防災集団移転促進事業で市町村が取得した移転促進区域の土地の集約方法について(未定稿) - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

--/--/--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
pagetop

2014/04/25

防災集団移転促進事業で市町村が取得した移転促進区域の土地の集約方法について(未定稿)

防災集団移転促進事業で市町村が取得した移転促進区域内の土地の集約手法について

1 現状認識
 東日本大震災において、津波被害の大きかった地区においては、市町村が低地で、津波に対して危険な地域を、災害危険区域に指定した上で、土地を買収し、土地を売却した地権者は、市町村が高台に造成した住宅団地の宅地を購入する、いわゆる「防災集団移転促進事業」が335地区で実施されている(注1)。

 この事業によって、移転促進区域内に市町村は多数の宅地を保有することになるが、土地の売却意向のあった地権者の土地を、市町村が五月雨式に買収することになるので、小規模な市町村所有の宅地が散在して存在することになり、市町村からみると跡地利用がしにくいとの問題点が指摘されている(注2)。

2 現行の法制度での対応
 土地の集約をする手法としては、都市計画区域内では土地区画整理法による換地手法、農業振興地域内では土地改良事業による交換分合が存在する。しかし、土地区画整理事業は本来、公共施設の整備に伴って土地の換地を行う手法であり、土地改良事業は農地を集約して農業生産性をあげることが目的の手法であり、その手続きは複雑である。

 現状における被災地でのニーズは、今後の土地利用の可能性を高めるために、市町村所有の土地を集約しておきたい、というものであり、道路などの公共施設の整備を目的とするものではなく、また、農地の集約による農業生産性の向上が目的のものでもない。

 そのため、被災市町村にとって、簡便な手続きで、かつ、地権者に譲渡所得税、法人税、登録免許税、不動産取得税がかからない形で、土地の集約化をしたいという制度創設の必要性があると考える。

 ちなみに、新たな法制度とそれに基づく税制措置なしに、現状で、法制度に基づかずに任意に小規模で散在した市町村所有の宅地と、個人や法人が所有している宅地を交換した場合には、個人が交換により取得する宅地は、居住が不可能な地域にあるので居住用財産の買い換え特例が使えず譲渡所得税がかかる可能性があり、法人が交換により取得する宅地についても現状では事業の見込みがない場合には、事業用資産の買い換え特例が適用されず、法人税もかかる可能性がある。このため、なんらかの制度対応なしには円滑に土地の集約化を図ることは困難と考える(注3)。

3 新たな制度設計の提案
(1)制度設計の基本的方向

 市町村が、被災した個人や法人の宅地と市町村保有地を交換して、市町村保有の土地を集約し、今後の復興につながるような跡地利用につなげていくという目的に沿った、柔軟で、かつ、防災集団移転促進事業の移転促進区域の実情にあった制度設計が重要である。

 具体的には、第一に、都市計画区域内外に共通の枠組みであること、第二に、被災者に対して土地の交換等によって税負担が生じないこと、第三に、公共施設の整備とか農地の集約とか現実に正面から説明しにくい制度目的ではなく、将来的に復興に役立つ建築物の建築につなげていくための敷地の整序といった、市町村が行いたい政策目的を正面から位置づけること、第四に、簡単な手続きであること、第五に、どうしても任意の交換に地権者が応じてくれない場合には、伝家の宝刀のように強制力が発揮できる仕組みであること、に留意する必要がある。

(2)復興事業用地適正化計画制度の創設

 上記(1)の留意点の第一から第五までに適合する仕組みとして、最も、近いものは、「民間都市開発の推進に関する特別措置法」第14条の2以下で規定している「事業用地適正化計画」制度と考える。この制度は、国土交通大臣が、民間都市開発事業者又はUR都市機構からの事業用地適正化計画の申請をうけて、これを認定した場合には、土地の集約化のための土地の交換等について、譲渡所得税、法人税、登録免許税、不動産取得税を免除又は繰り延べする制度である。(現在はこの税制の特例は廃止されているが、創設時にはこれらの税制上の特例が存在した。注4)

 この制度をベースにして、市町村がおおむね宅地を集約した範囲に事業用地適正化計画をたて、その集約化した宅地において、将来何らかの復興に貢献する建築物の整備を、市町村自ら又は市町村が土地を賃貸して、その上に民間事業者とか漁業組合などが建築行為を行うことを計画にあわせて定めることによって、税制上の特例が可能となる「復興事業用地適正化計画制度」を創設することが最も適切と考える。

 ちなみに、このモデルとなる「事業用地適正化計画制度」においては、先に述べた税制上の措置に加え、政策目的も将来の都市開発の目的も柔軟で幅広いものであり、手続きも国土交通大臣の認定を受けるだけで済むという簡便なものである。

