国枝昌樹『イスラム国の正体』を読んで、元外交官の本だが、池内恵さんや酒井啓子さんの本の方が深みがある。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2015/02/15

国枝昌樹『イスラム国の正体』を読んで、元外交官の本だが、池内恵さんや酒井啓子さんの本の方が深みがある。


イスラム国の正体 (朝日新書)イスラム国の正体 (朝日新書)
(2015/01/13)
国枝昌樹

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 元外交官の本。まじめな本だが、池内さんの政治思想史や酒井さんの歴史的な分析などに比べると、なんとなく皮相的な感じがする。だだし、元役人が書いた本としてはいい水準だとは思う。

 以下、引用。

(1)(位置No. 135-138)
イスラム国は1916年にイギリス主導でオスマン帝国をイラク、シリア、レバノン、ヨルダンに分割したサイクス・ピコ協定に強く反発しているのです。つまり、イスラム国は「カリフ制の復活」と「(欧州が定めた)国境の廃止」を主張している「国家」といえるわけです(第3章図参照)。

(2)(位置No. 364-369)
また、イスラム国は、軍人・バアス党党員・イスラム主義者のハイブリッドだといわれています。  イラクのサダーム・フセイン政権時代の元軍人や行政官・政治家だったバアス党の出身者が多くいて、こちらは同じイスラム教スンニー派でも世俗主義です。一方はイスラム主義の中で「サラフィー・ジハード主義」という、コーランが生まれた7世紀当時のイスラム社会を再現しようとしてコーランを厳格に解釈し、それを実行するためには武力闘争をいとわないという原理主義を信じる人たち。世俗主義者と原理主義者という「異種」がひとつの組織を形成しているのです。

(3)(位置No. 540-542)
つまりイスラム国は、アメリカ軍の最新鋭の武器を含め、敵対勢力から奪った武器を使用して攻勢を強めたわけです。イスラム国の壊滅を目指して新たな武器を投入すればするほど、イスラム国の攻撃力が充実するという、じつに皮肉な状況といえます。

(4)(位置No. 611-614)
イスラム国は、軍事的に群を抜く存在だとはいえないでしょう。大きな理由は、外国人戦闘員が増え、いわば「烏合の衆」になってしまっていること。烏合の衆がすぐに軍隊として力を発揮できるかといったら無理です。相応の訓練が必要です。

(5)(位置No. 685-687)
フォーリー記者をはじめとして、人質たちはオレンジ色の服を着せられ、殺害されました。あのオレンジ色は、アメリカ軍のテロリスト刑務所であるキューバの「グアンタナモ湾収容キャンプ」の囚人服に似せたものといわれます。

(6)(位置No. 727-732)
2014年10月に「イスラム国」がイラク北部のモスルとシリア東北部のラッカで「奴隷市場」を設立したという国連の報告がありました。奴隷として販売されているのは、クルド系少数派のヤジディ教徒や少数民族アッシリア人のキリスト教徒の女性や子どもなどで、売値は約10ドル。これによって、兵士が集まりやすくなるというのです。  ヤジディ教はゾロアスター教やイスラム教、キリスト教などが混ざった教義をもつといわれ、長く迫害されてきた少数派です。クルド人の一部が信仰しています。

(7)(位置No. 786-789)
信仰のうえで両派の違いが顕著なのは「偶像崇拝」に対する考え方といわれます。スンニー派はこれを強く忌避しますが、シーア派はあまり気にしません。イラクの隣国イランはシーア派の国で、街頭に指導者の大きな顔写真が張り出されています。

(8)(位置No. 1472-1474)
なぜ彼を最初に取り上げるのか。じつはこの大思想家イブン・タイミーヤこそ「シャリーアから逸脱した『不信仰者』は『ジハード』の対象である」と宣言した、初めてのイスラム法学者だからです。

(9)(位置No. 1963-1966)
21世紀のアラブ世界にとっての最大の脅威は、イスラエルではなく「イラン」なのです。ビジネス面でも安全保障の面でも。そのイランは、湾岸諸国にとっての脅威であるのみならず、イスラエルにとっての脅威でもある。いまやイスラエルと湾岸諸国の利害は一致している

 ね、なんとなく皮相的な感じがするでしょ。
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プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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