キーン『デモクラシーの生と死 上下』を読んで、西欧中心のデモクラシーの歴史の誤りを知り、デモクラシーの利点を考える。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2014/12/22

キーン『デモクラシーの生と死 上下』を読んで、西欧中心のデモクラシーの歴史の誤りを知り、デモクラシーの利点を考える。


デモクラシーの生と死 (上)デモクラシーの生と死 (上)
(2013/11/23)
ジョン・キーン

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デモクラシーの生と死 (下)デモクラシーの生と死 (下)
(2013/11/23)
ジョン・キーン

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 ライフネット生命の出口さんの推薦。めちゃめちゃ好著。

 いままでの西欧中心の民主主義の歴史の盲点をきちんとあばいて整理している点がまずすばらしい。

(1)ギリシャで突然直接民主主義が生まれたのではなく、それ依然からイオニア半島では直接民主主義が実施されていたこと。

(2)イスラム社会でも、集会という形で直接民主主義が実施されていたこと。

(3)突然、アメリカで代表制民主主義が生まれたのではなくて、中世での教会での公会議、1500年代でのスペインコルドバでの3部会など、代表者が議論して決めるという方法は存在し、発達してきた。また、オランダなど、いわゆる低地地方では商人が中心となった代表民主主義が始まっていた。

(4)アメリカの独立革命、フランス革命の影響を受けて、南アフリカで民主主義の一時的に猛威をふるって、世界で最も早く男子の普通選挙が生まれたりした。しかし、結局、その普通選挙を通じて独裁者による支配に変わってしまった。

(5)秘密投票とか女性普通選挙権は、実はオーストラリアという植民地の周辺地から生まれた。

 この本を読んで考え方こと。
 
 プラトンとかはじめとして直接民主主義は衆愚政治になるという主張がつよくある程度事実。また、南アメリカの歴史だけでなく、ワイマール共和国の歴史など、代表民主主義が独裁制を生む可能性も否定できない。それでも、民主主義が優れている点を考えてみる。

(1)歴史的にみても、直接民主主義と代表制民主主義は別ものだと思う。みんながあつまって決めるというのはアテネではできても、国民国家ではできないし、歴史的にも今の国民国家とは切れていると考えた方がいいと思う。ただし、アテネがマケドニアに滅ぼされたように、戦争の決断とか大規模災害など、国家の危機状態に対する対応がうまくできない可能性が代表民主主義にはあることには注意が必要。

(2)しかし、各人が一票を投じて、代表者を決めるという仕組みは、投票という行為から人の平等性への観念を強めると思う。まさに代表民主政と一体的に奴隷制の廃止とか女性の投票権とか基本的人権が生まれてきたことからも、人の平等という観念を生み出す力があると思う。

(3)投票を通じて政府をコントロールして行政サービスを決定するという仕組みから、租税を支払うインセンティブを生むことが可能となる。そもそもフランスの三部会招集もルイ16世の戦費などの費用をまかなうための増税のために招集されたわけで、税金によって政府をまかなうという意識を生じることが可能となる点も優位だと思う。もちろん、逆に税金が集められると、戦争が強くなるという側面も同時に付いてくる。

(4)代表民主主義という選挙時での政治への関与は、選挙の間の政府をモニタリングするという発想につながり、情報公開とか行政監察とか、市民が政府を随時チェックするという発想が生まれやすい。逆に、政府の側からの宣伝、情報の統制や情報の氾濫という戦略に対して、市民がきちんとした知識と能力と気力をもって的確な判断ができるかどうかも同時に迫られる。

(5)代表民主主義は、法律をもって行政や企業、市民を縛るという「法の支配」の仕組みをつくるので、経済活動の安定性や経済社会の安定性を確保しやすい。安心して、法の枠内で、イノベーションを生み出し、それを法の保護のもとで収益につなげることができる。法の支配がないと、突然、共産党から禁止といわれるリスクがあるので、本格的な投資やイノベーションは生まれにくい。

(6)ただし、アメリカのアフガン、イラク戦争のように、盲目的に西欧の民主主義の考え方を押しつける発想が、そのまま根付かないのも事実。デモクラシー、代表民主主義が逆に、戦争をもって未開な国に押しつけるという発想を持ち出すと、代表制民主主義の危機が生まれるともいえる。

(7)グローバル経済で、ロシアの金融危機が世界中を一瞬で地球上のかけまわる国際社会の中で、代表性民主主義がどう改善し変わってよりよい政治体制、一人一人の国民にとって幸福で、そして自由であり、政治に対しての道と監視ができる社会システムとなり続けられるかは、日々考えていくことが必要と痛感する。

 民主主義、デモクラシーの歴史にも、中世は暗黒、イスラムは暗黒という西洋史観がまぎれこんでいたことを知ったのは大変貴重だったし、さらに、現代社会の中で改めて代表制民主主義の価値とか意義を考えることは非常に有意義だと思う。

 今年読んだ本の中でいちにを争うほどの名著。
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プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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