宇都宮浄人ほか『LRT』を読んで、やっぱり、経常的に赤字補填を税金でしなければいけないかわからない。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2014/09/17

宇都宮浄人ほか『LRT』を読んで、やっぱり、経常的に赤字補填を税金でしなければいけないかわからない。


LRT-次世代型路面電車とまちづくり- (交通ブックス)LRT-次世代型路面電車とまちづくり- (交通ブックス)
(2010/12/22)
宇都宮 浄人、服部 重敬 他

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 LRTなどの軌道系とBRTを含んだバスとの公共交通のあり方について勉強したくて、国土交通省の図書館で借りてきた。

 この本も、結局、軌道系、LRTありきになっていて、どうして、バスよりLRTがよいのか、バスでは経常的に補助しないのに、LRTだとそれが当然になるのかわからなかった。

(1)p103にあるとおり、アメリカのダラスでは運行補助が87%、フランスのストラスブールは41%、イギリスのバーミンガムは3%、ドイツのフライブルグで22%と多少でこぼこがあるが、経常的に欧米で補助しているのはわかる。

(2)しかし、LRTは利用者から料金がとれる仕組みなので、本来的には料金で対応すべきで、外部経済の部分だけ補助する理屈が立つ。しかし、それは、道路であろうと、バスであろうと、同じ。あえて言えば、外部経済は、駅周辺の地価上昇に現れるので、駅周辺圏の地価上昇に対応した部分の固定資産税と都市計画税を基金化して、運営補助にあてるべきではないか。

(3)LRTで中心市街地が活性化するような考え方もおかしい。本来、LRTを含めて交通は活性化が起こる場合の手段であって、活性化自体は、そこで行われるビジネス自体が魅力的で集客性があるもの、お金を稼げるものかどうかにかかっている。そのお金が稼げる事業があれば、交通手段は、本来、LRTもバスも自動車もイコールのはず。ただし、自動車は駐車場代が別途かかるから、大変というだけ。

(4)道路整備の予算をLRTに回すというのも、道路につくる軌道くらいはありえても、それ以上に車体や運営費補助にあてるのはおかしい。本来、道路整備の国の予算は、受益者負担の考え方から、揮発油性、自動車重量税など目的税で集めた部分で行っていたが、現在はその税収の一部しか道路整備にあたっていない状況。それをさらに、LRTに回すというのは、受益と負担の関係を明確にするという観点からも理屈にあわない。
 そもそも自動車との比較でいえば、自動車は利用者が車体や利用のためのガソリン代をすべて負担しているので、現行のLRTの補助が車両や車庫まで補助しているのは理屈上行き過ぎではないのか。

(5)LRTとBRTを比較して、環境への影響をあげるのも、発電の大部分が火力とLPGになった日本では説得力がない。また、LRTが軌道が固定していて、継続性があるというのも、一面、有利そうにみえるが、これから人口減少で生産年齢人口が地方都市では極端に減少していき、通勤通学者が減ることが予想されているのに、路線が固定している交通手段をとると、採算が悪化したときに対応のしようがなくなるので、むしろ問題と考えられる。

 結局、鉄道が好き、バスより鉄道が好きというレールバイアスでしか、LRTは説明できないのか。(p192)

 そのような感覚的に好きだとか、政治的に受けるというぐらいの根拠であれば、無理して、初期投資が高く、経常的に赤字になることが分かっている、LRTを今積極的に導入する理由がないと思う。

 もっと勉強してみるが、この本では、全くLRTがBRTより望ましいという説得力がなかった。残念である。
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路面電車との比較の必要性

あさにおっしゃるとおりと思います。東京では自動車が社会問題になるはるか以前の大正時代中期(関東大震災以前)にすでに路面電車網では需要を満たせないということで高速鉄道網(高架鉄道ないし地下鉄道)への転換が検討されています。路面電車がなぜ、東京、大阪、京都、仙台など巨大都市で廃止され、いくつかの中規模都市で存続されたかの検討なしにLRTの議論がなされている現状に疑問をもつ次第です。

LRTを高コスト・低サービスから脱却させよう

LRTは私の会社の名前そのものですが、今の運輸政策と事業者の取組みのままでは、国内外ともLRTは高コスト・低サービスに堕しています。解決策を以下に書いてあります。
http://www.LRT.co.jp/1305JREA_LRT/1305JREA_LRT.pdf

道路ユーザーに受益者負担させることが先決

「道路整備の国の予算は、受益者負担の考え方から、揮発油性、自動車重量税など目的税で集めた部分で行っていたが、現在はその税収の一部しか道路整備にあたっていない」は事実誤認です。『満員電車がなくなる日』のP138~144に書いたように、1958~2006年度の道路財源の構成(以下の著書エッセンス36.pptのシート27参照)からすると、自動車ユーザーは道路予算の60%しか負担していません。
http://www.LRT.co.jp/18man-in

