2012/02/27
『地方自治を掘る』を読んで、自治省の仕事だけが地方自治ではないのになと思う。
地方自治史を掘る―当事者たちの証言 (2010/02) 東京市政調査会 商品詳細を見る |
『地方自治史を掘る』の後半を読んだ。
旧自治省の役人の対談が後半は多い。
(1)西村清司さんの語る、第一次地方分権改革。当時、都市計画課の課長補佐をやっていて、当時の議論を記憶している。地域住民の生活改善につながるように誰が都市計画決定すべきか、その場合の広域調整をだれがやるのか、大都市圏での広域調整は誰がやるのか、といった議論について、あまり議論が詰まらなかった。別に建設省の役人が権限移譲に抵抗したというより、どうしたらだたでさえ難しい都市計画決定手続きを、少ない技術者でどううまくやったらいいのか、という課題だと思って、一律的な建前論に反論していただけ。ちょっと西村さんの話はきれい事。(p379)
(2)二橋正弘さんの「地方に対する思いをもった大臣がいなくてはいけない」(p417)は、まさに、自治省の本音なのだろうが、本当に地方分権が進んで、地方が主体的、国と対等の立場になるのであれば、国の大臣に地方公共団体の立場を代表する大臣がいるのだろうか。自分は、被災地の復興を今担当しているが、被災地の市町村にどうやって使いやすい資金、制度をつくるかについて、日々悩んでおり、この点について、旧自治省の役人にまける気はしないな。
(3)石原信雄さんの、1985年の国庫補助率の削減についての決着は、さすが大物次官という雰囲気がよくでている。石原さんの言うとおりであれば旧自治省もあきらめるという雰囲気で調整を一任されるのはさすが。今は、省庁が合併したこともあり、事務次官にすべてお任せするという感じでの調整ができないのが残念。
いずれにしても、後半部分は、ほとんど旧自治省関係ばかりなのだが、地方自治史を掘るのであれば、都市計画行政など、旧内務省が担っていた内政部分をもう少しとりあげたら、おもしろかったのになと思う。