ピンカー『暴力の人類史 上』を読んで、定量的な暴力の実態及び要因分析はすごい。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2015/02/16

ピンカー『暴力の人類史 上』を読んで、定量的な暴力の実態及び要因分析はすごい。


暴力の人類史 上暴力の人類史 上
(2015/01/28)
スティーブン・ピンカー

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 HONZや池田信夫さんの推薦。大著。半分まで読んだ。

 著者はハーバード大学の心理学の教授。

 暴力に関するきちんとしたデータをできるだけ集めて冷静に分析してみている。

 結構、深刻な資料だが希望が持てる側面もある。

(1)人類は考古学の化石のデータや類人猿の観察結果、未開部族の観察などから、先史時代ではなわばり争いに明け暮れていたこと、いわばホッブス状態、そして、その殺人や戦争による死者が、歴史上のデータから、国家機構が存在してからは、激減し、今でも減少傾向にあること。(p117)

(2)中世の殺人や戦争による死亡が現代まで継続的に減少した理由として、文明化、大きくわければ、国家による暴力の独占、職人ギルトと官僚制、貨幣取引による対外取引の活発化、技術進歩、遠く離れた人との有機的からみあいなどが理由となっていると指摘している。(p159)

(3)上記の人口10万人あたりの殺人数は戦死者数の継続的な減少の背景には、印刷技術の向上に伴う書物の流行、識字率の向上、それに伴う他者への思いやりの気持ちの増加、都市化に伴う自由な印刷、発行による自由主義的な雰囲気の醸成、カントを中心とする啓蒙主義的な思想の流れが指摘されている。(p341)

(4)死者をだす戦争の発生確率と戦死者数はべき分布をしている。(ちなみにアメリカでは市町村の規模別数もべき分布)。(p387)

(5)宗教戦争、フランス革命戦争、第一次・二次世界大戦で突出した山をつくっているが、それ以降、戦争での戦死者は低下傾向にある。この要因としては、統計分析の結果、民主主義、自由な貿易、啓蒙主義が有意に有効と分析されている。(p516)

 この分析など、心強いし、将来に希望が持てる。

(6)テロについても、赤軍やイタリアの赤い旅団など、1970年代には大きなテロ事件を起こしたが、その目的を達成したものはいない。テロは、相手国民にまさに「恐怖」をもたらすために、わざと凶悪な映像をながすので、逆に、戦後、継続的にテロによる殺人事件は減ってきていること(9.11はその異常値であること)を統計上のデータとして正確に把握することが大事。(p633)

 テロに対しても、民主主義的な政治、啓蒙思想、開放的な経済など、長い歴史の中で戦争を減らしてきた要因が有効との分析結果がでてきている。

 上巻を読んだ感触としては、きちんとした統計データとその変化する要因を統計分析した結果、戦争やテロを減らすには、民主国家、経済の自由と開放的な経済、啓蒙主義的な思想が有効という結論は大変心強いと思う。

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プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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