遵守する義務を規定した第99条は存置すべきとしている。

 また、全文で、復古調な言葉使い、伝統や文化などの価値観の分かれる言葉をつかうべきではないとしている。これは、両院の3分の2の賛成をえるためにも必要といっている。

 自分はそれ以上に、多くの国民の多様な意見を反映した形での憲法改正、社会的包摂性のある改正を考えるという観点からも特定の復古的な考え方を憲法前文にいれるべきではないと考える。
 
 また、家族については、国が保護するということを書くべきで、相互に家族が扶養に扶助するとういのは、家庭内の道徳の問題で憲法の扱うべき問題ではないと考えている。

 きちんとした憲法教育を受けた人間であれば、当然と思われることが、今の第二次というか最新の憲法改正案ではないごしろにされているのではないか、という指摘について、憲法学者など法律関係者はもっと声を上げるべきだろう。

 ちなみに、私は、憲法第99条に基づき、国家公務員は憲法を遵守する義務を負っており、採用のときにも宣誓しているので、現行憲法を遵守する立場です。
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民法改正: 契約のルールが百年ぶりに変わる (ちくま新書)民法改正: 契約のルールが百年ぶりに変わる (ちくま新書)
(2011/10/05)
内田 貴

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 今日はちょっとマニアックというか、法律に関心のある人の話題。

 日本の民法は、親族相続編を別にすると、明治時代からほとんど内容が変わっていない。

 極めて抽象的な文章で民法自体ができているし、その上にドイツ民法をよく勉強した我妻栄先生のドイツ流の解釈学と、さらに抽象的な民法をうめる膨大な判例がでていて、民法だけ読んでも、きちんとした判断ができない。

 従来から同様に不明確だった会社法などは大改正をすでに行っており、次は、民法ということで、東大の先生だった内田先生が、東大をやめて法務省の参与になって、民法改正の作業を進めている。

 約款の問題、事情変更の解釈などいくつか技術的な論点も触れているが、多くの文章はなんで、今民法を改正するかの説明にある。

 最も説得力ある説明は、日本の現在の民法のような不透明な形では、国際取引のなかで活用されず、他国の法律がデファクトスタンダードになってしまうということ。要は日本の国力がそれによって阻害されるということにある。

 それに加えて、是非、法律を読んだだけで、内容がわかるような民法にしてほしい。

 そうはいっても、会社法の現状とかみると、巨大な条文数になってしまってかえって、なにがなんだかわからない、コンメンタールが暑さ15センチぐらいになっちゃっているので、民法がどれだけわかりやすくなるかは疑問もある。

 いずれにしても、行政法も大事なところ、例えば、国家賠償法と民法の不法行為など、民法の知識が土台となっているので、法律事務官は、民法改正の状況を随時きちんと把握する必要があると思う。

 ちょっと、今日はマニヤックですいません。
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プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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