『鉄道と地域発展』を読んで、鉄道事業のいわゆる経済評価だけでは赤字路線の説得はできないと思う。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2014/03/25

『鉄道と地域発展』を読んで、鉄道事業のいわゆる経済評価だけでは赤字路線の説得はできないと思う。

鉄道と地域発展 (中京大学経済学部附属経済研究所研究叢書)鉄道と地域発展 (中京大学経済学部附属経済研究所研究叢書)
(2014/03/30)
地域政策研究プロジェクト

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 美濃部さんが読んでいたので、ぼくも読んでみた。

 最初にある数式モデルはついていけなかったし、あんまり興味も持てなかった。

 最初の鉄道ダイヤの詰め込み方の情報は面白かった。

 後半は、俄然興味をひく話題。

 一つは、第5章の経済評価、事業評価の課題。経済学からいえば、社会的な外部経済があれば、赤字でもその路線を維持する必要性があるといえる。しかし、具体的な社会的外部不経済は、通常、需要、供給曲線を推計するのではなう、様々な便益をつみあげる方法をとられていて(p95)、これはかなり恣意性もあるし、的確に社会的外部経済性を値として示しているかは疑問を持っている。

 第6章の鉄道をやめてバスにした時に料金などサービス水準を維持した部分は利用客が減って、サービス水準があがった地区だけは利用客が増えたという(p120)という情報もそうなのかと始めてしった。

 また、住民からみた鉄道とバスのイメージ(p124)で、安全な乗り物だ、街の自然環境にとってよい、車窓からのながめのよさを感じる、といった点でバスが大きく劣っていることもちょっとびっくり。

 ぼくは、こういう感覚的な鉄道への愛好性というのが住民にあることは、自分も路面電車が好きだからよくわかる。

 しかし、地方都市では鉄道は赤字で維持できないから廃線の議論がでるのだから、感覚的が議論ではなく、お金で判断すべきだと思う。どこまで運営赤字を税金で補填すべきか、だれが補填すべきかという問題。

 私見をいえば、鉄道を利用する圏域にいる住民がその赤字を補填するのが筋だと思う。その鉄道を利用しない人に赤字分を補填させるのは理屈にあわない。その意味では市町村内に完結している路線であれば市町村が、市町村を越える路線であれば、その複数の市町村と県が赤字を負担するのが筋だと思う。

 この場合、どこまで赤字を補填するかという判断基準として、利用者の圏域(駅から一定の範囲を円で囲んだ地区)の固定資産税収入で、その赤字がまかなえるかどうか、が一つの決め手だと思う。厳密にいえば、その鉄道で生じた便益は地価の増加分に反映されているので、その増加分にかかる固定資産税ということになるが、たぶん、そういうヘドニックアプローチはほとんど地方都市では効かないので、まるごとその圏域にある土地建物にかかる固定資産税分を基金化して、それで赤字をまかなえるかどうかが、その路線を赤字補填してでも維持するかどうかの分け目にしたらどうだろうか。

 もちろん、その地区の道路、水道、下水道、公園などにも維持管理費がかかるという意味で、この基準は甘い側面があるし、住民税も考えるべきという意味では、厳しすぎる側面もある。

 ただ、社会的な便益、外部便益を回収するという意味で、一つの指標として、一定の利用者圏域内の固定資産税を分析するというのはどうだろうか。

 それで、鉄道路線が維持できなければ、感覚的に鉄道があると安心するとか、鉄道の方がながめがいいとかいっても、これkらはもっと人口減少によって地方税収は減っていくわけだから、とても維持可能とはいえないと思う。

 できるだけ鉄道に甘く判断して、赤字補填をするとしても、利用者圏域の固定資産税分が限度だろう。それも、将来どんどん固定資産税税収が減っていくとしたら、路線の維持はどんどん難しくなっていく。

 そうしたら、相対的に赤字補填の額が少なくて済むバスに転換するしかないだろうし、バスの赤字補填もできなくなった場合のことも将来の課題として考えなければいけない。

 地方の公共交通について、あまく経済評価、事業評価をして、財政赤字で将来にツケだけを残すのはやめにしたい。

 
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佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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