その後、小泉政権と民主党政権が公共事業を大幅カットし、結果的に60%よりマシになったでしょうが、『道路手帳』は諸般の事情により廃刊となり私も数字を追えていません。
http://www.dozenkyo.gr.jp/gikoku.html

マシになっても100%になっているはずはなく、ましてや宇沢弘文さん得意の外部不経済分の負担はゼロです。道路ユーザーが負担した税金を公共交通へ投ずる以前に、道路ユーザーへ受益に応じた負担をさせることが先決です。

""だからこそ、逆に、LRTの話が持ち上がる要因になってるんでしょうに。

> 交通手段は、本来、LRTもバスも自動車もイコールのはず。

それは、違うと思う。
何故なら、交通手段のモードはどれも一長一短であり、それぞれが、長所と欠点を持ち合わせているためです。

そもそも、自家用車による交通の場合、実はもう一つのデメリットもあります。
それは、"道路渋滞を、誘発し易い"と言う点です。

自家用車での移動には"ダイヤ"が存在しないため、"道路渋滞に巻き込まれた場合、時間が読めなくなる"と言う問題があります。

無論、道路渋滞の問題はバスにも共通するけれど、バスの場合は"公共交通"とも位置づけられることで"優先通行"の順位付けで優位に立てる――そこに尽きると思います。

この道路渋滞の問題も、LRT計画の端緒であることは、知ってほしいですね。

でも、
「交通手段は、本来、LRTもバスも自動車もイコールのはず」
――と言う意識が主流ならば、結果として車社会化を呼び込んでいるためで、バスも含めた公共交通そのものが"衰退"に向かうのは、必然かなぁ?――と、感じます。

確かに、自家用車での移動は、"本人本位"での任意の時間で移動が出来ます。
地方の場合は、都市部ほどの道路渋滞は起きにくく、"任意の移動"と言う自家用車の長所を発揮し易い環境です。

ただ、そのお陰で、公共交通を利用する人が減ることで、公共交通そのものの存在意義を奪っているのでは?
地方で、路線バスの廃止問題が続々起きているのも、結局はそこです。

それに、自家用車での移動は、先に挙げたような道路渋滞の問題がある上、駐車場所確保の問題も出て来ます。
都市部では、それが顕著となりがちで、それが、公共交通が都市部で優位に立てる理由でもある訳ですが、"郊外部"では、やはり車社会化が進み、路線バスの存続問題も発生しています。


ただ、誤解の無い様に言いますが、"公共交通を残せ"と言いたいのでは無く、
「車社会化と公共交通、そのバランスをどう取るか」
……と言いたいのです。
"痒いところに、手が届く体制作り"に変えるべき――と言いたいのです。

前の書き込みと重複しますが、甘木鉄道の例こそが、一番の手本となるでしょうね。
福岡県を走り、国鉄甘木線を第3セクター化して誕生した甘木鉄道の事です。

国鉄時代は一日7往復しか無かったのを32往復(約40分間隔)に増やし、各駅に駐車場を設けて、自家用車からの乗り継ぎ&乗換えを良くしました。

更に、西鉄大牟田線との接続駅である小郡駅を移転して接続の改善を図りました。
大分自動車道の大板井バスストップに隣接する大板井駅で、高速バス乗換えを案内しているなど、"乗り継ぎ&乗り換えの便の改善"を積極的に計っています。

――その結果利用が定着して、黒字経営も達していることも相まって、“3セクの優等生”と呼ばれるまでに至っています。

LRT計画とて、本来はその"利便性改善"の一環で取り組むべきであり、"推進派"は、その辺の分析&考察に欠けていることで"説明"が不十分であることが、各地で"頓挫"を呼び込んでいるんだろう――と、思います。
その意味では、"推進派"の人は、反省して欲しいですね。

でも、普通の人を見ていても、
「交通手段は、本来、LRTもバスも自動車もイコールのはず」
――と捉えているならば、それもまた話をこじらせると思う。
道路渋滞が発生しては改善されないのも、結局はそこみですからね。

……結局は、交通の在り方に対しての一人一人の意識が、まだまだ低いんでしょうね。
利用する側にとっては、クルマも鉄道も飛行機も“移動手段”に過ぎず、“到着した後”の事ばかり考えがちであり、"目の前の交通手段"さえあれば事が足りる状況なため、そもそも気が付かないんだろうと思います。

その意味で、"移動のあり方"そのものを総合的に考えて、交通事業者と利用者との"意識の溝"を埋めていくべき――そこしか無いんでしょうね。

長くなりましたが、それでは、またです。
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プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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