井上久男『メイド イン ジャパン 驕りの代償』を読んで、製造業、特に、日本の自動車産業の可能性を考える。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2014/11/08

井上久男『メイド イン ジャパン 驕りの代償』を読んで、製造業、特に、日本の自動車産業の可能性を考える。


メイド イン ジャパン 驕りの代償メイド イン ジャパン 驕りの代償
(2013/01/17)
井上 久男

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 昨日、国土計画の勉強会で、都市計画の専門家や防災の専門家の方々と議論をして、自分の意見を大きく否定された部分があった。

 具体的には、トヨタについて、小生が、日産に比べて、系列企業を維持していることによって、コストカットが十分でないこと、日産のように海外に主力工場を移転して、日本に自動車を逆輸入する方がコストダウンにつながるのに、トヨタは国内工場を依然として維持していること、から、長期的にみて収益性、持続性に疑問があり、それに経済を全部寄りかかっている名古屋圏の中心性もあやういという指摘をした。

 東大の加藤先生は、むしろ日産は海外に生産を移して、日本は空洞化していて、それに対して、むしろトヨタは系列を維持しつつも新しいイノベーションの芽がでている。日産は全く評価しないという主張。

 個別に企業名で議論するとやや混乱するけど、要はイノベーションを続ける研究機能とその実証を行うマザー工場だけ残して、あとは水平分業で、安くて品質がそこそこのものを追求するか、基本的には、垂直統合で、材料の生産から最終製品までを一貫して自社及び系列で維持するか、そうしないとイノベーションが起こらないか、という問題設定と考えるとわかりやすい。

 この本の著者は、電器産業やIT産業を事例しにて、今後は、デザイン、設計、などの中枢機能を日本がもって、生産は台湾のハイフォンとかに外注していく、アップル方式でしか生き残れないと指摘していて、自動車も同じ視点で、日産を評価し、トヨタについて心配している。

 地域経済、都市計画のために、個別産業の在り方を考えても意味がないし、現実にも、いくら当初は製造工場を地元に誘致しても、赤字が続けば、パナソニックの尼崎工場のようにあっという間に閉鎖してしまう。さらにいえば、そもそも、国際競争力を失ってつぶれてしまったら、国全体からみても、国自身の収益減がなくなるので、地域経済どころの話ではない。

 素人ながら、これからの最大の自動車市場は、アフリカと、トヨタの幹部である友人から聞いている。そこでは、日本のようにマニヤックで中途半端に高い自動車でなく、安くてそこそこの品質の自動車が必要だろう。中国とかこれから伸びてくるだろうインドネシアなどの中進国の自動車と価格面で戦える自動車を製造するなら、やはり、系列にとらわれず、設計とデザインとか中枢部門だけを日本に置く、水平分業の生産方式ではないか。

 なお、以上の議論は、グローバル経済で戦う必要のある自動車産業についての意見であって、小生は、ローカルな経済で売り上げ数億から10億円台のローカル経済で生き残る戦術は、日本のもとづくり産業でも、ブランディングなどいろんな可能性があると考えている。http://shoji1217.blog52.fc2.com/blog-entry-3061.html

 要はグローバルで競争する企業とローカル経済で生き残る産業とは、戦略、戦術が大きく違うと思う。

 このあたりは、製造業の将来性、日本のものづくり産業の将来性については、地域経済、地域構造の大事な論点なので、勉強を続けてみる。

 著者のコメントで刺さった点。

(1)(位置No. 1556-1559)
トヨタの2012年3月期の営業利益のうち、86・2%がリースやローンで稼いだ金融事業によるもので、本業の自動車製造では6・1%しか稼いでいない。これに対して日産の場合は自動車製造で74・3%を稼ぎ出している。日産の方が「ものづくり力」では勝っていると見ることもできる。

(2)(位置No. 1933-1935)
今のような先行き不透明な時代だからこそ、新しい時代を切り開くために武骨でも突破力のある人材が求められている。しかし、日本の企業ではこうした人材は「扱いづらい」と言って評価されない傾向にある。

(3)(位置No. 2895-2898)
政治家や官僚もそうだ。すべてとは言わないが、サラリーマン経営者の多くは自分の在任中の数年間だけ業績が可もなく不可もなく過ごせればいいと本音では考えている人が多いため、戦略的な攻めの投資をせず、人も育てず、何かやったふりをしているだけのように見える。

(4)(位置No. 3030-3032)
日本の半導体のビジネスモデルに危機感を持ち、競争に勝ち残るために生産現場を持たないという、当時の日本では革新的な考えで既成概念を打ち破ったのである。メガチップスの創業者の先見性が新しいビジネスを開拓したと言えるだろう。

メガチップスというのは、まさに水平分業で生き残っている日本の半導体企業と考える。

(5)(位置No. 3069-3073)
日本は産業も政治も混迷の時代だからこそ、既得権や既成概念を打ち破るような起業家が必要なのではないか。高度成長時代の日本経済に戻すという単純な発想ではなく、新しい日本を創りだすという意味で「メイド イン ジャパン」の大企業の中にも起業家的センスを持った人材は必ずいる。こうした人材を使いこなすことこそ経営者の要諦ではないだろうか。逆に使いこなせなければ経営者になる資格はない。

(6)(位置No. 3092-3096)
景気や雇用を支えているのは個別企業の活動であり、その個別企業の経営者の志や能力が低く、人材活用もままならないような状況では公的支援は生きたカネにならない。袋に水を注いでもたまらずに、隠れた穴からダダ漏れするのと同じだ。多額の税金が投じられた家電のエコポイントの補助金制度を利用して薄型テレビを大量に売っておきながら、家電メーカーがテレビ事業をリストラして大量に人員を削減しているではないか。

そういえば、家電のエコポイントも結局、一時的に家電メーカーを儲けさせただけで、むしろ、イノベーションを遅らしたのではないか。価格では日本の家電はハイアールとかに全然勝てないし、ハイアールには三洋のエンジニアがたくさん移っているので品質も悪くないと聞いている。産業育成に税金をつかって無理に前倒して家電を買わせても意味ないことがよくわかる。

 自動車以上に日本の家電の将来は暗いような気がする。ソニーは今でも収益構造がひどいが、今黒字に転換したパナソニックやシャープなども本質的な問題を解決するような、新しい、イノベーティブな製品って思いつかない。大丈夫か?
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プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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