パットナム『孤独なボーリング』を読んで、社会関係資本を増やすための方策に都市計画の役割は意外と大きいと感じた。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2015/01/24

パットナム『孤独なボーリング』を読んで、社会関係資本を増やすための方策に都市計画の役割は意外と大きいと感じた。


孤独なボウリング―米国コミュニティの崩壊と再生孤独なボウリング―米国コミュニティの崩壊と再生
(2006/04)
ロバート・D. パットナム

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 社会関係資本、地域コニュニティ論の古典ともいうべき本。いろんな本で引用されているので、厚い本だが頑張って読んだ。やっぱり原典を読むと違う。

 社会関係資本はパットナムが使い出した用語だが、人と人とのつながり、地縁的なつながりから、一定の目的をもったアソシエーションまでを含んだ概念。

 米国のデータでは、社会関係資本が厚い地域だと、犯罪率が下がり、大学進学率があがり、健康な人が増え、幸福感が高まり、脱税が減り、地域の企業の生産性もあがるという効果がある。(第4部)

 しかし、1970年代頃から、地域での友人を招くような活動から、教会に行く回数、PTAなどの参加率などが急激に米国で下がったという。その原因分析を豊富な社会調査データから、世代変化、娯楽としてのテレビ、郊外化、時間と金銭面でのプレッシャーと分析している。

 ちなみに、この分析は、20世紀までのデータなので、そもそも社会関係資本が現時点で急激に減少しているかどうかについて異論もあるし、その原因分析にも異論がある。

 むしろ、重要なのは、著者が、19世紀の南北戦争から1910年ぐらいの間の技術革新、都市化の中で一度、社会関係資本が衰退して(きんぴかの時代)、その後、1920年代から30年代(革新主義の時代)に、現在の参加型の多くの非営利組織が成立したように、結社活動が活発化して、社会関係資本が再生した歴史を振り返っていること(第23章)を踏まえて、社会関係資本の再生の方向性を示していることにあると思う。

 やや、わかりにくい点もあるが、

第一に、市民参加、橋渡し型(結束型の対比で人と人をつなぐネットワーク型)の社会関係資本を祖父母の時代よりふやすこと、第二に、米国の職場が家族と地域のコミュニティの親和性を増すこと、第三に、通勤時間を減らし、歩行者がやさしい空間をつくりこと、コニュニティデザインと公共空間の利用の促進、第四に宗教面での大覚醒を引き起こすこと、第五に市民参加を強化する新しい電子エンターテイメントとコミュニケーションを育てること、を提案している。(第24章)

 この中で、第三の都市計画に係わる部分が、一番政策的に実施しやすいし、政府や行政が対応しやすい部分だと思う。

 日本においても、防災、福祉、小規模なインフラ管理、地域交通の維持など広い分野で共助という観点から社会共同体の位置づけが見直され、そして再生の必要性が高まっていると思う。

 もちろん、行政の仕事を押しつけるという意味ではなく、限りある財源の中で公助、自助だけでなく、公助の機能の活性化して国民の幸福を実現するという視点が重要だということを前提にしつつ、社会関係資本を活性化するための都市計画、地域計画などの重要性について、強く再認識した。

 名著。
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プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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