地区防災計画を、復興まちづくり・防災まちづくりに活用する視点(私案) - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

--/--/--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
pagetop

2013/12/24

地区防災計画を、復興まちづくり・防災まちづくりに活用する視点(私案)

地区防災計画を、復興まちづくり・防災まちづくりに活用する視点

1 地区防災計画の特徴(災害対策基本法(以下「同法」という。)第42条第3項、第42条の2)

(1) 地区防災計画は、市町村の一定の地区にいる居住者や事業者を提案主体として位置づけていること。都市計画法の地区計画でも提案できる者は土地所有者、借地権者に限定されているのに対して、地区防災計画はそこに住んでいる住民、そこで事業をしている事業者を対象にしていること。

(2) 定められる内容が、予防段階での防災訓練、防災活動に必要な物資や資財の備蓄、災害発生時の住民や事業者の相互の支援など、地区の防災活動について、広く対象としていること。

(3) 地区の居住者や事業者は、共同して、市町村防災会議に地区防災計画の素案を提案できる。この場合に、過半数とか3分の2といった厳密な要件は存在しないこと。

(4) 市町村防災会議は地区防災計画を定める必要性の有無を判断して、必要性があると判断したときは、市町村地域防災計画に当該地区防災計画を定めなければならないとされている。必要性があれば市町村に策定を義務づけていること。

(5) 市町村地域防災計画に地区防災計画が定められた場合には、一定の地区の居住者や事業者は自動的に、その計画に従って防災活動をするよう努力義務が課されることになる。これは計画の提案については、全員同意が事前に必要でないにもかかわらず、法的には緊急時などに地区防災計画に従う努力義務が全員に発生することを意味すること。

2 地区防災計画に関連する災害対策基本法上の法制度

(1) 緊急避難場所の指定(同法第49条の4)
市町村長は、洪水、津波などの以上な現象ごとに、緊急時に一時的に避難する緊急避難所を指定しなければならない。

(2) 避難行動要支援者の名簿の作成及び事前の開示(同法第49条の10、第49条の11)
市町村長は、避難において支援が必要な者の名簿を、個人情報保護条例の規定にかかわらず、他の目的で作成された名簿等を活用して、その氏名や住所又は居所などを内容とする避難行動要支援者名簿を作成しなければならない。
また、市町村長は、本人の同意を事前にえることを前提として、民生委員など避難行動の支援の実施に係わる関係者(その範囲は市町村地域防災計画に定めるものとする)に対して、名簿情報を提供するものとする。

3 逃げ地図の作成から地区防災計画の策定までのプロセス(案)

(1) 自治会長などを通じて、一定のまとまりのある地区の住民及び学生に声をかけて、逃げ地図作成の地区協議会を実施し、逃げ地図(注1)を作成する(注2)。

(2) 当該逃げ地図では、東日本大震災の被災地では、今次津波の到達点を起点とし、当該被災地以外では、過去、最大の津波の遡上ラインと道路の交点を起点として、津波到達時間までに避難できるルートを明らかにする。

(3) 津波到達時点までに避難できないルートがある場合には、ショートカットする避難路の整備、津波避難ビルの指定など、地区住民が了解できる案を作成する。

(4) 逃げ地図のその起点の周辺に緊急避難場所が市町村によって既に指定されていれば、その指定緊急避難場所を記載し、まだ、指定されていない場合には、地区住民で話し合って、必要と地区住民が考える指定緊急避難場所を記載する。

(5) また、避難行動要支援者名簿が既に当該地区に提供されている場合(注3)には、その要支援者ごとに具体的な支援の方法(例えば、自動車で例外的に避難することを認める)を地図にポイントを落として記載する。当該名簿が提供されていない場合には、提供された段階で記載を追加する。

(6) 観光地などにおいては、旅館など事業者に対して、観光客に対する逃げ地図の周知を努めることを記載する。

(7) 以上の内容、具体的には、逃げ地図、緊急指定避難場所、避難行動要支援者の居所と避難方法、旅館など事業者の観光客への周知活動、などを記載したものを、当該地区協議会で了解したうえで、地区協議会名、区長名あるいは自治会長名など、そのまとまった地区を表現する代表者名(注4)で、○○地区防災計画の素案として、市町村長に提出する。

(8) 市町村長は、通常、地区の協議会が当該地区の地区防災計画を策定すると考えているのに対して、当該地区防災計画の策定が不要と判断することは想定できない(注5)。地区防災計画の内容のうち、緊急避難所の指定、避難路の整備、避難行動要支援者名簿の提供状況など、市町村の対応状況を確認し、市町村としての実現可能性をきちんと踏まえた上で、市町村防災会議において、○○地区防災計画として、市町村地域防災計画の一部に定めることとする。

