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2014/10/08

玉川英則編著『コンパクトシティ再考』を読んで、コンパクトシティで何を実現しようとしているか混乱している。


コンパクトシティ再考―理論的検証から都市像の探求へ (都市科学叢書 2)コンパクトシティ再考―理論的検証から都市像の探求へ (都市科学叢書 2)
(2008/11/30)
鈴木 勉

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 この本は、わりと緻密にコンパクトシティの概念を議論していると思う。

 まず、単純な中心部の密度を高くすることは、第2章の鈴木モデルでは、現実よりさらに高層化しないといけないという、極端な結果が示される。

 第3章では、高層化ビルが林立する空間では、見かけの距離は近いのに、目的地に迂回しないと到着できないという結果が汐留の実測で示される。

 確かに、新宿副都心によくいくが、目的のビルにいくのに相当手間取る。

 第4章の都市エネルギーの観点では、地域冷暖房などが高密度で用途が混在している地区では導入可能になり、効率的との説明あり。

 しかし、厳密にいうと、高密度にビルが林立しているところでは、太陽光などの再生エネルギーの利用が難しいこと、垂直移動にエネルギーがかかることなど、検証が必要だと思う。なお、最近の下田さんの「都市エネルギーシステム入門」では設備の技術進歩が進んでいて、地域冷暖房のような街区全体にインフラを入れる形より、一つの開発地区内で複合用途でエネルギー供給する、かなり狭いエリアでのコジェネレーションが有効との指摘もありhttp://shoji1217.blog52.fc2.com/blog-entry-1915.html、この点については、技術的な検証が必要。

 また、交通需要管理、特に、公共交通機関を導入するには、中心部の密度が高いことが必要ということは、なんとなくわかるが、手段が目的化していると思う。高齢者や通学者など、自動車では自ら移動しにくいグループにどういう移動手段なりサービスを考えるか、ということが政策目的で、そのためにコンパクトシティが有効なのかを考える必要がある。

 個人的には、たまたま冨山のようにLRTを引いたところが、駅のまわりに居住人口を集めようとしているのは、それはLRTありきの議論であり、そもそも散在していて、公共交通機関がなかなか成立しないところでは、通学者はやはりいままでどおり原則親の自動車でのサポート、場合によっては、近所の親同士での助け合い、高齢者については、過疎地の有償輸送や福祉有償輸送をもっと規制緩和して自由にサービスを提供できるようにすること、運送会社と商店のタイアップによる買い物支援、遠隔地での情報機器をつかった診療と処方箋薬の郵送の自由化で対応するしかないと思う。

 郊外部や農山村部に住んでいる高齢者にコンパクトシティといっても、相当に現金財産がある高齢者でないと、二軒目をまちなかに買えないし、先祖代々の土地や仏壇のある住居を簡単に高齢者は手放したりしないと考えるのが冷静な見方だと思う。

 さらに、市古さんの防災の観点はわかるが、防災という観点では、中心部に高密度に建物が集中しているのが、災害に強いか不明。むしろ、弱いのではないか。少なくとも、農地や山林に近い方がいざとなったら、薪を燃やしたり、畑から芋を取ってきてでも生活ができるが、都心部ではすぐに水や食糧が枯渇してしまう。もちろん、行政の中枢機能は都心部に必要だが、災害への強靱性という観点からは、マクロでみればコンパクトシティがその目的にあっているかわからない。

 むしろ、今、コンパクトシティが求められているのは、都市行政の効率性だと思う。しかし、これも今行政での歳出で負担となっている介護などの社会保障サービスについては、各小学校単位ぐらいで、高齢者の将来推計という行政需要と、それに応える介護施設や医療施設の立地状況という供給側の状況を重ね合わせて、ミクロに地区ごとに判断すべきで、簡単に中心部の密度をあげると社会保障サービスの行政負担が減るとはいえないと思う。

 また、道路などのインフラについては、特に橋梁の維持や掛け替えが重要だが、これについても、市街化区域の中というよりも、農山村につながる道路にかかる橋のうち、どれまでが維持可能で、どの橋が維持できないかを個別に判断すべき課題であって、簡単に都心部の密度をあげるとかいう、ざっくりといた議論では整理できないと思う。

 いずれにしても、コンパクトシティというのは、どういう都市像をそもそも目指しているのかも不明確だし、それが何の政策目的を実現しようとしているかも不明確だと思う。

 もっと、行政、学会ともにきちんとした議論が必要と考える。
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佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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