2010年12月 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official
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近代国家への模索 1894-1925〈シリーズ 中国近現代史 2〉 (岩波新書)近代国家への模索 1894-1925〈シリーズ 中国近現代史 2〉 (岩波新書)
(2010/12/18)
川島 真

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岩波新書の中国近現代史の第二巻。

 これも、既刊の第一巻、第三巻と同様に、中国の歴史を丁寧に分析した好著。

 この本は、日清戦争ぐらいから、辛亥革命ぐらいまでを扱っている。

 全体を通じた理屈とか史観とうのものがないので、ごちゃごちゃした感じはするが、実際、ごちゃごちゃした事実の積み重ねなので、むしろ、事実を正確に記述する著者に好感を持った。

 新たに知った事実。

①日清戦争後の遼東半島の三国干渉については、李鴻章は事前にしっていて、下関条約を結んでいた。(p10)

②日清戦争後の光緒帝による光緒新政では、近代化に伴う西洋への劣等感の裏返しとして、中国国内での中央、漢民族の優越感と周辺部への蔑視感が生まれた。(p77)

 これは中華民国になってから特に顕著で、五族共和をうたいつつ、モンゴルや新彊、チベットでの紛争に結びついていく。(p146)

③第一次世界大戦のあとのヴェルサイユ条約は、日本の山東利権が含まれていたので、中国(当時の北京政府)は条約を締結せず、ドイツは単独で講和条約を結び、様々な不平等条項を撤廃した。

 これが、その後の中国とドイツの軍事面を含めた友好関係の始まり。(p187)

 上海事変のときに、ドイツの軍事顧問によるトーチカが築かれていたなど、シナ事変の際にドイツの影がちらちらする理由がわかった。

 次のシリーズ本が楽しみ。
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プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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