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2014/10/20

藤村龍至『批判的工学主義の建築』を読んで、建築的アプローチが公共政策立案の手段につながる可能性を感じる。


批判的工学主義の建築:ソーシャル・アーキテクチャをめざして批判的工学主義の建築:ソーシャル・アーキテクチャをめざして
(2014/09/24)
藤村 龍至

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 前段の建築家の歴史とか設計の仕方を読んでいるときは、自分は、へえっと思いながら読んでいた。

 後半になると、藤村氏の試みている超線形設計アプローチがでてきて、俄然興味がわいてきた。

 僕なりに、理解すると、一定の設計条件の中で、単純から複雑、単純からニーズ対応型、単純から地域環境配慮型にどんどん設計を変更し、そのプロセスを模型という形に残しながら、最終形を導いていく、そしてその途中のプロセスの模型という透明な思考パターンが最終形の説得力を増す効果を持つ、といった手法だと思う。

 これは、公共政策を考える上での、予算、既存制度、あるいは政治意識などを与件として、一定の政策を立案するプロセスと非常に類似している。法律をつくるうえでも、今は途中の素案や案文が全部データとして残っているので、それを透明化する、特に、住民手続きとかパブリックコメントなど参加手続きを透明化して、立案過程から政策の説得力を増すという発想はとてもおもしろいし、すぐに実行できそうな気がする。

 こういう手法は、政治学ではgradualismとか漸進主義とかって、基本的に官僚をはじめとする保守主義の考え方(思想というよりも現状を破壊するのではなく改良を積み重ねるという意味での保守主義)ととてもマッチする。

 ただ、藤村氏はあまり配慮していないが、政策立案で、この手法の欠点は「合成の誤謬」の可能性があるということ。

 合成の誤謬とは、一つ一つの改良を積み重ねた結果、マクロではむしろマイナスになる結果を生むということで、法学部とか経済学部の学生は1年生のマクロ経済学でみんなが貯蓄をすると経済成長率が下がって、国民経済全体としては貯蓄が減ってしまうという事例を学ぶ。

 藤村氏が評価しているJR東海のリニア新幹線などは、技術的な課題は別にしても、高齢化で国民の貯蓄率が減少していく時代に名古屋までで9兆円という投資を国民経済が受け止めきれるか、結局、海外からの資金が流入しなければ、金利が上昇して、国内の有益な投資活動をクラウドアウトしてしまう、仮に今のアメリカのように円の信認性が高まり、外国資本が流入して金利上昇を抑えることができても、リニア新幹線での料金収入は今後継続して、国内から海外へ流出して、国内への再投資が行われなくなることになる。このような国民経済への大きな影響を与える巨大プロジェクトを国策、国益との関係なく、ミクロの一民間会社の判断で行って良いのか、というミクロの政策がマクロ経済に与える影響といった視点が重要だと思う。

 公共政策は、実験が基本的にできない。失敗したら、ダイレクトに国民に負担が生じるからだ。そのためにも漸進主義が重要だが、マクロとして国民の幸福の増大につながるかという検証が併せて必要だと強く思う。
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佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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