井手英策『経済の時代の終焉』を読んで、新自由主義への移行の分析は的確、しかし今後の方向性には疑問あり。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2015/03/23

井手英策『経済の時代の終焉』を読んで、新自由主義への移行の分析は的確、しかし今後の方向性には疑問あり。


経済の時代の終焉 (シリーズ 現代経済の展望)経済の時代の終焉 (シリーズ 現代経済の展望)
(2015/01/30)
井手 英策

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 なんで購入したか失念。もしかしたら新聞の書評だったかもしれない。

 自分は役所に入った時が中曽根民活で、自分の役人人生がずっと新自由主義的な思想にもまれ、翻弄されてきた。

 そこは同時代的に経験しているのでよくわかるが、その歴史分析は極めて的確。

 1990年代から財政支出の増大に苦しんでいた欧州のうち、特にスウェーデンでの年金改革など現金支出の削減の動き、ドイツのビスマルク型社会保障からの脱却のもがきの分析など、ひかるものあり。(p140~)

 今後の提言について、「土建国家レジームからの脱却であり、生活の防衛、不安の解消によって社会のつながりを生み出す」という方向性(p225)には納得感あり。

 しかし、その具体的な方向として、対象を選別せずに、普遍主義でいくべきとの主張にはあんまり説得力がないと思う。

 経済成長が鈍化するなかで配分する場合に、ゼロサムゲーム的になって富をもつ人から社会の底辺の人に再配分をするという厳しい政策を実施するときに、所得配分に関係なく、広く再配分を行う政策が、社会のつながりを増すとは思えない。

 むしろ、あまり所得が増えない、収益があがらない個人や法人から税金でむしりとって、配るのだから、本当に苦しい人、困っている人に配ってほしいというのが人情だし、そうでなければ、そもそもそんなことのために税金とらないでほしい、ということになると思う。

 もちろん、対象の絞り込みで社会の底辺の人が救えなくなってはいけないし、今のように高齢者に支援が偏って、非正規や職業につけない若者や母子家庭などにきちんと手当をすることは当然だと思う。

 「経済をかいならそう」という結語(p242)も、市場経済を全否定することはできないし、世界と競争する部分も避けて通れない、その中で、一定の所得を国民全体であげていきつつ、社会の底辺に暖かいまなざしと必要な支援を現物と現金の双方で行っていくというのがバランスのとれた考えではないか?

 慶応の経済の先生に経済社会学というグループがいるようなので関連しそうな参考文献をいくつか読んでみたい。

 参考文献『租税抵抗の財政学』(岩波書店)、『危機と再建の比較財政史』(ミネルヴァ書房)
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佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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