(9) なお、避難路の整備、避難ビルの指定や避難タワーの建設など、避難施設の整備にあたっては、都市計画マスタープランにも位置づけるとともに、国土交通省都市局の都市防災総合支援事業の支援を受けることが可能となる。(なお、都市計画マスタープランへの位置づけは、当該支援事業に必須ではない。)

4 地区防災計画の策定と復興まちづくり

(1) 地区防災計画が策定されたばあいについては、例えば、津波を前提したものであれば、当該地区において、既往最大規模の津波、つまり低頻度(1000年に1回)の津波に対しても、地区住民や事業者の共助によって、少なくとも人命は助かる枠組みができたといえる。

(2) これを前提とした場合には、高頻度の津波(数十年から百数十年の津波)に対しても、人命は助かる枠組みができていることから、復興まちづくりの観点から、高頻度の津波を前提とした天端高よりも、地区住民が低い天端高での海岸保全施設を求めた場合について、地区住民が避難することにより生命が助かる仕組みで十分としているのに、海岸管理者がその地区住民の意思を乗り越えて、高頻度の津波を前提にした天端高を主張する根拠はなくなると考える。

(3) また、海岸保全施設の天端高さの計画が既に定まっていても、まだ未竣工の段階で、復興まちづくりの宅地が整備され、住民の居住や事業者の事業は始まることになる場合にも、既往最大津波での避難計画を地区防災計画で策定しておくことによって、住民や事業者の不安を抑制しつつ、早期の生活や事業の再建を進めることが可能となる。

5 地区防災計画と防災まちづくり

(1) 東日本大震災の被災地以外での高頻度の津波、低頻度の津波が想定される地区においては、津波到達時間が短いため、新たなショートカットの避難路の整備、避難タワーなどの避難施設の整備が必要となるケースが多いと想定される。

(2) その場合には、特に、市町村の防災部局と都市計画部局が連携して、地区から提案された避難路の整備や津波避難施設の整備について、事業計画を策定するとともに、厳しい財政事情の中で効率的かつスピーディに整備する方法を検討して、その回答をもって、地区防災計画に策定することが必要である。

(3) また、避難活動だけでは、例えば津波到達時間が短く人命が救えない地区については、防災集団移転促進事業などを災害予防的に実施することによって、集落の高台への移転を促進することも必要となる。この場合にも、防災部局と都市計画部局の連携は必須となる。

(4) いずれにしても、南海トラフ巨大地震などで津波が想定されている地区は多数存在することから、市町村が地区単位での逃げ地図作成に働きかけていくとともに、学会や大学などがその作成に技術的支援をしていくことが必要と考える。

6 今後の課題

(1) 津波については、地区協議会で住民等が議論して作業する逃げ地図という仕組みが存在するが、密集市街地などでの延焼や道路遮断などを含めた、避難路の計画や緊急避難場所の指定など、より住民との共同作業ができるようなシステムづくりが必要である。

(2)市町村地域防災計画は毎年見直し義務がかかっているが、地区単位の地区防災計画について、一定期間ごとに見直し、リボルビングをかける仕組みが必要である。

(3) 地区防災計画を記載する地域防災計画と、避難路の整備や延焼遮断帯の整備などを記載する都市計画マスタープランの日頃からのすりあわせが重要である。

(4) 地区防災計画の策定を支援する仕組み、被災地においては、効果促進事業の活用など、市町村が地区防災計画の策定に前向きになるインセンティブが必要である。また、学会など学識経験者による技術支援の充実も重要である。

(補注)
1) 逃げ地図は、以下のURL参照。http://www.nigechizuproject.com/
2) 地区の単位は、協議や話し合いがまとまりやすい、既存の地域のまとまりの単位を活用することが望ましい。
3) 避難活動要支援者名簿は全市町村の作成が義務づけられているが、それを外部に事前に提供する相手については、民生委員になるのか、自治会長になるのか、など、事前に市町村地域防災計画において示されることになっている。また、その名簿を保持する者には守秘義務が課されることになる。
4) 災害対策基本法上は、「地区の居住者及び事業者が共同して」提案することになっているが、過半数等の要件は必要はないので、その地区協議会を代表する肩書きと氏名で提案すれば足りるものである。
5) 法律上は市町村が地区防災計画の策定の必要性を判断することになるが、地元の住民等がまとまってその素案を作成する段階においては、避難活動等を地区の共助で行う地区の意向が存在していることから、これを否定する理屈は市町村には事実上存在し得ないという意味である。
スポンサーサイト
pagetop

コメントの投稿

非公開コメント

pagetop
カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
電力使用状況&電気予報
プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

FC2カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。