マイケル・ドブス『ヤルタからヒロシマまで』を読んで、英米露の露骨でずさんな協議が戦後の冷静体制と日本の領土問題をもたらした。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2014/08/25

マイケル・ドブス『ヤルタからヒロシマまで』を読んで、英米露の露骨でずさんな協議が戦後の冷静体制と日本の領土問題をもたらした。


ヤルタからヒロシマへ: 終戦と冷戦の覇権争いヤルタからヒロシマへ: 終戦と冷戦の覇権争い
(2013/07/10)
マイケル ドブズ

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 ライフネット生命の出口さんの推薦。

 アメリカの歴史ジャーナリスト。ワシントン・ポスト記者からジャーナリストに転向。

 日本語訳で480ページを超える大著。日本のジャーナリストの本とは大分イメージが違う。参考文献をみてもロシアまでいって原典をあさっている。

 視点は、意外と客観的。

 第一に驚くのは、1945年2月のヤルタ会談では、ルーズベルトが心臓病が悪化して気力も失せていることから、スターリンと融和的な態度をとり、チャーチルを抜いたスターリンとの会合で、ソ連の対日参戦と、南樺太、千島諸島の割譲を簡単に約束していること。ルーズベルトには、国務省から千島諸島についてソ連が領有する根拠がないことの書類があがっていたが、ルーズベルトはちゃんと読んでいなかったこと、それに対して、スターリンはスパイからその文書を入手していて、ルーズベルトがその国務省の方針に従わなかったことをよろこでいた。(p96)

 要は当時の国務省は、冷静な分析をしても、体力がなく米兵の戦死者が増えて国民の支持を失うことだけを恐れていたルーズベルトの融和的な考え方には、受け入れなかったこと、一方で、国務省の機密文書がスターリンに筒抜けになっていたことがわかる。

 小生は、アメリカにとっては、千島列島など、どうでもよかったという判断に対して、不愉快な個人的な気持ちは抑えられない。敗残国は理屈もなく領土を奪われる。

 同様のことは、ソ連の都合でポーランドの東側の領土をソ連に併合して、その代わりにポーランドにドイツの領土の東側を割譲するという、その住民の構成に全く関係のない、大国の都合というか、ソ連のスターリンの野望について、英米の首脳とも反対をしなかったこと。唯一、ポーランドの自由選挙によって選ばれた民主的政府については、チャーチルはこだわったが、ソ連の勢力圏になると、なにも口出しできなくなってしまう。

 第二、原爆開発が成功し、ソ連との関係が悪化してから、ルーズベルトを引き継いだトルーマンは、強気になって、むしろソ連の日本への進駐をくいとめようと、できるだけ早期に原爆を使用するよう、指示した。これをトルーマンはスパイから情報を得ていて、当初、10月ぐらいを予定していた対日参戦を8月中、そして8月9日に早めて、満州、朝鮮半島、日本への影響力の確保を図った。(p439)

 8月15日のポツダム宣言受諾よりもあとまでソ連は攻勢を強めたが、アメリカはヨーロッパでソ連が先行して占領した区域を自国の勢力圏としたことの痛い経験から、ソ連に日本の占領統治を口出させないという方針をとった。

 最近、ソ連側の情報が明らかになって、なまなましいヤルタ会談などの議事の様子も明らかになっている。

 ソ連に終戦の仲介を頼むなど、笑止千万。日本の諜報能力、外交能力の欠如が明確に現れていることを認識しないといけない。敗残国は本当にその国民の生命も財産も戦勝国の首脳には一顧だにされることもないという事実を胆に銘じよう。

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佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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