イアン・カーショー『運命の選択1940-1941 上下』を読んで、歴史の転換点での指導者の個性の役割も大きいと知る。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2015/02/12

イアン・カーショー『運命の選択1940-1941 上下』を読んで、歴史の転換点での指導者の個性の役割も大きいと知る。

 
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 新聞か雑誌の書評で紹介されていた。

 1940年から1941年というヒットラーがポーランドに進出して第二次世界大戦が始まり、翌年に真珠湾攻撃で日米及び米独が戦争状態になった時代の、チャーチル、ヒットラー、ムッソリーニ、近衛、東條のその時点で意思決定プロセスを丁寧に分析した本。

 なんとなく、今から考えると、チャーチルは頑強な精神と意志力で一貫した対独占を戦い、ルーズベルトはチャーチルと協力して、ドイツ、日本に対抗していったと思いがちだが、その時点、時点での判断は結構、揺れていて、世論などにも影響されている。

 チャーチルは、戦時内閣を設立した時点では政権基盤が弱く、融和的なチェンバレンやハリファックスと激論を交わして、融和論やイタリアに仲介を頼むなどの案を押さえて、やっとのことで、対独戦に対して強硬な戦略をとることに成功した。

 ルーズベルトも、世論の動向に注意しながら、世論調査の結果を踏まえて、イギリスに武器を貸与するなど、当初あった中立法を少しずつ緩め、ドイツとの間の、でっちあげに近いグーリア事件などで世論をあおって、イギリスへの支援を決めていく。日本に先に真珠湾で手を出させたのも、世論操作によって、議会での宣戦布告が可決されるための、作戦だった。
 このあたりは、実は,ベトナム戦争のときのトンキン湾事件などを同じ構図。

 ムッソリーニも、ヒットラーの枢軸国内での指導力に不満があって、ヒットラーに黙って、ギリシャで戦線を開いて、結果として、ドイツの援助を仰ぎ、バルカン半島にドイツ勢力を引き入れてしまう。また、イタリアはムッソリーニの上に国王が存在していて、それが1943年のムッソリーニ退陣につながるなど、戦力も乏しいが政権基盤も弱かった。

 日本の開戦時の政治構造、無責任決定システムと空気をよむシステムの話には、特段目新しいものはない。丸山真男の分析の方が鋭いか?なお、ハルノートの強硬な文書提出の背景には、アメリカ国務省と中国蒋介石との調整結果で、開戦時期をおくらすために融和的な文書をだすという戦術が蒋介石に否定されたという事実は、どこかで読んだ記憶があるが、この本でも指摘されている。

 ヒットラーの決定システムにも目新しいところなし。あえて言えば、真珠湾攻撃まで、ルーズベルトの対英支援に対して、アメリカを挑発しないよう、Uボートの攻撃なども制限していたが、その鬱憤がたまって、本来、日独伊同盟では、日本が攻撃を始めたときにドイツには参戦義務はなかったが、ヒットラーの感情的判断で、アメリカに宣戦布告をしたことか。

 いずれの判断も、その時点、その時点では、結構、判断の幅が狭くなっていることがよくわかるのと、それでも、指導者の個性で違う人が指導者だったら、決断の内容が多少異なっている可能性もあるなと感じだ次第。あと、現時点で、日本でも世界でも指導者がいろいろ判断に悩んで苦労している姿が報道されるが、第二次世界大戦当時の有名な指導者でも同じ状況だったことを知ることも大事だと思う。

 客観的に、その時点での指導者の判断プロセスを丁寧に追った本。
 
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佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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