大澤昭彦『高層建築物の世界史』を読んで、淡々とした歴史事実の記述に好感が持てる。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2015/03/07

大澤昭彦『高層建築物の世界史』を読んで、淡々とした歴史事実の記述に好感が持てる。


高層建築物の世界史 (講談社現代新書)高層建築物の世界史 (講談社現代新書)
(2015/02/19)
大澤 昭彦

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 淡々と古代から現代までの高層建築物の歴史とその背景を記述していることに好感が持てる。

 個人的な感想。

(1)権力の象徴としての高層建築物は、なんとなくやぼだし、もう、そういう時代ではないと思う。単純にいえば、政府(国であろうと地方政府であろうと)が無理して、世界一を目指して高層建築物やタワーを建てようとするのは、まだまだ冷静で知的な雰囲気が乏しい国がやることで、別に、先進国では高い建物があるからといってその政府に権威や従順な気持ちになるわけではない。

(2)経済原理で超高層の立地が有利な場所というのも、本当は極めて限定されているはず。東京都心とか、ニューヨークのマンハッタンとかロンドンのシティとか、ごく限られた地区で極めて濃密な人的、金融的、物的な交流が行われる地区に限って、そういう高層建築物が建てられてしかるべきだし、それは結果としてはオフィスビルの賃貸スペースとしてきちんと収支があうかで、市場が判断する。

(3)住宅の形態としての高層建築物は、賃貸住宅であれば、将来的な建て替えなどのリスクはオーナーが負っているので問題ないが、区分所有の場合には、立体的に空室や不適切な管理がされる部屋が増えてきたときに、エレベーターの管理など共用部分の管理がいきとどかなくなり、そのリスクは個々の区分所有者、要は個人が負っているのに、そのリスクをきちんと販売業者が伝えていないことに問題があると思う。

(4)電波塔の問題は、著者は触れていないが、衛星放送が進歩したときに、なぜスカイツリーがいるのかという論点が抜けている。要は東京発の番組を垂れ流していながらも地域の実力者となっている地方のテレビ局の存続という、市民に関係のない観点から、膨大な投資をして、それの改修を最終的には視聴者につけまわしている。もう、作ってしまったからどうしようもないが、本当は、衛星放送で全部のチャネルの放送を安価に流せるし、現実には離島などでは衛星チャネルで現在の地上波の番組を見ているという事実を踏まえると、なんとも、不合理な判断といわざるをえない。

(5)仮に、市場メカニズムで超高層建築物が必要とされるとしても、本当は、日本の国力からいって、東京都心部に限定してなんら問題ないと思う。阿倍野ハルカスなど無理して日本一の建築物をつくったが、大阪の経済力からいって過大だし、梅田北の開発などを考えると、既に十分オーバーフロアーだろう。

(6)都市計画の立場や国力、地域経済力という観点からは、超高層の建築を許容する地区を限定して、そこではインフラの負担もあわせて民間都市開発事業者が負担する、政府は融資や出資で応援するといった、政策としても持続可能な対応をすべきだろう。(出融資は資金が戻ってるので、次世代でも政策的経費として再利用できる。補助金で渡したら、なにも残らない。特に、インフラ以外の部分につかったら、次世代にストックとしても残らない)

(7)住宅の形態としての超高層マンションの在り方は、本当に次世代にとってふさわしいストックなのかについて、建築、都市計画、法学など学際的な検討が必要。単純に今マンションが売れるから作り続けるという発想はまずいと思う。
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プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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