山崎福寿『日本の都市のなにが問題か』を読んで、理屈はわかるが政策提言案で採用できそうなのはあんまりない。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2015/01/15

山崎福寿『日本の都市のなにが問題か』を読んで、理屈はわかるが政策提言案で採用できそうなのはあんまりない。


日本の都市のなにが問題か (世界のなかの日本経済:不確実性を超えて)日本の都市のなにが問題か (世界のなかの日本経済:不確実性を超えて)
(2014/09/24)
山崎 福寿

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 正統派的な都市経済学者の最新の本。

 都市の機能、つなわち、フェイストゥフェイスの接触による情報の非対称性の克服、移動費用の軽減、輸送できないサービスの提供、労働の多様性、インフラ利用の効率性などの指摘はわかりやすい。

 具体的に都市問題を解決する提言案となると、ああ、やってみたいという気にあんまりなるものがない。

(1)ピークロードプライシングを導入することの見合いで容積率制度を廃止すること。(p54)

 混雑課税自体は、やる価値はあると思うけど、鉄道などでさえ実現していないのに、警察の道路規制と関係する混雑税は、政治的に石原都知事がディーゼルトラックの問題を指摘したくらいの政治的判断がないととてもできそうもない。

 また、東京都心以外は、鉄道や道路の混雑も生産年齢人口が減ってきていてすいてきているので、政策提案として考えるとすれば、東京都に限ったことか?また、容積率規制が高度利用の阻害になっている、すなわち現状の容積率規制の緩和する経済力のある都市も東京都心ぐらいではないのか?大阪市でもオーバーフロアーではないのか。

 さらに、容積率規制は、道路混雑の問題だけでなく、水道、下水道や小学校などの他のインフラ整備とのバランスも一応考えているので、その点から全部撤廃するのは無理ではないか。

(2)都市への人口流入を人為的に制限すると、効率性の低下と不公平な分配をもたらす。(p68)

 まあ、それはそうでしょう。

(3)定期借家の中途解約に賃貸人にペナルティを与える、または、転貸借を認める。(p113)

 これはありかな。

(4)区分所有法に、アメリカのコンドミニアム法にある区分関係の解消決議を認める。(p121)

 これもあるかもしれない。しかし、そもそも、区分所有という形態が、今の都市の超高層にまでなって、1000世帯を越える居住者が存在する形態、高密度居住に適しているのかの再検証が必要だと思う。これから都心の区分所有者が高齢化していって、管理費が払えない、そもそも所有者が相続人が不明でわからない、といったことになった時にどのようにこれだけの権利者のいる建築物を維持管理していくのか。

 全体を一つの法人が所有して、建物が存在する限り継続可能な借家権、内装変更や転貸借自由な借家権を設定する、その借家権の取得については、抵当権の設定なしに、ノンリコースデ、当面は住宅金融支援機構が融資する、借家権者が管理費を相当期間支払わず、又は借家権者が不明な場合には、法人が借家権を取得できる、といった、区分所有権に近いけど、全体の建物所有者は一つの法人というタイプの制度設計が必要ではないか。

 スウェーデンの住宅組合方式でもいいが、組合方式だが、やはり、ドライな経済合理性で建物所有を廃止したり、建て替えの判断をすることがうまくいかない可能性があるので、住宅組合方式の他に、法人所有方式が必要ではないか。

 今は、将来の様々なリスクを一つの主体が負うという形ではなく、区分所有でばらばらにすることによって、それを見えなくして、デベロッパーが超高層マンションを販売しているが、大規模修繕とか区分所有者が高齢化した場合の対応などのリスクをデベロッパーが隠して販売しているのは問題があると思う。少なくとも、通常の賃貸住宅と区分所有以外の形態の法制度を検討する必要があるのではないか。

(4)相続税の評価が土地建物が現金より安いということが、ちゃんとした賃貸住宅ビジネスを難しくしたり、空き家をショウジさせているので、土地建物の評価をきちんと時価にすべき。(p178)

 ちょっと、相続税対策の賃貸住宅を完全に悪者視していいかちょっと疑問だが、そもそも土地建物の評価は時価にするというのは筋のように思う。

(5)サービス付き高齢者住宅への補助は過大で、むしろ、多様な介護サービスを市場で購入できるようにすべき。(p199)

 これは、他の有料施設の供給不足の問題と一緒に考える必要がある。ただし、サービス付き高齢者住宅はそもそも、介護認定があがった時の次ぎの施設がないこと、そもそも自宅でできるだけ介護サービスを受けつつ、最期をみとるという方向を重視するというのもあるかなと思う。いずれにしても、単純に補助が手厚すぎると言い切る自信は自分にはない。

 あと、景観紛争のためのプットオプション履行義務つき開発許可制度(p86)や、被災地の開発許可制と譲渡可能開発権(p231)は、経済学者らしい提案だが、法制度の制度設計は非常に困難だと思うし、前者は効果が疑問、後者は、開発権が都市の他のところとか、他の都市に譲渡されるというのは副作用が大きすぎると思う。

 全体を通じて、最新の都市経済学者の指摘としてよく理解できたが、自分として是非取り組みたいと思ったのは、賃貸住宅市場の問題と区分所有法の問題かな?
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プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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