森政稔『変貌する民主主義』を読んで、今の政治思想について、具体的な回答はないが、自分で考える刺激にはなる。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2015/04/04

森政稔『変貌する民主主義』を読んで、今の政治思想について、具体的な回答はないが、自分で考える刺激にはなる。


変貌する民主主義 (ちくま新書)変貌する民主主義 (ちくま新書)
(2008/05)
森 政稔

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 日本の政治思想にどうしてこんなにリベラル思想が弱いのかという問題意識から手にとった。

 実は著者は駒場の語学クラスの同級。政治学科にいったので、ほとんど個人的なつきあいもなかったが、教養の時からなんか勉強している分野が全然違っていた。

 ちなみに、この本は著者自体が現在の政治思想について、いろいろ真摯に分析しているが、びしっと切れ味が鋭いものでもないし、最後にプツッと本が終わる感じ。でも知的刺激は非常に受ける。

 自分なりに論点というか、問いとして心に残った点。

(1)サッチャーやレーガンの思想は、経済的には新自由主義、政治思想的には保守主義だが、実は、新自由主義は保守主義が守ろうとしている、地域の共同体とか伝統を壊してしまうという矛盾を抱えていた。しかし、ケネディなどの時代に進んだ福祉社会国家論へのアンティデーゼとして保守主義の改革の中から生まれてきたこと。これに対応するリベラル勢力は、労働組合の組織率低下に伴い基盤が崩壊しつつあるのに、具体的な新しい動きが見られなかったこと。これはなぜなんだろうか?

(2)民主主義が多数決と高校レベルでは教えるが、一方で、少数派、マイノリティへの配慮も不可欠。これを否定すると全体主義になってしまう。そもそも多数決で決める政治を追求すると、少数意見の排除につながり、民主主義の基盤を突き壊す可能性がある。これをどう防いでいったら良いのか?

(3)グローバル経済の中で、逆に国民国家、ナショナリズムの動きが強まっている。ちょうど、世界各国がクリケットと野球と相撲をやっていれば、ナショナリズムも高揚しないのに、サッカーという簡単に貧乏でも参加できるスポーツが世界共通のスポーツとして人気を博した途端に、ワールドカップでナショナリズムが高揚する。この一見矛盾した動きを自分は的確に捉えていたのか?

(4)自由主義というのは、ケネディころまでは、表現の自由とか報道の自由など、人権から語られ、リベラルの思想の基軸だったのに、サッチャー、レーガンの時代に経済自由主義、市場主義に完全に乗っ取られてしまった。これはなぜだろう?

 民主主義という仕組みは、多数決と全体主義の論点など、内在的にもろい点がある。また、選挙権とナショナリティなども限界がある。そういうもろさを認識したうえで、これ以上にましな制度はないというチャーチルの言葉をかみしめて、どう民主主義を守っていくかという、政治思想的な訓練が、いつの時代でも常に必要だと痛感する。

 森くんの最近の本も読んでみる。『政治的なものの遍歴と帰結』(青土社)
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佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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