小池滋ほか『都市交通の世界史』を読んで、世界の都市交通の歴史から自立的な都市交通のあり方を考える。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2014/09/19

小池滋ほか『都市交通の世界史』を読んで、世界の都市交通の歴史から自立的な都市交通のあり方を考える。


都市交通の世界史―出現するメトロポリスとバス・鉄道網の拡大都市交通の世界史―出現するメトロポリスとバス・鉄道網の拡大
(2012/03/23)
小池 滋、和久田 康雄 他

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 国土交通省の図書館の新刊の棚で発見。

 経済学や歴史学などの先生が中心となって、ニューヨーク、ロンドン、パリ、モスクワ、ベルリン、大阪、東京の鉄道、地下鉄、路面電車、バスなどの都市交通の歴史を分析。

(1)経営の記述がすべてにあるわけではないが、ニューヨークは民鉄を統合したニューヨーク市交通局で運営されているが、経常的な補助が運営費の2割入っていて、それでも運賃が高いと批判を受けている。(p45)

(2)ロンドンでは、1933年にタクシーと幹線鉄道を除いてすべての運輸機関を国有化したが、1963年のマクミラン保守党内閣の時に、ロンドン運輸公社化、サーチャー保守党内閣の時に、政府直轄の持ち株会社ロンドン地域運輸と完全子会社のロンドン・バス会社とロンドン地下鉄に、そしてロンドン・バス会社は、民営化、ロンドン地下鉄は、1997年のブレア政権の時に運行は公共部門、インフラは民間部門というPPPに転換。(p82)

(3)パリは、1965年にパリ圏整備・都市計画マスタープランで地域高速鉄道網が位置づけられ、都市計画と鉄道との連係が図られた。運営については、国家鉄道運営会社フランス国鉄と地方鉄道の系譜をひくメトロの運営会社との連携による、相互乗り入れ、同一ホーム乗り換えが進んだ。

(4)日本では、大阪は、市営モンロー主義で、民鉄の都心部への進入や民間バスの進入を徹底的に排除したが、戦後の交通需要の増大で、運輸省に押し切られる形で、民間の鉄道等の相互乗り入れが始まっていく。

(5)東京は都心部では当初、民間の馬車鉄道が、その後、路面電車を民間会社が参入したが、逓信省の指導や東京市の指導で、1906年に東京鉄道による一社独占体制へ、1911年に東京市直営になる。郊外からの鉄道網は国鉄に加えて、民営鉄道が存在し、戦前の陸上交通事業調整法によっても、ブロック別の鉄道会社にまとめただけで、それぞれが沿線の開発などで収益をあげて独立採算を原則として維持している。地下鉄は、戦前は、東京地下鉄道の上野・新橋間、東京高速鉄道の渋谷・新橋間が存在したが、1941年に営団に一本化、戦後は営団と都営で二元化して地下鉄を整備、公的助成も受けた。(p318)

 これらの歴史からみて、考えつくこと。

(1)パリとか東京の沿線開発の事例のように、開発利益を吸収して鉄道経営を成立させるのが筋。東京等の大都市では、駅上空や周辺の開発についての都市計画上のメリットと引き替えに、いままでのような空地だけでなく、鉄道利用者の利便性の向上を鉄道事業者に誘導する。その仕組みとしてドイツの「都市計画契約」を制度化したらどうか。

(2)地方都市で新たな公共交通を考える上では、ロンドンなどで行われたような、バスなどの他の交通機関、さらには自動車の交通制限とセットで、軌道系の導入を考える必要がある。これを行うことによって、原則利用者の料金収入で採算を確保する。本来の受益者負担の観点からは、鉄道事業の初期投資に補助をいれることはあっても、経営について補助することは理屈にあわないと考える。自動車の外部不経済を押さえるのは、本来は、平場で自動車と軌道系が競争するのではなく、一定の交通規制をかけて、自動車利用を制限すべき。それが市民の反対でできないのであれば、市民の税金で経営を補助することはありえるが、それが将来世代の負の遺産にならないようにしなければならない。

 また、経営主体は、経営の効率化の観点から、民間会社が望ましいが、その路線の維持とか交通規制は市が一元的に計画して、都市計画と交通計画、交通規制を行う仕組みが適切。特に、その意味では交通規制権限の発議ぐらいは市町村ができるようにしたい。ソウルでは、国法である自動車管理法に基づき、ソウル市の計画に基づく交通需要管理を、国土海洋大臣が警察庁長官と協議して、自動車の運行制限を命じることが可能となっている。

 自動車交通規制を、都市計画や都市交通と一体的に運用することが、地方都市でのバスや軌道系の経営を成立させる決め手だと思う。

 なお、受益者負担の原則を無視して、鉄道経営に対して、国税を入れるのは、本来理屈が通らないと思う。それをやるなら、阿部等さんが提案しているように鉄道利用者から別途利用税をとって、それを財源にいて、経営補助をするのが筋だと思う。
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プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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