ジョン・ダワー『敗北を抱きしめて 上下』を読んで、敗戦直後のエログロ文化や街娼などの無秩序状態に新たな発見あり。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2014/10/01

ジョン・ダワー『敗北を抱きしめて 上下』を読んで、敗戦直後のエログロ文化や街娼などの無秩序状態に新たな発見あり。


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ジョン ダワー

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ジョン ダワー

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 ジョン・ダワーはMITの教授。

 敗戦後から日本のサンフランシスコ条約締結による主権回復までの間の歴史分析。

 上巻で扱っている、日本人の敗戦後のタケノコ生活、街娼に見通した女性の写真、カストリ文化、ヤミ市とそれを支配する暴力団、バラックによるスラムの写真など、意外と無意識に日本人が避けている、みすぼらしく、惨めな日本人の写真に、いやな時代だったんだな、という感情を持たざるを得ない。

 進駐軍の住宅開発やエアーコンディションなどの住宅設備も、日本人が飢えている状況下でも日本政府が整備したという事実も突きつけられると、敗戦国の立場がよくわかる。敗者は本当に惨め。

 下巻では、憲法改正や再軍備の動きなど、いわゆる制度上の対応が明らかになっている。

 ダワーも若干気づいているが、最近の経済史の分析では、日本の高度成長を支えた、年功序列とか終身雇用などは、1940年からの戦時体制、総動員体制からつながっているのは、野口悠紀雄さんの本で明らかにされているとおりで、敗戦時のアメリカの影響ではないとされている。

 また、金融資本の分離に失敗したとか、日本の官僚主体の経済計画を残したのが、アメリカにとって問題だったという指摘も〔下巻p367)、やや日本の官僚制度の過大評価で、官僚が経済成長を促進したのではなく、官僚の計画に従わなかった、自動車とか電器産業などが発展したというのが今は定説だと思う。

 その意味では、若干、日本の官僚への過大評価が見られると思う。

 あと、やはり、安倍総理の祖父の岸信介元総理の描き方が極めて辛辣に描かれているのを見ると、逆に、アメリカ政府に対する、当時の政治家の不満が逆に鬱積していることが想像できて、自民党政権の「アメリカに追従しないと国家の安全性は確保できないことはわかっているけど、少しでも独自外交をしたい」、という微妙でどこか矛盾に満ちた外交姿勢の背景がうかがえるような気がする。

 この本を読んで、気分にいい人はいないと思う。実に、敗北し、飢えて、主権を失った国家と国民の惨めさ、悲惨さがわかる。しかし、この中でできてきた日米の同盟関係や憲法、統治機構について、その時の悔しさとか惨めな感覚だけで評価するのも問題だろう。

 戦後、政治社会の制度が維持され、まがりなりにも戦争に参加して人を殺すことのなかった、そのためにテロ恐怖からも一番遠い国、安全な国である日本の制度の伝統的正統性、長く続いていることによる正統性を無視することはできないと思う。
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佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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