被災地における土地区画整理事業の実施の注意点(未定稿) - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2014/04/25

被災地における土地区画整理事業の実施の注意点(未定稿)

津波被災地における土地区画整理事業の実施の注意点

1 東日本大震災における土地区画整理事業の現状
 大規模な土地区画整理事業を計画していた、陸前高田市においても、全域事業認可が行われたことから、事業実施前に、現地再建のニーズや人口減少などを前提にして、土地区画整理事業の施行地区の狭めるという依然の提案は、時期を失したものになったと考える(注1)。

 そこで、今回の被災地の復興事業としての土地区画整理事業の実施状況からえられる教訓を整理したい。

2 津波被災地における土地区画整理事業の実施の注意点

(1)津波被災地のうち、低地として残す地域は土地区画整理事業の施行区域に含めるべきではないこと。

 平成23年度第3次補正で土地区画整理事業の盛り土造成費が補助対象となることが明らかになったが、その際の記者発表資料では、低地から高台に宅地を飛ばす場合に低地も含めて、土地区画整理事業の施行区域にするイメージ図が示されている(注2)。

 しかし、低地部分から高台に移転したい地権者は多いものの、低地に移りたい地権者がほとんど存在しないことから、土地区画整理事業の換地設計で、低地から高台に換地することは困難である。仮に、低地に保留地を集めれば、保留地処分金がほとんど確保できず、土地区画整理事業の採算性が確保できない。

 このような津波被害にあった低地については、陸前高田市でも実施しているように、低地部分は防災集団移転促進事業として、希望者の土地を市町村が買収して、土地区画整理事業の施行地区である盛り土地区又は高台の切り土地区に造成された土地を、低地の土地を売却して地権者が購入するという対応をすべきである。

(2)土地区画整理事業の施行地区は、現地再建の意向等を随時把握して、施行地区の減少に努めること。

 土地区画整理事業で津波の被害にはあったものの、盛り土で対応する地区については、造成工事を終えて、従前の地権者が住宅等を建築できるまで、東日本大震災の現状をみれば、少なくとも4年以上の年月がかかる。このため、従前地権者が現地に戻って再建する意向は、被災後、時間の経過に伴って、現地での再建意向が減ってくる。これを踏まえ、地権者に対するアンケートを随時行って、土地区画整理事業の盛り土地区の面積を随時変更して縮小を図ることが適当である。

 土地区画整理事業を高台で実施する場合にも、低地の土地を売却して、売却した土地の近くの高台の土地を購入する意向についても、高台での造成工事の終了が待ちきれずに、離れた土地での再建に流れる傾向にあるので、意向把握を随時行って、高台造成の区域についても、見直しを図ることが適当である。

(3)換地の特例である「津波復興住宅等建設区」及び「復興一体事業」は今後の津波被災地で用いることは適当ではないこと。

 津波復興住宅等建設区を定めた場合には、土地区画整理事業を施行する区域の全域の地権者から、換地の申し出を受けることが前提となる。このため、上記(2)に記載したような地権者の意向の変化を踏まえて、施行区域の減少を図ったり、工区を分けて、先行的に特定の地区の工事を行うことができない。この換地の特例と同じ効果は、(1)で記載したとおり、防災集団移転促進事業によって、地権者が低地の土地を売って高台の土地を購入することで十分に実現することから、具体的にメリットのない津波復興住宅等建設区を事業計画に定める必要はないと考える。

 また、土地区画整理事業と土地改良事業を一体的に実施する「復興一体事業」については、低地から高台へ移った後の土地を田畑として活用する場合に有効になると想定していた。しかし、(1)に述べたとおり、低地から高台への移転については、防災集団移転促進事業で実施することが適当であること、また、従前宅地であった地区を田畑に戻すという具体的な二―ズが乏しいこと、二つの事業を同時に行うことから手続きも複雑になること、東日本大震災の被災地においても、実際に行われている地区はないことなどの理由から、復興一体事業をあえて活用する必要はないと考える。

(4)土地区画整理事業の事業計画を設計するにあたっては、できるだけ既存の道路を尊重した道路計画とすること。

 津波被災地においては、従前から津波の被害にあっていることから、旧法等に基づく土地区画整理事業等を実施していることによって、相当程度既存の道路が整備されている場合が多い。このような場合には、無理に、幹線道路を直線的に整備することによって、従前の区画道路設計を大幅に変更することを避け、できるだけ既存の道路設計を尊重して、道路設計、画地割を行うべきである。

 そもそも阪神・淡路大震災で火災により延焼した密集市街地であれば、区画道路の整備によって、再度災害を防ぐという意義について地元地権者を含めて理解しやすい。しかし、津波による被災市街地においては、盛り土を行うことには理解がえやすいものの、区画道路や幹線道路の整備というのは、津波への防災機能を有するものではなく、地元の地権者の理解も得にくいことを、関係者は再確認すべきである。

 要は津波の被災地において、再度災害を防ぐために盛り土を行うことが、土地区画整理事業の主たる目的であり、それをもって事業目的は達すると考えられ、無理な道路設計の変更や都市公園の整備などは行う必要はないと考える。なお、土地区画整理事業の設計についての法令上の縛りは、施行規則第9条に規定されているものに限られるのであり、その以上の細かな技術基準は、技術的助言として国土交通省からしめされているものであるが、市町村による土地区画整理事業の実施及び都道府県による設計の概要の認可は、自治事務であり、技術的助言に縛られるものではないことにも、施行者である市町村は十分に留意すべきである。

 なお、女川町では、宇野健一さんが、当初書かれた大幅に既存の道路設計を変更する案から、既存の道路の線形を生かす案を具体的に提案し、現実に事業計画が変更されている。これによって、桜の植えられている斜面も保存が可能となり、また、分切り、盛り土が減り、擁壁も減るなど、コストを縮減して、空間価値をあげる取り組みをしている。このような取り組みを、国、県、市町村とも是非とも各地区において、展開していってほしい。

(図表1)宇野健一さんの事業計画変更案
宇野さんの図面

(注1) 以下のURL参照。http://shoji1217.blog52.fc2.com/blog-entry-1563.html
(注2) 以下のURL参照(別紙の7ページ)。http://www.mlit.go.jp/common/000170245.pdf
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佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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