リチャード・フロリダ『新 クリエイティブ資本論』を読んで、大都市にクリエイティブな人材を集めてシナジー効果をあげて一人あたりの生産性をあげるのが鍵との主張。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2015/01/09

リチャード・フロリダ『新 クリエイティブ資本論』を読んで、大都市にクリエイティブな人材を集めてシナジー効果をあげて一人あたりの生産性をあげるのが鍵との主張。


新 クリエイティブ資本論---才能が経済と都市の主役となる新 クリエイティブ資本論---才能が経済と都市の主役となる
(2014/12/05)
リチャード・フロリダ

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 クリエイティブ資本論とかクリエイティブ都市論を書いているアメリカの都市経済学者の新刊。

 従来と同じ主張、つまり、クリエイティブな人材は大都市に集まり、それがさらに人材を集めて、都市の成長、国家の成長につながるということ。クリエイティブな人材が集まる都市には、大学などの研究機関や快適な居住環境のほか、多国籍の人を受け入れる寛容性が必要という主張。

 フロリダは三つのT、technology,talent,toleranceが重要といっている。

 今回の新刊では、いままで不明確だったクリエイティブな職種を労働統計から抽出して分析したこと、2008年のリーマンショックでもクリエイティブな人材には経済的な影響が少なかったことなどを分析している。

 また、都市の人口規模な2倍になると、クリエイティビティを表す指標は2倍以上になるという関係があることを示している。

 アメリカ全体の経済成長を図る上では、大都市圏でのクリエイティビティな人材を集める政策の重要性を訴えている。

 アメリカでの分析で、フロリダ自身が多方面から攻撃されていると言っている、寛容性の視点、例えば、人種だとかゲイなどへの寛容性が高いとクリエイティブ人材が集まりやすいという指摘にはアメリカ保守層は嫌悪感を示しているが、日本人は、意外とそういう点は寛容性があるのではないか。別にスカーフをまいた女性が店に入ってきても抵抗感がないし、ゲイとかも昔から男色のあった国だから、そのあたりは日本人社会の多様性やゆるやかな寛容性が有利に働くかも知れないと感じた。

 地方創生も大事だが、大都市でのクリエイティブな人材を世界や日本中から集めることも経済成長に重要なことを再認識させてくれる本。

 以下、重要と思った点の抜き書き。

(1)(位置No. 646-648)
歴史家のモキュアは、さまざまな文化のさまざまな時代で、社会や経済の制度が硬直化しクリエイティビティに対して不利に働くようになると、高かった技術のクリエイティビティも劇的に衰退する傾向があることを指摘している。

(2)(位置No. 1140-1144)
クリエイティブ・クラスの割合の多い都市は、経済危機が始まってからの失業率の上昇が穏やかで、アメリカ中に失業が広まり始めてもなお緩やかだった」と彼らは述べている。「クリエイティブな労働者の多い都市では、失業率のピークが低めで回復も早かった」。そしてこう結論付けている。「要するに、クリエイティブな労働者の存在が、地域経済に対する経済危機の影響を軽減したのである」

(3)(位置No. 2165-2166)
理想的な相互作用とは、互いに異なる見解を出し合える程度に各人の役割が異なっている一方で、互いに何が有益か窺い知れるだけの共通の知識と関心を持った人々の間で発生するものである。

(4)(位置No. 3258-3260)
実際には、クリエイティブ経済の登場によってイノベーション(技術的クリエイティビティ)、ビジネス(経済的クリエイティビティ)、文化(芸術文化的クリエイティビティ)の三つが引き寄せられ、かつてないほどに親密で、強力な相互作用を発揮し始めているのである。

(5)(位置No. 3363-3367)
シリコンバレーが特別なのは、スタンフォード大学があるからでも、気候が温暖だからでもない。クリエイティブで異質な、正真正銘の変人に対してオープンであり、協力的な環境があったからこそ、シリコンバレーは特別な場所となったのである。シリコンバレーは風変わりな連中を集めることに成功した。彼らを追放することも、彼らの希望の芽を摘み取ることもしなかった。

