ジム・ケメニー『ハウジングと福祉国家』を読んで、欧州ではこんなに社会科学分野で住宅政策を議論していることを知らなかった。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

--/--/--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
pagetop

2015/02/09

ジム・ケメニー『ハウジングと福祉国家』を読んで、欧州ではこんなに社会科学分野で住宅政策を議論していることを知らなかった。


ハウジングと福祉国家 居住空間の社会的構築ハウジングと福祉国家 居住空間の社会的構築
(2014/12/12)
ジム・ケメニー

商品詳細を見る


 水村先生にご紹介いただいた。スウェーデンの社会学者の本。

 まず、最初に、ヨーロッパでこんなに分厚い社会科学で住宅政策を議論するグループが存在することを知らなかった。

 日本だと、建築分野の早川先生とか巽先生の流れとあとは都市経済学での住宅は市場に任せろという議論以外、ほとんど住宅政策をまともに議論している学者を知らない。(例外は平山先生か?)

 この本は、かなり社会学での理論的枠組みから議論していて正直理解できない部分もある。

 つまみ食い的な紹介だが、ローズの世帯と市場と国家という主体を福祉や住宅の供給主体として考える点、それにジョンソンのボランタリー組織やインフォーマルセクターを追加する指摘が重要だと思う。(p124)

 第二に協同主義と私事主義を軸にして考えて、前者が強いスウェーデンは福祉国家、高度に発達した公共交通機関、賃貸、コレクティブハウジングが特徴となり、後者が強いオーストラリアでは、貧弱な福祉国家、都市分散、持ち家、その間がイギリスという分析。(p194)

 これが多分この本で一番特徴的な持家率が高いと社会保障支出が低いという相関分析(p197)と一緒に考えると、もしかしたら持家誘導策が、低い福祉国家とか、自動車優先社会を招いた可能性もあるなと感じた。この因果関係はよくわからないが、私事主義が強い、自分のこと、自分の家族のことを第一にして、社会の協同、地域の協同とあまり考えない思想と持家がリンクしている可能性があるとすれば、住宅政策の影響は大きいなと思う。

 もう一つ、スウェーデンでのコレクティブハウジングへの計画的な取り組み、特に、近隣住区論とセットに都市計画の枠組みで共同施設と一定の低層集合住宅(この本ではフラットという用語)をセットにすることによって、地域共同体による見守りとか女性の家事負担による社会進出を目指したという取り組みも大変興味深いと思う。

 日本の場合には、基本的に市場で取引される財として住宅を位置づけ、所得配分の一種として公営住宅をセーフティネットとして市場取引の例外として位置づけているが、社会制度、例えば、福祉制度とか女性の社会進出などの観点から住宅や都市計画の在り方を考え、政策を現実に実施したスウェーデンの歴史はおもしろい。

 市場前提の自由主義的な発想がけでなく、もう少し社会民主主義的な社会の底辺を支援する発想から住宅政策を見直す必要を痛感する。
スポンサーサイト
pagetop

コメントの投稿

非公開コメント

pagetop
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
電力使用状況&電気予報
プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

FC2カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。