将基面貴巳『言論抑圧』を読んで、矢内原事件の教訓はいつのまにか言論人がいなくなることに気をつけろ。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2014/10/25

将基面貴巳『言論抑圧』を読んで、矢内原事件の教訓はいつのまにか言論人がいなくなることに気をつけろ。


言論抑圧 - 矢内原事件の構図 (中公新書)言論抑圧 - 矢内原事件の構図 (中公新書)
(2014/09/24)
将基面 貴巳

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 1937年に文部省の圧力に当時の長与東大総長が屈服して、矢内原経済学部教授に辞任を出させた矢内原事件についてのミクロヒストリー。

 ミクロに分析する視点から、小生が気がついた点。

(1)当時の東大経済学部は学部長の土方氏のような現状の国情を踏まえれば、積極的に国策に貢献すべきと考えるグループと、矢内原氏のようなキリスト教の理想から国策を批判的に考えるグループ、マルクス主義を背景にする大内兵衛氏、さらには、マックスウェーバーグループなど分裂していて、派閥抗争が激しかった。この動きが文部省の介入をまねく弱点となった。

(2)長与総長は医学部出身で、大学の自治を大切に考えていたが、土方学部長と意見があわず、一人で文部省と戦うことになり、本来は総長の上申がないと教授の身分は変更できないにもかかわらず、文部省の圧力に屈してしまったこと。

(3)矢内原事件後に言論統制は強化されたが、それはまず、中央公論などの当時の主要メディアから言論人がどんどん消えていき、最後には主要メディアである雑誌自体が用紙をまわしてもらえなくなり廃止となる。要は言論統制のプロセスは、言論人は論壇から少しずつ消えていくという過程をとる。

 なお、東京朝日新聞など、新聞は土方学部長の情報リークを積極的に掲載するなど、経済学部の内紛をあおる形となり、結果として言論統制についてはそれを後押しする結果となった。

 小著ながら、非常に密度の濃い本。言論統制というのは、大学や言論人の分裂や派閥抗争などの弱みと、総長というトップが弱体化しているときに攻め込んでくるという歴史が、ビビッドにわかる好著。
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佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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