スタックラーほか『経済政策で人は死ぬか?』を読んで、経済政策を考える人には必読書。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2014/12/23

スタックラーほか『経済政策で人は死ぬか?』を読んで、経済政策を考える人には必読書。


経済政策で人は死ぬか?: 公衆衛生学から見た不況対策経済政策で人は死ぬか?: 公衆衛生学から見た不況対策
(2014/10/15)
デヴィッド スタックラー、サンジェイ バス 他

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 どこかの新聞の書評でほめていたので購入。

 IMFが金融危機などで、資金を供給する代わりに、緊縮財政、それも医療や社会保障、公営住宅などを削減すると、鬱病、自殺などが増えるという分析を、イギリス人の公衆衛生学の先生がした本。

 緊縮財政で、特に、人が生きているのに基盤となる生活保護、医療、公営住宅などを削減して、自殺率とか鬱病が増えた国の事例として、ロシア、ギリシャ、タイなどがあげられ、それに対して、IMFとかに逆らってそこまで緊縮しなかったことによって、人が病気や自殺に追い込まれなかった国として、ベラルーシ、アイスランド、マレーシアが指摘されている。

 後半のキャメロンのNHS改革批判とオバマのハウジングファースト支持の記述については、背景となる財政赤字の問題のマイナス面を含めて、もう少し検証が必要と感じた。

 日本も異次元の金融緩和を行っていて、仮に株などの資産バブルになっているとすれば、バルブがはじけて、IMFなり国際的に支援を求める可能性もある。海外から支援をもらうまでいかなくても、国債の金利がちょっとあがっただけで、国の財政が組めなくなる。その時に、どうやって国民のナショナルミニマム、セーフティネットを維持するのか、ということを考える上でとても参考になる。

 システムとしての、医療とか、住宅債務を払えなくなった人のための住まい、失業者が職をさがすための職業訓練などの部分をどうやって維持するのか、それを効率的ではありつつも、きちんと確保する、その費用を誰が負担するのか、ということまで考える必要がある。医療なんかも、医療関係者に負担をかけ続けるのではなくて、そういう金融危機でも資産や収入がある国民がより多くの負担をして、失業者やすまいがなくなった人を支えていく、という覚悟が必要だと思う。

 この本は、医療とか住まいとか職業訓練とか削減するとデータにあわられるぐらい自殺とか鬱病患者が増えることを指摘しているが、それを踏まえて、金融危機のように国の財政が破綻する、国債がだせない状況の時に、国民中で負担ができる人、資産がある高齢者や勤労者で所得の高い人、企業で収益があげている部門などが、率先して経済社会の維持のための負担をするという、財源の部分まで、あらかじめ考えておく必要があると思う。

 いずれにしても、2000年以降でもリーマンショックで欧米などは大変な経済危機に陥ったわけだから、日本だって、人ごとではない。その時の苦い欧米での経験をちゃんと活かして、危機をのりこえるための経済政策、社会政策をきちんと考える必要がある。それを監視する市民の側の人たちも、勉強しておく必要がある。

 その意味で、今、ちょっと経済が調子いいからといって、うかれないで、経済危機に備えて、どういう対応をとるべきかを考えるための好著だと思う。
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プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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