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2014/09/19

海道清信『コンパクトシティの計画とデザイン』を読んで、コンパクトシティの定義、実現手段、目ざす都市像があいまいだと思う。、


コンパクトシティの計画とデザインコンパクトシティの計画とデザイン
(2007/12/30)
海道 清信

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 コンパクトシティという概念を日本に紹介した著者の最新の本。

 読んでいて、コンパクトシティの目的と定義がまず、不明確だと思う。

 著者の定義めいた文章を引用すると、「現代都市をコンパクトシティにするということは、郊外へと無秩序に低密・拡散してきた都市の発展方向を転換して、都市空間の全体構造(土地利用)をまとまりのある(コンパクトな)形態にかえ、活気のある中心市街地を維持・形成することである。」(p14)

 この定義からしてよくわからない。

(1)コンパクトシティの目的は、活気のある中心市街地を維持・形成することと読めるが、本当に土地利用をコンパクトにすると中心市街地が活性化するかは不明。中心市街地を活性化するという目的であれば、それ自体、この人口減少時代、都市財政の厳しいなかで、民間主導のビジネスをまちなかで展開してもらうことが決めてであって、別の土地利用をコンパクトにするからといって、中心市街地が活性化するとは限らない。

(2)郊外への無秩序に低密・拡散してきた都市の発展方向をかえる、という表現があいまいだが、拡散した市街地から住宅をまちなかに移転するという意味なのか、これ以上の拡散を抑制するという意味なのかによって、手段が全く違う。

(3)仮に、郊外のスプロールした住宅地から住宅をまちなかに移転させようとするなら、具体的手法はあるのか。いま、郊外の住宅地を買う人はいないので、住み替えはできない。実際にも、まちなかに移転したい高齢者は、自分の住宅をうることができないので、余程資産がある人でないと、まちなかに二軒目の住宅は買えない。

 日本でコンパクトシティという議論がでてきた、最も切実な理由としは、都市財政の効率化だろう。その趣旨からいうと、まず、道路などのインフラの維持管理の点は、橋が一番負担なので、個別具体的に、橋の所在箇所からみて、どの末端集落を撤退に誘導するかを見ていく必要がある。

 社会保障負担、市町村であれば、介護負担の観点からみれば、市町村のここの地区ごとに高齢者の現状と将来予測、それに対して、デイケアなどのサービス施設の立地状況をみて、需給バランスが崩れている地区に対して、それぞれ処方箋を書くべきで、一概にまちなかに住宅を誘導するとか、介護などの福祉機能を誘導するということにはならないはず。

 公共交通主体のまちづくりという切り口もこの本に書かれているが、公共交通は、住民サービスを支えるインフラであって、手段なので、手段である公共交通のために、市街地がコンパクトでなければいけないという主張はおかしい。

 また、エネルギー消費や二酸化炭素の排出量については、この本でも触れられているとおり、市街地の密度をあげると、どうなるかについて、一概に判断できないというのが定説だと思う。

 目指すべき市街地像についても、p174に、フィンガー型(富山市のパターン)、ランドスタット型、連担多核型の三つがあげられているが、現状でも、このいずれかには、すべての市町村は含まれると思う。その意味でも、著者がどういう都市像を具体的に目指しているのかわからない。

 昨今の、都市再生特別措置法の居住機能誘導区域や都市機能誘導区域の概念が不明確で目的や手法、具体的な都市像が不明確な、原因の一つは、この本であきらかなとおり、コンパクトシティの議論が整理されていなからだと思う。
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プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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