カプラン『地政学の逆襲』を読んで、海軍、空軍だけで世界を制圧できない認識から地政学が復活する。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2014/12/15

カプラン『地政学の逆襲』を読んで、海軍、空軍だけで世界を制圧できない認識から地政学が復活する。


地政学の逆襲 「影のCIA」が予測する覇権の世界地図地政学の逆襲 「影のCIA」が予測する覇権の世界地図
(2014/12/05)
ロバート・D・カプラン

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 空軍や海軍で迅速に移動して、敵対国を制圧できると考えると地政学は時代遅れの学問になる。しかし、イラク戦争でも、最近のイスラム国の対応でも、結局空爆では決着がつかず、陸軍を投入するとなると地理的な制約が、国際戦略の中で復活してくる。これが「地政学の逆襲」の背景だと理解した。

 前半はマッキンダーの地政学http://shoji1217.blog52.fc2.com/blog-entry-1919.html、それを悪用したヒットラーのアーリア帝国の理論、それからむしろ海上戦力を主張したマハンの議論http://shoji1217.blog52.fc2.com/blog-entry-249.htmlなどの分析あり。

 それ自体も入門書的にはおもしろい。

 個別具体的な地政学的認識。

(1)アメリカ合衆国の地政学的な危機は、中東にかかずらっている間に、メキシコ国境付近のメキシコ側が麻薬カルテルの無法地帯化している問題が大きい。メキシコが国家破綻しないで民主主義を維持するために適切に協力できれば、最強のアメリカ大国連合となる。(p380)

(2)中東は、歴史的にみてペルシャとオスマントルコの流れをひく、イランとトルコが今後の展開の中心。(第13,14章)

(3)中国は海洋での紛争以外に、陸上のロシア国境(ロシア人がロシア側にほとんどいない)、モンゴル国境(内モンゴルとの問題あり)、新疆自治区とその西側との関係など、紛争の種を多く抱える。(p245)

(4)EUの存在感は、ドイツ統一によって、かえって分裂した時代よりも薄まっている。(p178)

 著者によれば、EU特に、東欧やギリシャを支えるドイツの疑似平和主義がどの程度持ちこたえられるかがかぎだという。(p179)

 国内にも東ドイツという衰退地域を抱えながら、敗戦国の責任と道義的責任から、どこまで経済的におくれた、まじめに仕事をしない国をドイツ国民が支えることに納得できるか。

(5)ドイツの我慢は、ポーランドの保護とも一体だが、当然、ロシアが地政学的には一体的と主張する東欧諸国への天然ガスをねたにした圧力に対して、どこまで支えられるか、プーチンの高圧的な態度にどこまで毅然とEUが対応できるかが当面のかぎ。(p217)

 要は地続きで簡単に攻め込める地理的状況、あるいは、良好な港があってすぐに軍艦を派遣できる距離関係、など地形や地中海、バルト海、北海などの内海の関係などは、決して無視して国際政治を語ることができないということ。

 日本も、できるだけ世界の方々に展開している軍隊を自国に集中したいアメリカにとってみれば、できるだけ軍事的圧力を肩代わりしてほしい同盟国の一つであること(p371)、を理解した上で、アメリカがどの程度、世界秩序の安定に役立つかどうかの見極めが極めて重要な時期になっていると思う。
 ちなみに、著者は、アメリカ人であることもあるが、いろんな紛争に巻き込まれるが、欧州とアジアに大西洋と太平洋という海で面している国として、なんとか当面はアメリカ有意の国際関係は変わらないという主張が前提となっている。

 こういう分析は、欧州の人の分析や中国の人の分析など、悲観的なもの、楽観的なものを上下限をよく理解して、中庸的な判断を前提にすることが大事だと思う。その意味でいうとやや悲観的ながらまだアメリカの優位は続くという立場と理解した。
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佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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