山下祐介『地方消滅の罠』を読んで、山下先生が本気で増田レポートに対して怒っている。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2015/02/01

山下祐介『地方消滅の罠』を読んで、山下先生が本気で増田レポートに対して怒っている。


地方消滅の罠: 「増田レポート」と人口減少社会の正体 (ちくま新書)地方消滅の罠: 「増田レポート」と人口減少社会の正体 (ちくま新書)
(2014/12/08)
山下 祐介

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 山下先生は首都大学の社会学の先生。被災地復興に尽力されている。

 先日の土木学会講堂での講演会でお会いした時にこの本をいただいた。

 通読して、共感できる部分もあるけど、小生は増田レポートでの提案されている施策がそれほど現在の政府の政策には反映されていないように思っているので、やや楽観的な面もある。

 山下先生の批判でそうだなと思う点。

(1)首都圏集中を是正するといいながら、地方中枢拠点都市に人口のダムをつくるという発想は、矛盾するし、現実にも別に30万都市ぐらいでは、人口をためる機能にはなっていないと理解している。拙稿では総務省が提唱している定住自立権構想の中心市がほとんど人口減少都市であることをデータでしめした。http://www.minto.or.jp/print/urbanstudy/pdf/research_06.pdf

(2)農山村集落は簡単には消滅しないし、消滅を誘導すべきではない。また、地域自立的に地域経営をする取組が小田切先生が分析するようにかなり進んでいて、地域自立的に生き残る動きを抹殺する必要性もまったくないし、むしろその動きをもっと応援すべきと考える。
http://shoji1217.blog52.fc2.com/blog-entry-3139.html

(3)国土のグランドデザインが集落を小さな拠点に集めると主張したり、コンパクトシティ構想が選択と集中の手法と考えるのはおかしいというのも十分理解できる。そもそも、集落を小さな拠点にあつめる、あるいは市街地の外延部を縮小させて中心部に住宅を移転させる仕組みは現実にはほとんど存在せず、まして居住の自由があることから、強制的に移住されることも原則できない。目的もはっきりしないが、手段も不明確だと思う。この点についても拙稿で既に論じた。
http://www.minto.or.jp/print/urbanstudy/pdf/u59_01.pdf
http://www.minto.or.jp/print/urbanstudy/pdf/u59_02.pdf

(4)なお、選択と集中をすべき、特に国の財政資金を集中投入すべきは、東京都心であって、東京都心はシンガポールや香港にそのアジア中枢拠点を奪われつつあるので国策として強力に支援すべきと考える。

 要は増田レポートとか国土のグランドデザインなどで誤解を招いているのは、選択と集中というのは純粋に経済原理に基づいてグローバル経済の中で勝ち残っていくための、東京都心(又はその他のいくつかの大都市)で必要となる政策目標であり、それ以外の地域はできるだけ地域内経済循環を活溌にして、地域経済を自立するとともに、農山村集落でも地域共同体組織が力を合わせて生活環境を共助の力で維持していく、というローカルな地域経済への対応策だと考える。

 これをごっちゃにして、グローバル経済の用語を使ってローカルな経済を語るから、無理があるし、農山村集落を切り捨てるのかという議論がでてくる。農山村集落を切り捨てていいはずがない。市町村が財政が厳しくなって行政機能が十分でなくなっても、地域共同体が自立して助け合いながら生活環境をまもっていくのであれば、市町村であってもなんの文句をいう理由はないし、国土構造上もむしろ地域自立型の地域がきちんち根付く方向が、より現実味がある構想だと思う。

  増田さんは個人的によく存じ上げているが、論理の整理、政策の展開がやや雑なんだと思う。そんなに陰謀論的なことはないと思う。

 もちろん、山下先生がそういう観点から批評をされるお気持ちもよく理解はできる。
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プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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