佐藤成基『ナショナル・アイデンティティと領土』を読んで、ドイツが東方領土を放棄した歴史がわかる。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2014/12/30

佐藤成基『ナショナル・アイデンティティと領土』を読んで、ドイツが東方領土を放棄した歴史がわかる。


ナショナル・アイデンティティと領土ナショナル・アイデンティティと領土
(2008/04/01)
佐藤 成基

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 年末にふさわしい読書ができた。

 ずっと、不思議に思っていた、ドイツの東プロシアと今ポーランド領となっている部分の放棄の歴史。

 このいわゆる東方領土は、そもそもソ連がポーランドに浸食した部分をポーランドに旧ドイツの東側部分を与えることでバランスをとったいう連合国側の都合であって、ワイマール共和国時代の領土の東側を削り取るというのは、民族自決という観点からいっても合理性が説明できない。事実、戦後、多くのドイツ人が強制的に現ドイツ部分への追放されている。

 その歴史は、当初は、連邦共和国としては、オーデル・ナイセ川をポーランドとの国境とすることは、与野党とも認めていなかった。

 しかし、歴史的に被追放者がドイツの経済成長の恩恵をうけたこと、必ずしも被追放者の団体がうまくドイツ内で統一できなかったことから、当初から統一的な返還運動にならなかった。

 ただし、事実上、どんどん追放された地域がポーランド化していくこと、西側諸国もドイツが巨大化を望まないという事実条件は理解できても、規範的に、ドイツ国民が納得できる理屈を提示できない間は、東方国境未確定の旗は降ろせなかった。

 しかし、福音教会や社会民主党など左翼が中心となって、ポロコーストの罪を犯したドイツとして、東側諸国とは和解しなければならないというホロコーストアイデンティティという主張が世論の理解をえてきたことや、ワルシャワでのブラントのひざまずいての謝罪などを積み重ね、また、国民の大多数がオーデル・ナイセ川での国境を容認したこと、東西ドイツの統一にあたってドイツがさらに東に領土を拡大する道は政治的にありえなかったこと、など、思想的な説明と政治的な既成事実があいまって、現在に縮小したドイツ国家というものをドイツ国民は受容してきた。

 ドイツがこれだけの多くの領土と国内での被追放者の反対を押し切って、現在の縮小したドイツ国土をCDUから社会民主党、緑の党まで受け止めてきた、政治的努力は大変なものだと思う。

 しかし、なんとなく、この著者では問題がまったくないようだが、ホロコーストという大犯罪を犯したことと、ドイツ人のポーランド軍が追放したことは、理念的にはわかるけれども、本来は別々の話で、だからソ連、ロシアが領土を西に広げ、ポーランドがその代償として領土を西に広げることが是認されるわけではない。
 
 それは、ホロコーストを起こしたドイツ国民としてきちんと受け止め和解しようという共同の認識、共通理解でもって無理矢理おさえこんだ政治要求ともいえる。

 さらに、EUという体制がほとんどドイツの経済力で支えられており、また、その経済秩序が危機に瀕した時に、この理屈のほころびが指摘される可能性はゼロではないと思う。

 その意味でも、理知的にドイツ国民やドイツ政府が行動することを、今後のヨーロッパの安定はかかっており、逆にいうつドイツで右翼的な動きが強まると一気に崩壊する危うさをもっていると感じた。

 ホロコーストアイデンティティという主張が今の縮小ドイツを支える理念ということが理解できたのは大変な収穫だった。
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プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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