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2014/12/18

宇都正哲ほか『人口減少下のインフラ整備』を読んで、非常にまともな本、個人的な気づきもあり。


人口減少下のインフラ整備人口減少下のインフラ整備
(2013/01)
宇都 正哲、 他

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 野村総研の人たちがまとめた本。まとも。

 自分なりに考えた点。

(1)人口減少下で、生活水準もそこそこのレベルで各地域が満足する時代、まあ、簡単にいえばバブル的な生活ができない時代になると、国民一人一人の必要最小限のインフラのレベルも下がってくるので、例えば、今は、高速道路1時間以内がナショナルミニマムと思っているが、そこまでの水準までは必要がなくなってくる可能性がある。下水道でなくて浄化槽でもいいし、広域水道でなくて、地下水による簡易水道でもいいはず。
 ナショナルミニマムでなくなる可能性があるものについては、国民全員で負担するよりも、より受益者負担の原則を徹底していく必要がある。(p63)

(2)建設国債で負担を将来世代に分散していく考え方も、将来世代が人口減少になっていると、今、必要量のインフラが実は将来世代には過大ということにもなる。その意味では、縮小なり縮減しやすい形、例えば、下水道の本管も太いのを一本入れるのではなくて、中程度のを二本入れて、将来は一つは廃止できるといった、将来世代にインフラの縮減が可能な計画論が必要となる。(p214)

(3)「大都市部では民営化して、浮いた財源を地方部にまわす」という提案(p256)は、誤りだと思う。

 第一に、大都市部で民営化するというのは、まさに料金という形で市民は負担しているのであって、今までは税金が行政を通じて市民にバックしていたものが料金という行政を通じない形で市民が負担しているので、市民にとっての負担は同じ。本来は、大都市の市民に料金分減税するのが筋であって(もしくはほかの支出にまわす)、結局、民営化することは地方に財源をまわすことの理屈にはならない。

 第二に、そもそも前提として地方部ではインフラから収益をあげられないという前提にたっているが、それは今の高速道路とか従来の料金をとるインフラをイメージしているからであって、工夫によっては地方部でもインフラから収益をあげることは十分可能。例えば、駅前広場をイベントや仮設店舗を設置して収益をあげて維持管理費をまかなうとか、都市公園での収益施設の誘導など様々な工夫の余地がある。また、地域インフラであれば地域住民が自ら資金をだしあってみんなで管理しあうという方法だってありうる。人口減少社会でインフラの維持管理の資金不足になるのは、大都市でも地方部でも同じで、むしろ、それぞれ現世代でそれから便益を受けている人たち、大都市は大都市の市民、地方都市は地方都市の市民が負担するというのが筋だと思う。

(4)エネルギーの問題はまったく触れていないが、都市ガスのようなネットワークからプロパンのような地域性のインフラへ、系統電力から、地域分散型の小水力とか太陽光など地域分散型で自立的、受益と負担のあった形での対応については、地方からでも始められるはずだと思う。大都市なら大規模開発にあわえて、コジェネレーションを入れるとか地域冷暖房をいれて、電力と熱供給を一体的に行って効率的なエネルギー使用を実現できるはず。これも現世代での受益と負担が実現できるはず。

(5)これも全く触れていないが、インフラの再整備については、それと収益事業を一体化して、国又は地方公共団体は無利子又は超低利貸付でインフラン再整備を収益事業と一体的に行う事業者に支援すべきと考える。収益をあげるインフラ再整備は、駅前広場や都市公園に仮設店舗などの設置を認めるなど、改修事業と収益事業を一体的に行う改修・運営権の譲渡のような方式を考えたら可能だと思う。また、受益を受ける受益者からの負担金制度を制度化する(TIF、BIDのようなもの)でも可能だろう。それであれば、資金が循環して次世代に税負担にはつながらないし、逆に、次世代に税負担につながらないのであれば、通常建設国債や地方債の対象にならないような小規模な改修事業についても、次世代へのつけをまわさない優れた事業として支援することが可能になると考える。

 いろいろ、考えさせられる論点が多いが、正面から人口減少社会でのインフラの整備や維持管理を論理的に議論していて、好感が持てる。好著。
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プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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