『国土のグランドデザインが描くこの国の未来』を読んで、よくわからない点を列記しておく。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2015/01/10

『国土のグランドデザインが描くこの国の未来』を読んで、よくわからない点を列記しておく。


『国土のグランドデザイン2050』が描くこの国の未来『国土のグランドデザイン2050』が描くこの国の未来
(2015/01)
国土交通省国土政策研究会

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 西村くんが紹介してくれたので読んでみた。今作業が進んでいる国土形成計画の前提となる「国土のグランドデザイン2050」の解説書。

 自分がよく理解できなかった点。

(1)全総など、国から、大都市から地方に財政を配分する発想について、どう整理して、どう対応するかという財政制約上の問題の視点が全くないこと。端的にいって、公共事業はもとより、地方交付税などで大都市からの税収で地方の財政を支えることができなくなるという前提でものごとを考える必要があるのではないか。

(2)議論がハードに偏っているが、高次都市圏とかが県をまたいでできるときに、どういう制度インフラ、具体的には都道府県の役割とか、町村という行政単位の消滅(集落の消滅ではない)、道州制などの制度インフラの議論を全くしないことで、国土計画としての議論が十分なのか。

 結局、農山村で低密度居住が進み、さらに、都市圏の人口が減ってきて都市圏自体を複数一体的に考える必要がでてくれば、そもそも東京都と北海道を別にすれば府県の存在意義が乏しくなるのではないのか。また、町村は独自の行政主体として維持することが困難になるのではないのか。

 また、土地利用の変遷がこれから大きくかわる、都市地域が縮小して、森林地域が広がるといった大きな変化が生じるはずだが、そこにまったく触れていないのはなぜか。こういう時期こそ、スプロールをもうさせない(人口減少都市でも安い土地を探して郊外部の農地に住宅が建っているのが現状)など、土地利用の方針を明確にすべきではないのか。

(3)p44に、フリードマンの「フラット化する社会」が引用されているが、ICTの進歩によって、通常の買い物とか医療とか生活サービスはフラット化するので、むしろ低密度居住を積極的に許容してもいいのではないか。

 太田大臣は「医療、介護、住宅、買い物、役所、教育、仕事、職場等をもう一度都市の中に誘導していく、そして、ネットワーク」といっているが、通常の生活サービスは、低密度でも、医療などの規制緩和をすれば、農山村を含んで、低密度居住でも、ICTと宅配便などで十分対応可能と考えることもできるのではないか。

 もちろん、無理矢理まちなかに農山村から住宅を移住させるような強硬手段を考えているのであれば、それも一つの解だが、そんな手法は現行憲法の下ではとれないのではないか。そうであれば、国土政策局がメッシュで推計したとおり、低密度散在型、多孔型の都市構造、地域構造になることを前提にして、それにどうやって地域自立的で、財政負担が軽く、受益者負担を適切に導入した、効率的な仕組みができるかを考えるのが筋だと思う。

 少なくとも、すべての都市・地域圏がコンパクト&ネットワークになることが将来像と決めきらない方がよくないか?

(4)なお、国土のグランドデザインではほとんど触れていないが、国際競争力を確保するために東京等大都市を発展させること、そのために世界からクリエイティブ人材を集めること、そのための、世界最高水準の大学、研究機関、居住環境、学校、医療施設などの誘導には、もっと税金をつかって対応すべきだと思う。

(5)逆に、地域問題としては、地域の人たちができるだけ自立的に生活環境を維持できるような対応、それが小さな拠点というほどの「拠点」なのかはよくわからないが、自分たちでガソリンスタンドを維持したり、道の駅でビジネスをやったり、農家民宿をやるなど、年金ぐらしに月、2,3万円の収入が得られるようなローカルビジネスを立ち上げていくことが大事。補助金とか交付税とか当てにしないで自立することが大事だと思う。

 地域自立というのは、この本では、p56にエネルギーとか防災、六次産業でちらっと書いてあるが、財政制約も考えれば、まさに、地域自立が一番大事な地方のテーマだと思う。

(6)コンパクトシティも上記のように本当に都市圏の中心部に都市機能を集めないと生活サービスが確保できないのか、という疑問もあるし、そもそもどうやって居住機能、都市機能を集めるのか、多少の誘導措置では集めることができるのか、どう現実性にも疑問がある。さらに高次都市連合になると、松江と米子が高速道路で結ばれるとどうして都市機能が維持できるようになるのかわからない。具体的に医療とか物販とか生活サービスが高速道路で結ばれて、一つの都市圏として人口規模が大きくカウントできたからといって何が変わるのか。旧自治省の提案している中心市構想と同じで、それではk県内市町村が全部合併して、100万人口になったからといって、一体、生活サービスの効率性が何か変わるのか。

 フラット化している経済社会を活用して、現在の低密度散在型の都市・地域構造で一番効率的で財政負担が少なく、受益者負担を適切に導入できる仕組みを考えるのが筋ではないか。

 この手の拠点都市圏構想については、依然から何度も提案され、制度化してきたが、効果がでていないのが現実ではないのか。少なくとも、高次都市連合を提案するのであれば、地方拠点都市地域とか、モデル定住圏構想の検証とそれと違う点を明確にしないと説得力がないのではないか。

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プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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