2014/09/09
佐川美加『パリが沈んだ日』を読んで、日本の大都市、例えば東京のわかりやすい洪水史があればいいのにと思う。
パリが沈んだ日―セーヌ川の洪水史 (2009/12) 佐川 美加 商品詳細を見る |
パリの都市の発展の歴史と、その洪水史をミックスして記述した本。
自然地理学の先生らしく、河川工学については手をとるように丁寧に説明している。
パリの歴史は洪水の歴史。冬の流氷を避けるための大規模な策が一層、洪水を引き起こすとか、早期に進んだ下水道の整備が、洪水時には逆流して浸水地域を増やすこと、など的確な指摘がある。
1910年の至上最大の洪水では、軍隊もでて治安確保を行う一方で、赤十字など多くのボランティアが支援を国中から行い、5ヶ月ぐらいで復旧している。
こういう詳細な過去の洪水の歴史を知ることが、パリ住民にとっても、洪水に対する備えを忘れないことや、避難活動についての警戒を怠らないために重要。
例えば、利根川は1910年という同じ年に大洪水を起こしているが、荒川が整備されたこともあるので、あまり、きちんと市民レベルで伝わっていないと思う。
しかし、一度使ったところは、リスクが高いので、そういう洪水の歴史をわかりやすく伝えることが重要だと思う。
ハザードマップに併せて、1910年のときの浸水時の写真とかを一緒につけたら、随分説得力が違うと思う。
その意味でも、河川工学の人にもアウトリーチ活動をもっとお願いしたい。
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