佐伯啓思『経済学の犯罪』を読んで、経済学は「科学」ではないな、と痛感。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2014/12/29

佐伯啓思『経済学の犯罪』を読んで、経済学は「科学」ではないな、と痛感。


経済学の犯罪 稀少性の経済から過剰性の経済へ (講談社現代新書)経済学の犯罪 稀少性の経済から過剰性の経済へ (講談社現代新書)
(2012/08/17)
佐伯 啓思

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 大澤さんの『問いの読書』で推薦されていたのと、先日、公衆衛生学者のIMFの緊縮財政が鬱病や自殺者を増えるという主張を読んだことに触発されて、理論経済学の大家で最近は経済学批判をしている佐伯先生の本を通読。

 静岡に緊急入院した母親のもとに駆けつける電車の中で読んだので、やや、注意力散漫。

 気になった点。

(1)佐伯先生が留学した戦後直後は、ケインズ派、制度派、イギリスのオックスフォード派などいろんな学派が議論しあっていたが、現在は極めて極端な自由市場を主張するシカゴ派だけが、経済学で議論されていること。

(2)グローバル経済について、アダムスミスはむしろ、重商政策で金銀だけをあつめようとすると世界経済が不安定化する経済に反対して、土地へ労働力を投入し、そして工場が分業するという自国の経済の生産性を高めることを主張したこと。自国の生産性を高めれば、自由貿易でより比較優位な生産をすれば、相互の国にとって、ウィンウィンの関係になると主張すたこと。

(3)しかし、実際に産業構造は、比較優位の原則で、日本が半導体をつくってアメリカがポテトチップをつくればウィンウィンとはどちらの政府も考えないので、グローバル経済の中でも国家戦略、公共計画という側面が全面にでてくること。

(4)需要と供給で財の量と価格が決まるというのは、n個の財についてn個の市場があるという、ことで連立方程式を解けば最適解が解けるというのが、ワルラスの基本的考え方で、理論経済学はそれを今でも踏襲している。しかし、この場合、貨幣というのは単なる単位としてのみ機能することを前提にしているが、実際には、貨幣には、それ自体、貯めたり、投資したりするという独自の動きをするので、貨幣の位置づけをしようとすると、そもそもそれぞれの財の市場で財の価格と量が決まるという前提がくずれる。要は今の近代経済学は貨幣について、うまく位置づけができていない。

 これは岩井克人さんも指摘しているところ。

(5)副題にもなっているが、近代経済学は希少性が財にあることを前提にして、その配分を考えることが前提だが、ものが過剰にあふれた現在について有効性が問われている。

 うーん、経済学の問題はよくわかるけど、どういう経済運営をしたらいいのか、経済学が実験による再現性をチェックできないので科学でないことはわかるが、これだけ、もともと本流だった経済学者が異論を唱えているのをみると、政策提言をしている経済学者は、一度きちんと集まって、学会でも今のアベノミックスについての論点整理とかしてほしいと思う。

 いろんな学説が専門家から示されると、結局、わけがわかんなくなって、素人が専門的な判断をするという最悪の結果になると思う。専門家の8.9割が納得できる線というのを示すのが経済学者の役目ではないのか。
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プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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