小嶋光信『日本一のローカル線をつくる』を読んで、公共交通への公費補助のあり方をつらつら考える。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

--/--/--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
pagetop

2014/10/12

小嶋光信『日本一のローカル線をつくる』を読んで、公共交通への公費補助のあり方をつらつら考える。


日本一のローカル線をつくる: たま駅長に学ぶ公共交通再生日本一のローカル線をつくる: たま駅長に学ぶ公共交通再生
(2012/02/15)
小嶋 光信

商品詳細を見る


 大分前の本。自宅の本棚で積ん読になっていた。

 小嶋さんは、両備グループでバス、電鉄を経営しつつ、津市からの旅客船事業や広島バスなどの再建を手がけて実績をあげている。

 主張は、公共交通は、大都市は、民設民営、地方都市は公設民営、それより田舎は公設民託としている。(p171)

 前提として、経営に対する経常的な補助金は経営改善のインセンティブをなくし、モラルハザードになること、労使の関係が親方日の丸になって悪化することから望ましくないということ。(p125)

 この点については、深く同意する。

 それでは、地方都市の公設民営の公共側が持つ部分だが、停留所とか駐車スペースなど地べたものは、道路を公共事業で行うことからいって、行政側が負担してもいいと思う。また、それに関連する情報システムなども、信号機みたいなものだと思えば、行政が負担してもいいだろう。

 しかし、バスの車体とか電車の車体はどうだろう。自家用車であれば、個人で車体を購入し、保険料まで自分で払い、もちろん燃料費も個人が負担している。やはり、バスなどの車体を行政が全部負担するのはあ、自動車とのバランスで単純にそうだなと思えない。とりあえず、バリアフリー化とか、ハイブリッド化などに伴うコスト増分を行政側が負担するというのが限度だろう。

 あとは、利用者が本来車両費のような固定費について、あまり負担感なく負担できるように、運営会社への出資とそれに見合う運賃割引きとか、一種の地域の会員制のようなものを導入して車両負担を軽減するのはどうだろうか。

 さらに、利益を受ける地区(バス路線が通る市街地や停留所の周辺)の固定資産税と都市計画税の増収分を基金化して、バス関係のインフラ、地べた関係と、車両費に当てるのであれば、これも行政を通じた会員費のようなものであるので、正当化できると思う。

 採算の確保という面では、岡山市で著者が苦労したような、バス会社同士の料金値下げ合戦や路面電車との競合は、運輸連合のような形をとって、競合を排除しつつ、利用者サービスを確保する仕組みを、市町村が主体的に誘導できる仕組みが必要だろう。そのためにも、道路運送法の許認可権限をまずは政令市から市長に降ろすべきと考える。また、運輸連合がカルテルの恐れがあるのであれば、利用者の利便を確保する仕組みをつくりつつ、カルテルの合法化の制度を考えるべき。

 また、駐車場の立地規制とか、駐車場付置義務の代替となる負担金を基金化するとか、駅前の道路空間をトランジットモール化して、自動車の流入規制とそこでの賑わい空間といての民間利用を認めるなど、都市政策も総動員して、公共交通への利用者の利用誘導を図るべきだろう。

 著者が主張している道路特定財源の公共交通への投入は(p168)、受益と負担を不明確にするので賛成できない。

 あと、頭がよく整理できないのは、仮に、上記の限定された公設民営方式を実現するとして、国がなんで支援しなければいけないのかという点。

 公共交通は受益の範囲が原則、市町村に限定されるので、行政が担うにしても、本来市町村が財政負担すべきとの主張になるはず。そのための増収手段を上記のようにあげた固定資産税等の増収とか駐車場付置義務代替の負担金などで確保すべき。また、より独自の受益を改修する負担金制度を市町村が設けてもいいはず。

 あえて、国が支援する理屈を考えると、高齢化対応や障害者対応、あるいは環境対応といった課題、一つの市町村に任せていると全体として進まないような国家的課題に対応して、モデル的にそれを推奨するために国が補助するという理屈か、高齢者や障害者の移動の足がないと、社会の安定や秩序の維持が図れないという、国家の存立基盤の安定のためという国の存在自体に係わる課題、といった理屈になるのだろうか。

 ただし、国が支援するとなると、将来の人口減少を見越して、路面電車や路線バスよりも、より少ない人口密度で運行できる、コミュニティバスとかデマンドバスとか、さらには、NPO法人が行う過疎地有償運送とか、福祉有償運送に重点を置くべきという結論になると思う。

 いずれにしても、厳しい財政事情のなかで、どうやって交通弱者の移動サービスを確保すべきか、そのためにまず、国の制度の無駄な規制がないか、その次には、市町村が自らの負担でできることがないか、という点をよく彫り上げて、さらに、国が支援する理屈とその対象はなにか、ということを、特に、交通弱者への移動サービスという観点から考えるべきだと思う。

 
スポンサーサイト
pagetop

コメントの投稿

非公開コメント

pagetop
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
電力使用状況&電気予報
プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

FC2カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。