エンリコモレッティ『年収は「住むところ」で決まる』を読んで、イノベーション機能は都市に集中すると知る。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2014/05/15

エンリコモレッティ『年収は「住むところ」で決まる』を読んで、イノベーション機能は都市に集中すると知る。


年収は「住むところ」で決まる  雇用とイノベーションの都市経済学年収は「住むところ」で決まる 雇用とイノベーションの都市経済学
(2014/04/23)
エンリコ・モレッティ

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 スペインからの帰りの飛行機の中で読んだ本。

 タイトルはちょっと誤解を生じやすいが、都市経済学の観点から、詳細なデータに基づいて、イノベーション機能とそれを支援するキャピタル機能は、アメリカのシアトルとか特定の大都市に集中することを分析した本。

 このイノベーション機能を発揮するのは、高学歴のイノベーターで、当然高収入。さらに、イノベーターが高収入だと、その都市の通常の労働者も賃金が高くなるというデータが示されている。

 ただし、このイノベーション機能が集中するきっかけは、微妙で、リチャードフロリダがいったような、生活環境や、大学立地も必要条件ではあるが、むしろ先にイノベーション機能が集中して、それに伴い生活環境などが整備されるのが通常らしく、これっといった決めてはない。特別の才能のある技術者、研究者がいると、そこにイノベーターが集まってくるという話。

 そのほか、おもしろい指摘。

(1)イノベーション関連の産業は、その分野の企業が寄り集まっている地域に高給の良質な雇用をもたらす。それが地域経済に及ぼす好影響は、目に見える直接的な効果にとどまらない。研究によると、ある都市に科学者が一人やって来ると、経済学で言うところの「乗数効果」の引き金が引かれて、その都市のサービス業の雇用が増え、賃金の水準も高まることがわかっている。(位置No. 234-238)

(2)しかし、二一世紀は違う。よい仕事は、新しいアイデア、新しい製品、新しいテクノロジーを創造してこそ生み出せる。工場や機械のような物的資本ではなく、人的資本をどれだけ引きつけられるかをめぐって、競争がおこなわれるようになるだろう。そのような時代には、場所の重要性がかつてなく強まる。(位置No. 358-361)

(3)人類の歴史上、生産性と生活水準の上昇を力強く牽引してきたのは、つねにイノベーションと技術の進歩だった。(位置No. 709-710)

(4)政治家や産業界の指導者たちは、中小企業の偉大さをよく称えるが、誰もが決まって指摘するのは、雇用創出の大部分を担っているのが中小企業だという点だ。その指摘自体は間違っていないが、アメリカの中小企業の圧倒的大多数は、小売業などの非貿易部門の企業が占めている。したがって、中小企業の雇用が存続できるかどうかは、貿易部門(貿易部門では大企業の存在感がきわめて強い)に活力があるかどうかにかかっている面が大きい。貿易部門の雇用と所得が生み出されていない都市に、多くの小売り関連の雇用が生まれることはありえない。(位置No. 1055-1060)

(5)アメリカ史上有数の大がかりな社会実験である「ムービング・トゥ・オポチュニティー(MTO)」の結果は、この観点からきわめて興味深い[28]。一九九四~九八年、アメリカ連邦政府は、ボルチモア、シカゴ、ボストン、ニューヨーク、ロサンゼルスの公営住宅に居住する多くの人たちに家賃クーポンを支給し、貧しい地区の公営住宅を出て、同じ市内の比較的貧困度の軽い地区の民間賃貸住宅に引っ越すよう促した。キャレルらの空軍士官学校の実験と同じく、無作為に選んだ一七八八世帯に家賃クーポンを支給する一方、比較のための対照集団として一八九八世帯を無作為に選んだ。一〇年後、研究チームが両グループの家庭を訪問調査したところ、健康状態に際立った違いが見た。実験前、両グループの健康状態はほぼ同等だったのに、一〇年後の健康状態は、所得の比較的高い地区に移った人たちのほうがずっと良好だったのだ。(位置No. 1807-1813)

最後のものは、集団的に整備する公営住宅よりも、分散的に民間賃貸住宅を公営住宅に借り上げた方が、日本でも生活環境が改善する可能性があると解釈できると思う。重要な情報と考える。
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プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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