山田昌弘『なぜ若者は保守化するのか』を読んで、日本の経済社会が若者を痛めつけていることを知る。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

--/--/--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
pagetop

2014/12/26

山田昌弘『なぜ若者は保守化するのか』を読んで、日本の経済社会が若者を痛めつけていることを知る。


なぜ若者は保守化するのか-反転する現実と願望なぜ若者は保守化するのか-反転する現実と願望
(2009/11/20)
山田 昌弘

商品詳細を見る


 大澤真幸さんの『問の読書術』で紹介されていたので、キンドルで購入。

 2009年の本で、若干古いが、今でも状況は変わっていない。

 いきなり示される驚愕の事実が、今の若者は一つの企業に最後まで勤めたいと思っている割合が増えていること(但し、入社前)、そして、女性で専業主婦希望が20代で増えていて、60代と同じくらいの率(約40%)になっていること。

 詳細な分析を著者が行っていて、最後にそれは、列記しておくが、自分としては、以下のことを考えた。

(1)経済成長が停滞するなかで、終身雇用制度を守っている日本の大企業は社内での中高齢役立たず正社員を抱えていて、その雇用を切れないため、新規卒業者の正社員の数を抑え、非正規雇用やアルバイトでそれをおぎなう形になっている。

(2)また、経済社会構造そのものが、製造業の海外展開など、中級レベルの能力の勤労者のニーズが減っていることから、超有能な勤労者がわずかと、あとは単純労働という二分化が進んでいて、この面からも新規の正社員のニーズが減っている。

(3)正社員になれないと賃金もやすく、継続性も担保されない。そのため、親にパラサイトしていきていくしかできないし、結婚もできない。女性の方からみれば、一番リスクが小さいのはちゃんと継続的に賃金をもらえる正社員をみつけて専業主務になること。しかし、そういう男性の数が少ないから、未婚率がどんどんあがる。

(4)未婚率が男女ともあがるから、子どもうまれない。

 さて、どうしたらいいのだろう。

小生の提案は以下のとおり。

(1)社内に抱えている能力の低い正社員の解雇を柔軟化するのと、途中採用の正社員の円滑化を同時に進める。現時点では、卒業時に正社員に就職できないと、ずっと非正規で生活し続けるという一発勝負になっていことから、これを、途中採用によって、何度も正社員になれるチャンスを与える。

(2)国家公務員、地方公務員も有能、無能がごっちゃになって年功序列で給料が増えていくか、失業保険制度を導入して、途中解雇や降格を認める。逆に、民間企業から途中採用も認める。

(3)大企業に対して賃金アップを要請するよりも(どうせ正社員の賃金をアップして、その分のコストを非正規社員の割合を増やして帳消しにするだけだから)、無能な幹部や社員の解雇と途中採用の促進を働きかける。

(4)要は無能な中高齢での正社員は、有能な若者に正社員に席をあけて、単純労働と少ない給料で生活する、それによってのみ、若者が将来に希望が持てるようになるし、結婚して子どもをつくるようになると思う。

(4これは、厚生労働省がきらいな、解雇条件の緩和と労働市場の自由化につながる。
なお、厚生労働省は全くこの逆を目指していて、非正規社員や派遣社員の期間限定と正社員化の義務づけを法律で縛ろうとする。しかし、これは無意味だと思う。企業は人件費は固定費でできるだけ下げないとと採算がとれないので、雇用期限を短くすれば、正社員にするのではなく、そこで雇い止めにするし、派遣の業務を限定すれば、アルバイトなどもっと不安定な職種に仕事を回すことになる。現実に、厚生労働省を含む国の役所でも、非常勤職員は一定の期間で雇い止めを実施している。役所はコスト意識というよりも、定員を法令で限定されていて、正規の職員に採用できないから。自分は経済原理で動いているのに、民間企業は経済原理でなく社会倫理で、正社員化するはず、と考える厚生労働省の役人の頭がおかしい。

 追記:山田さんは起業やフリーランス支援を提案しているて、これ自体は重要なことだと思う。ただし、起業や自由業で正社員並みの収入を得られる人材は、むしろ企業の正社員よりも優秀な人材だというのが、自分の周りの人たちをみて思うので、これだけで(こういう格好のいいことだけで)、若者の正社員への就職難が解決するとは思えない。能力がない中高齢者、能力の向上意欲のない中高齢者はシステムとして正社員が退出を迫られる仕組みが必要だと思う。

 以下、山田さんの記述で重要だと思った点の抜き書き。

(1)(位置No. 159-163)
とにかく、リスクをとらずに安定した生活を確保したいという「願望をもった」若者が増えている。男女とも、できるだけ安定した会社(や役所)に就職しようとし、女性は安定した会社に就職した男性と結婚して安定した生活を求めようとする。リスクをとってでも、自分のやりたいことを追求したいと考える若者は数を減じている。特に、高学歴の若者に顕著であるこの現状を、しっかり押さえておかなくてはいけない。

(2)(位置 247-249)
放置された若者を支えたのが、中高年になっている若者の親たちなのである。バブルの頃とは打って変わり、独立したくてもできないので、親と同居して生活を支えてもらわざるを得ない若者(パラサイト・シングル)が増えたのだ。

(3)(位置No. 364-367)
職業や家族にアイデンティティを見いだすことが難しくなっている現在、社会学者のジグムント・バウマンは、「消費」と「身体」によって、アイデンティティを保つメカニズムが主流になると論じている(『リキッド・モダニティ』大月書店)。

(4)(位置No. 489-491)
図書館司書やカウンセラー、博物館学芸員なども同様で、これらの資格を取るには、大学において実習を含め大量の単位取得が必要である。しかし、その需要は少なく、正規の職員になれるのは一握り、非正規職員の採用も倍率は何十倍という状況である。

(5)(位置No. 1174-1175)
彼女たちはなぜ結婚しないのか。理由は単純で、彼女たちに豊かな生活を保証できる未婚男性が少なくなっているからである。

(6)(位置No. 1177-1180)
つまり、多くの女性が収入が安定した男性を結婚相手として望む、若年男性の収入格差が拡大(これは多くの論者が認めるところである)して、収入が不安定な男性が多くなる──この期待と現実のギャップが、少子化要因の大きな部分を占めることは間違いない。

(7)(位置No. 1363-1365)
政府の役割は、国民の「希望」をつなぐことだと思っている。私はアメリカの社会心理学者の定義を借りて、希望とは努力が報われるときに感じる感情であり、絶望は努力してもしなくても同じだと感じたときに生じるとしている。

(8)(位置No. 1397-1399)
現実には産業構造が転換し、サービス産業化、情報産業化が進んでいる。今はスピード時代である。成長産業への労働力の速やかな移動を促進し、起業やフリーランスを奨励する必要がある。企業は柔軟な労働力なしにはもはややっていけない。
スポンサーサイト
pagetop

コメントの投稿

非公開コメント

pagetop
カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
電力使用状況&電気予報
プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

FC2カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。