坂野潤治『階級の日本近代史』を読んで、今の民主政治への著者の危機感はよくわかるが、やや坂野先生の著書としては論述に書き急ぎ感あり。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2014/12/25

坂野潤治『階級の日本近代史』を読んで、今の民主政治への著者の危機感はよくわかるが、やや坂野先生の著書としては論述に書き急ぎ感あり。


〈階級〉の日本近代史 政治的平等と社会的不平等 (講談社選書メチエ)〈階級〉の日本近代史 政治的平等と社会的不平等 (講談社選書メチエ)
(2014/11/11)
坂野 潤治

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 日本の政治近代史の大家の坂野先生の本。

 タイトルで国土交通省の本屋で購入。

 坂野先生が今の政治状況に強い危機感をもってあえて急いで書いた本だと思う。

 自分なりに要約すると、明治維新で、従来支配者だった士族は、一部の華族にとりあげられた大名などを除き、支配者の地位を追われた。その士族の権力復活の動きは自由民権運動。

 しかし、自由民権運動で一定の地租を得た議員が衆議院に参加するようになると、士族の意向よりも、地租を納めている豪農の意向が強くなり、地租の引き下げという、士族からみるとわがままにしかみえない要求を議会とせざるをえず、当局との対立を繰り返していた。

 その後、日清戦争の勝利と物価上昇によって実質的に地租が軽減されたことを受けて、旧士族の国政参加意欲が高まる。さらに普通選挙によって、貧農や小作人、さらに、都市労働者が政治参加をするようになった。

 しかし、当時の政友会は大きな政府と反労働組合、憲政党は小さな政府と親労働組合という組み合わせで、都市労働者にとっては、憲政党を応援したいが、緊縮財政で生活が苦しくなるという状況に陥り、都市労働者の意向を的確に反映する政党が存在しない状況が続いた。

 そこに、軍部という勢力が国防と社会政策をセットにして台頭してきたため、軍部による政治支配を許す契機となった。

 以上のような自分の理解を前提にすると、現在のように、生活の苦しい若者や女性、単身者などの意向を的確に反映する政党のない現状を深く、著者は憂いていると考える。

 要は、労働組合という既得権にあぐらをかいて、社会民主的な政策を求める若者、非正規労働者、女性、学生などの意向をきちんと反映できない民主党がだらしないということか?

 以下、著者のコメントでこれはと思った点の抜き書き。

(1)(位置No. 49-50)
「護憲(平和)」と「言論の自由の擁護」だけが民主主義の課題だと思い込んできた「戦後民主主義」は、いま崩壊の寸前にある。

(2)(位置No. 185-188)
農民の最上層には五〇万人弱の寄生地主がおり、最下層には先に記した約三六〇万人の自小作農と小作農がいたことになる。明治維新は一方で「士農工商」から「士」をなくした一大社会革命でありながら、他方では五〇〇万を超える農民の間に、とんでもない格差を固定化したのである。

(3)(位置No. 493-495)
こうして一八九〇年にはじまった日本の議会制度は、予算案を通せない政府と、減税案に貴族院の同意を得られない「民党」との間で、〝決められない政治〟をくりかえしたのである。

(4)(位置No. 705-706)
日本ではじめて成立した政党内閣が、自己の支持基盤であるため富裕化した地主に増税せず、小作農も都市下層民も大金持ちと同量は吞み、吸い、喰べる、酒、煙草、砂糖に課税したのである。

(5)(位置No. 1023-1025)
小作農も含めた農民が約五五〇万、都市中間層が約三四〇万、労働者が約三一〇万、これが男子普通選挙制の下での大雑把な政治社会の構成だったのである。

(6)(位置No. 1564-1567)
一九二五年の男子普通選挙制の導入は、地主・小作関係や資本・労働関係の社会的不平等を温存したままで政治的平等だけを与えたものであった。しかし、五・一五事件が総選挙で圧勝したばかりの政党内閣を倒したことによって、「政治的平等」自体が事実上機能不全に陥ってしまった。

(7)(位置No. 1747-1748)
一九二五年の男子普通選挙制の導入以後も、この「政治的平等」を社会的な「格差是正」に結びつけようとする社会民主主義者の努力は、既成勢力と国民大衆の双方からはねかえされた。

(8)(位置No. 2110-2112)
明治維新、自由民権運動、大正デモクラシー、そして前章で分析した「昭和デモクラシー」の各段階ごとに、政治社会は「士」→「農」→「商」→「工」の順で時間をかけて一歩ずつ、下に向けて広がってきた。この流れは、「総力戦」や「総力戦体制」の有無にかかわらず、時代を動かしていく。
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佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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