 もちろん、この制度をモデルにしながら、認定基準について、都市計画区域の外でも適用できるようにするなど、柔軟化を図るとともに、必要に応じて、市町村だけでなく、個人や法人の地権者の方から土地を集約するために申請できるようにするなど、制度設計を工夫する必要がある。
しかし、大枠としては、土地区画整理事業や土地改良事業などに比べて極めて簡単な手続きで、宅地の集約化が図れる制度設計が可能と考えられ、また、税務当局の理解も既存の事例があることから得やすいものと考える。

(3)一団地の津波防災拠点市街地形成施設に関する都市計画
 
 集約化に不可欠な最後の一つの宅地がまとまらないといった場合に強制権を発揮してその宅地を取得する制度としては、土地収用権能を持ち、都市計画区域外でも決定できる、津波防災地域づくりに関する法律第17条に規定する「一団地の津波防災拠点市街地形成施設に関する都市計画」を活用することが有効と考える。

 この場合、法令上は、津波による災害により建築物が損傷している区域との要件以外は定性的なものなので、移転促進区域の中でも適用可能である。しかし、都市計画運用基準においては、被災地の復興時においては柔軟に適用すべきと書かれているものの、津波から安全な地区に決定することが必要とも読まれかねないので、(注5)、今回の、制度の運用においては、移転促進区域で市町村が土地をまとめて集約しようとした場合に、最後の強制力の根源を発揮するために制度として活用するという観点から、運用基準において、このような使い方ができることを明示すべきと考える。

4 今後の検討課題
(1)今回の東日本大震災における防災集団移転促進事業によって移転促進区域に散在する市町村有地を集約するための制度としては、国土交通大臣の認定ではなくて、復興庁を所管する内閣総理大臣の認定にするのが望ましいかどうかについて、判断が必要である。被災地の市町村にとっては手続きが簡便であれば、どちらでもよいと思われるので、国の役所間の整理の問題と考える。

(2)移転促進区域内の土地については、集約したい土地の現況は既に農地ではなくなっていると考えるが、農地法での農地売却の許可制度を農林水産省が厳密に適用すると主張するのであれば、農地法の特例をあわせて設ける必要がでてくる。
(3)そもそも、移転促進区域内での市町村が所有する土地が散在して跡地利用が難しいことは、今回の東日本大震災に限らず、今後の南海トラフ巨大地震での津波被害からの復興の際にも、この制度が必要となると考える。このためには、内閣府が所管する、「大規模災害からの復興に関する法律」にも同様の措置を創設する必要性もあると考える。

(4)用地買収等の困難な事例のうち、登記簿での所有者の記載が不明確な場合、既になくなった被相続人名義となっており、法定相続人の間で分割協議がまとまっていない場合、交換する宅地に抵当権が設定している場合などのケースが想定される。この問題は、移転促進地域内での市町村所有地の土地の集約化に特化した問題ではなく、例えば、移転先になる住宅団地の用地買収などでも問題になることであり、用地買収等全般の問題として、常に検討しておく必要がある(注6)。

(注1) 以下のURL参照。http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-1/20140318_higashinippondaishinsai_fukkoh.pdf

(注2) 関係する記事多数あり。
例えば、http://www.yomiuri.co.jp/homeguide/news/20140407-OYT8T50009.html参照。

(注3) 国税については、居住用財産の買い換え特例の100%買い換えが平時でも存在しており、東日本大震災特例で、事業用資産についても買い換え特例が100%できくことになっている。また、登録免許税も免税となっている。(参考http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/ss230428s.pdf)。地方税も不動産取得税は東日本震災特例で非課税となっている。(参考http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2011/explanation/PDF/p845_875.pdf)。これらの特例が災害危険区域内で当面使用目的のない個人又は法人が所有する宅地と市町村が保有する使用目的のない宅地の交換について、適用できるかどうかには、疑問がある。なんとか現地の税務担当部局との調整で免税なり繰り延べがされる可能性があるが、疑義があることは間違いないので、きちんとした制度設計が必要と考える。

(注4) 以下のURL参照。http://www.mlit.go.jp/crd/city/mint/menu/nintei1.htm

(注5) 一団地の津波防災拠点市街地形成施設に関する都市計画の運用基準については、以下のURL参照。http://www.mlit.go.jp/common/000190581.pdf

(注6) 筆者の東日本大震災の復興のための用地取得の法制度の提案は以下のURL参照。http://shoji1217.blog52.fc2.com/blog-entry-1665.html

 追記:このブログで提案した復興事業用地適正化計画まで無理に制度設計しなくても、従来の都市計画施設としての広場などを活用すれば、問題解決になると、考え方を変えました。このブログを近いうちに修正する案を提案します。
スポンサーサイト
pagetop

コメントの投稿

非公開コメント

pagetop
カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
電力使用状況&電気予報
プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

FC2カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。