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2014/05/14

ジョナサン・ハイト『社会はなぜ左と右に分かれるのか』を読んで、道徳心理学の発展状況にびっくり。


社会はなぜ左と右にわかれるのか――対立を超えるための道徳心理学社会はなぜ左と右にわかれるのか――対立を超えるための道徳心理学
(2014/04/24)
ジョナサン・ハイト

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 ニューヨーク大学の教授の著書。1963年生まれと、自分と同世代。

 道徳というものを、心理学、精神医学の観点から科学的に分析した本。めちゃくちゃおもしろい。

 保守主義の人が道徳教育とかよくいうけど、道徳って科学的にどうやって分析していいのか検討もつかなかった。それを著者は様々な心理学的分析結果や文化人類学的な成果を引用して説得力ある三つの指摘をしている。

(1)道徳心というのは、理性よりも情動、直感の影響が強い。

 最初にいやだなと思ってから理屈を考える。

(2)道徳の切り口は、ケア、公正、自由だけでなく、忠誠、権威、神聖といった要素がある。

(3)アメリカでは、民主党、リベラルな人たちは、ケアとか公正、自由に重点をおいているのに対して、保守的な共和党は、忠誠、権威、神聖といった、小さな共同体への帰属による安心感とか、宗教的な権威の尊重といった部分も含めて道徳心に訴えかけている。このため、共和党の方が、米国民の直感、情感にうまく訴えることができている。

 そのほか、人間は、90%は競争と争いを好むチンパンジーであり、10%は秩序と帰属意識をもつミツバチであるという説明も納得感がある。

 どうしても、理性では、自由であること、他人に迷惑をかけないことといったリベラルな思想に偏りがちだが、人間は進化の過程で、小さな共同体でうまく利他的に行動して生き延びてきた経緯があるので、共同作業とか、地域での一体感とかいうものに対して、理屈なしに共感する性質がある。

 こういう集団淘汰的な発想は一時は否定されていたが、心理学の中では社会心理学として最近復活しているらしい。

 すくなくとも、道徳とかリベラルかコンサーバティブかといった部分は理屈だけでなく、権威や共同体への共感を強くもつかどうかという、人間の先天的な性質とのバランスで決まるらしい。

 自分は、社会民主的な考えと自由主義的な考えのバランスが大事となんとなく考えていたが、最新の道徳心理学でもその双方の特質が分析されていることを知って納得感がある。

 ただし、アメリカでは、この社会民主的な民主党と、コンサーバティブで自由主義の共和党の距離が離れていて、融和できなくなってきていることが大きな課題になっている。

 日本は、社会民主的な政党が極端に今弱くなっているが、双方の考え方のバランスをとる必要性は依然として高いと思う。
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No title

>人間は、90%は競争と争いを好むチンパンジー
キラーエイプ仮説?って最近は否定的な説の方が有力じゃないでしたっけ。
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佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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