2014/09/08
ベネディクト・アンダーソン『定本想像の共同体』を読んで、国民国家が幻想であることを北南アメリカと東南アジアの歴史分析から語る。
定本 想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行 (社会科学の冒険 2-4) (2007/07/31) ベネディクト・アンダーソン 商品詳細を見る |
ナショナリズムや国民国家を語る上での古典的本らしい。なんで購入したか不明。
論旨は追えるのがだ、なんとなく読みにくい。無理してアメリカ人のウィットみたいなものまで反映させようとして訳したためか?
日本人は、江戸時代まで国家という概念はなく、江戸時代に国といえば、藩のことで、日本という国のイメージは明治政府が作り出したものなのはわかっているので、国民とか国民国家というのが、その国民と称するグループがみんなでしんっじている共同幻想、まさに想像の共同体というのは納得しやすい。
しかし、国民国家は、フランス革命を通じて人民から立ち上がってきたと考える、ヨーロッパ史観の人には反発を招くのかもしれない。
著者は、絶対王政が、地元の言葉、俗語を従来のラテン語や、フランス語の代わりに、公用語をして認めたこと、また、その地元の言葉が、出版資本を通じて、広く、国民に広がるようになったこと、をまず指摘する。
また、絶対王政は、地元の俗語を採用するとともに、上からの公的ナショナリズムをおしつけていったが、ナショナリズムは国家としてのまとまりを強調することから皇帝はその国家の長という位置づけとなり、結果といて、王位の神権神授説を否定することにもなるので、第一次世界大戦でその帝国が壊滅的にダメージをうけた、ドイツ、オーストリア、ロシアでは、それぞれ王政を民衆が押し出す結果ともなった。
その次に、北アメリカや南アメリカの諸国や東南アジアの諸国が、本来人種的、民族的にはなんら整合性のない植民地時代の国境で独立したことについて、植民地時代のクレオール(白人で現地で生まれた人)と現地で植民地の母国の言話す地元民が、それぞれの植民地のその中心となる都市の学校にあつまり、共通の意識と経験をそれぞれ学んだこと、その地元でのリーダーが中心となって、独立運動をしたことをあげる。
さらに、人口調査、地図の作成、そしてその植民地ごとの考古学的な見地からの遺跡の発掘などが、その切り取られた国境の区域内の住民に一体的な意識を与えたと分析している。
なお、1983年の初版発行時にはまだソ連が存在していたが、ソ連は「19世紀の国民国家成立以前のプレ・ナショナルな王朝国家の遺産相続者でもある」(p19)と分析して、ソ連の崩壊を予測したものとも言われている。
ちょっと、難解だが、自分の頭では以上のように整理しました。
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