沼田眞ほか『図説 日本の植生』を読んで、日本の森林の復活力を前提とした国土政策を考える。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2014/09/11

沼田眞ほか『図説 日本の植生』を読んで、日本の森林の復活力を前提とした国土政策を考える。

 東大農学部の林直樹先生にアドバイスをいただいて、この本を読んだ。

 日本の植生というのは、日本の湿潤温暖な気候を前提にして、裸地にしても、一年草期、多年草期を経て、正常な遷移コースをとって、陽樹期そして、陰樹期へと、数百年をかけて進行していく。(p293)

 以下述べるのは、林先生の論文「林直樹(2013):農山村の持続可能開発:林業の再配置(日本建築学会地球環境委員会,『地域におけるカーボンニュートラル化と持続可能社会への道筋』).pp.25-26(2013年度日本建築学会大会(北海道)地球環境部門パネルディスカッション資料)」を前提にして、(自分としては林先生の説と同じと理解しているが)、森林、農地のあり方を含めて、国土政策を提案する。

(1)まず、現在の国土政策の方向としての、「コンパクト+ネットワーク」というのは、コンパクトシティとそれをつなぐ道路とかリニア新幹線をイメージしていると思う。しかし、従来の全総的発想から抜け切れておらず、現在、日本の国土が人口減少時代、超高齢化時代で直面し、これから一層、深刻になる国土全体の土地利用などの国土計画上の問題を正面から受け止めた議論とは思えない。

(2)今、日本の国土は、現時点ですでに、森林の急傾斜な奥地の管理がほぼ不可能になってきている一方で、緩斜面に開発された農地から、市街地の周辺の農地まで耕作放棄が進んでいる。今後、人口減少によって、農山間部の人口、特に若者の農林業の従事者が減ることが確実なので、一層、森林と農地の管理が行き届かないことが予想される。

(3)この国土の土地利用の課題を考えるうえで、森林と農地の歴史的関係を考えると、江戸時代から明治、昭和の高度成長期まで、農地は市街地の拡大でより条件の厳しい、緩斜面を開発していき、その結果として緩斜面の森林は伐採され、林業生産地はより山奥への進行していったと考えている。そうすると、人口減少社会は、このサイクルを逆にして、例えば、明治時代の当初の図面などをみて、当時山林だった部分、自分の推測では、現在は耕作放棄地を多く含む、緩斜面の農地を、林業生産地に復活する。現在、緩斜面の農地は農地としては生産性が低いが、林業生産地として考えると、十分な道路などのインフラも整備されているとともに、都市にも比較的近いので、林業としての生産性の向上も見込める。

(4)現在の山奥の林業生産地は、急傾斜地で都市からも遠く、林道の維持管理も大変なことから、放置をする。『日本の植生』で語っているように、放置しても自然と様々な樹木が入り込んできて、樹木が復活する。これは伐採したまま放置しても同様と考えている。これによって、国有林野や民有林野の非採算的な林業生産地は消滅して、無駄な税金をかけて林業生産を維持する必要もなくなる。上記(3)の形で生産性が高く、補助金に頼らない林業生産が復活すれば、よりイノベーションも進むはずと考える。

(5)農地から林地にかえると治水上危険性が増すという議論は、十分理解していないので、アドバイスをいただきたい。個人的には、緩斜面の農地は豪雨で崩壊する恐れがあるので、水は貯留するかもしれないが、一概に林地になると災害上危険になるとはいえない気がする。

(6)なお、市街地や住宅の立地については、明治時代の図面をみると、昔の山裾の谷筋の出口に集落が散在して、さらに、今の都市部にあたるところにも、集落がある程度密集して存在している。この都市部のあり方は、別途、最近のコンパクトシティの議論と一緒にコメントしたい。
 山麓の山筋の集落は、山筋の水の管理のために農地に近く、かつ山筋の微高地に数戸単位で川を挟んで集落を形成している地区が多数みうけられるが、この山筋集落は、土砂災害の危険地域にほとんど含まれる。この集落については、少なくともこれ以上の住宅が立地することを抑制しつつ、市街地周辺部への移転を促進する、誘導する、実際に土砂災害にあった場合には、住宅も毀損しているので、防災集団移転促進事業など税金を投入してでも、市街地の中又は周辺に移転してもらう。

(7)以上をまとめると、人口減少が急激にすすむ市街地とその周辺の農地、山林の土地利用のあり方としては、明治初期の土地利用の姿に、農地、山林は戻していく、すなわち、山奥の林業生産地は放棄し、緩斜面で明治以降に開発した農地を「農業生産地に転用する、農地は、より、平面で、生産性の高い農地へと集約していく。ただし、住宅の立地の状況は、明治当初から存在する山筋の土砂災害の危険な地域にある集落の立地を抑制し、できるだけ市街地の中またはその周辺への移転を促進する。

 以上の提案は、国土全体の管理、土地利用計画の考え方として、人口減少時代、国家財政と都市財政が逼迫するなかで、具体的により効率的な土地利用を実現する方向と考える。このような、次世代につけを残さない、国土全体の土地利用のあり方を考えるのが、本来の国土計画の仕事だと考え、さらに、林先生の主張とほぼ同じ(と自分は考える)、具体的な国土全体の土地利用のあり方について、私案として、ご意見を問うものである。
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佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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