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2015/03/30

『これからの建築理論』を読んで、槇、磯崎、原の対談はおもしろい。


これからの建築理論 (T_ADS TEXTS 01)これからの建築理論 (T_ADS TEXTS 01)
(2014/12/29)
東京大学建築学専攻 Advanced Design Studies

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東大の建築学科が、なんか新しい動きをしているらしい。

 隈先生が中心になって、新しい建築教育や建築理論を打ち出す、触媒機能を生みだそうとしているようだ。

 この本は、そのとっかりの講演会とインタビューをまとめたもの。

 やや高踏的。建築デザインはクリエイティビティが重要だから、いろんな哲学や政治思想など、より深い思考なり流行から刺激を受けて、インスピレーションを働かすという思想形式をとるのかな、と思った。個人的には、僕は、現実の政治や政策の背後にどういう、政治思想や哲学の流れ、歴史学の思想があるのかを考えているので、ちょっと、哲学や政治思想のとらえ方、とらえる方向性が個人的には違うなと思う。

 僕なりに、感じた、勝手な感想。

(1)要は建築理論というのは、建築をする前提となる社会思想のようなもの、OSといってもいい。それは、学問や政治思想で一番早く進歩しているところに将来の可能性がある。原先生が言っているように、一つは宇宙物理学と量子力学の統合の可能性とダークマターの発見の可能性、あとは、生物進化学や生化学の分野だろう。そういう科学の大きな動きをどう自分なりに理解して、建築につなげていくのか、という視点が重要だと思う。

(2)建築から都市への発言がなくなっている、という指摘も現実にはそのとおり。もっと空間計画への発言があってしかるべき。
 しかし、土木学からの都市への発言、政治思想や社会学からの都市への発言も減っているのではないか。目立つのは経済学、特に、市場主義からの都市への発言、もっと自由に開発させろ、高い建物立てさせろという発言。そこに欠けているものがあるはず。また、世界的な歴史学の流れからみての都市への発言ももっとあってしかるべきではないか。

(3)農村集落へのまなざしの欠如。原研究室で行っていたような、農村集落の分析、自然に配慮した絶妙な配置論など、もう一度見直す必要がある。そのような発想からしたら、安易に「コンパクト&ネットワーク」なんていえなくなるのではないか。

(4)槇先生のいう、共通の建築理論がなくなった現在は「共感」(エンパシー)が重要という指摘も重要だと思う。その空間での住民、市民の共感が空間の評価の大事な視点ではないか。その一方で、進化生物学的にいうと、「共感」というのはかなり人間の進化の中でもともとあった深い部分、宗教とかの発現の基礎になるもの。その意味では、いろいろ模索して、結局、もとに戻ったともいえる。

(5)建築と政治権力との関係は、槇先生が国立競技場で批判的に議論しているが、実は、建築家自体にその間合いと中立性を壊す勢力がいるのではないか。それは、都市計画家でも同じこと。権力の立場から設計するのか、住民、市民の立場から設計するのか、市民の立場で設計するといってどうやって飯を食うのか、という現実と理想のなかで、屈折した建築家の姿を直視すべきだと思う。

 いずれにしても、ビックネームを呼んで、若者よりもまだ進んでいる先輩の姿を見せつける教育というのは価値があると思うし、自分も自分自身の知識とか興味の範囲の狭さを痛感した。先輩たちは、よく異分野もよく勉強しているなと思う。

 都市計画家でもこういうことできないかな。伊藤滋、蓑原さん、あと、鳴海先生かな?ビックネームで都市計画理論を戦わせたら、ここまでの質の高い、奥の深い議論ができるだろうか。すぐ、おちゃらけないで、真剣に3人に議論してもらいたい。
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プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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