(6)(位置No. 3562-3565)
成功を収めているのは、主としてクリエイティブな人々がそこに住みたがるからである。この事実は、昔ながらの鶏と卵の問題、すなわち仕事が先か人が先かという問いを巧みにかわしている。答は簡単で、どちらか一方ではなく、両方なのだ。クリエイティブ・センターは、芸術・文化・技術・経済の全般にわたるクリエイティビティが根を下ろし繁栄するための生態系と居住環境を提供しているのである。

(7)(位置No. 3581-3585)
世界がフラット化しているという仮説に対する最も明確な反証は、世界中で都市や大都市圏が爆発的に成長しているという事実である。世界の都市部に住む人口の割合は、一八〇〇年の三パーセントから一九〇〇年には一四パーセントに増加し、一九五〇年には三〇パーセントに達している。今日ではその割合は五〇パーセント以上を占め、先進国では都市と大都市圏に人口の四分の三が集中する。

(8)(位置No. 3594-3595)
現状、グローバル化には二つの側面がある。明白な一面は、単純な製造過程やサービス業務(例えば電話をかけたり、受けたりする業種といった日常的な経済機能が地理的に拡散していることだ。二つ目のあまり知られていない一面は、イノベーション、デザイン、金融、メディアといった、よりレベルの高い経済活動が比較的少数の地域に集中する傾向にあることだ。

(9)(位置No. 3612-3613)
都市は単に優秀な人々を収容する容器ではなく、人々がその中で人間関係を構築し、人脈を作り、イノベーションの連携を実現できる、実用的な社会基盤なのだ。

(10)(位置No. 3731-3733)
イノベーションや特許活動、極めてクリエイティブな人々の数、賃金、GDPなど、生物学との類似性が少ない特性と人口増加との相関においては、べき指数が一より大きかったことだ。

(11)(位置No. 3827-3829)
一つ目は、都市が「クリエイティビティの成長」のために重要な役割を果たすことによってだ。クリエイターには、若い時期に手本となる人物や、良き指導者に出会うことが必要である。
二つ目は、クリエイティビティが文化の異種混交性を必要としていることと関係がある。若い時期に多様な対立する概念に触れることで、「クリエイターとして成熟した時に、文化の〈ハイブリッド化〉や〈異種交配〉が可能となる」。この点でもやはり「教育機関や文化施設があり、交流が生まれやすい」都市部の方が有利なのだ。
単に知識や認知能力の蓄積だけではなく、社会的知性のスキルの集積が加わることによって、初めて都市の成長が促されるということだ。この社会的知性のスキルの集積により、連携と再連携の質が向上し、イノベーションと経済成長が促進される。

(12)(位置No. 4566-4567)
真の経済成長は、人口の増加ではなく、生産性の向上によってもたらされる。生産性の最も標準的な指標は、一人当たりの経済生産だ。

(13)(位置No. 4625-4626)
一つ目は、快適性が人的資本を惹きつけるというものだ。
二つ目は、人的資本を創出し集中させる大学の役割だ。
三つ目の答は、才能やスキルの流出に対してより簡潔で根本的な説明を与えてくれると思う。人的資本の地域差、あるいは流れの主因子は、その場所における人的資本に対する開放性だと私は考えている。
国で、クリエイティビティの高さとより低い不平等という組み合わせが実現している。

(14)(位置No. 4935-4937)
弱い絆は、都市や地域のクリエイティブな環境にとって重要である。なぜなら、新しい人々を素早く受け入れ、新しいアイデアを素早く吸収する必要があるからだ。

(15)(位置No. 5231-5232)
最も価値が高いとされた街の特性は、基本的なサービスや経済的な機会ではなく、場所の社会的・文化的快適さや親しみやすさ、自然や物的な美しさであった。そう主張しているのは私だけではない。
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プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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