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2015/04/05

竹内洋『革新幻想の戦後史』を読んで、日本のリベラル思想って、結構底が浅かったというか、もともとふわふわしてた?


革新幻想の戦後史革新幻想の戦後史
(2011/10/22)
竹内 洋

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 著者は、発刊当時、関西大学の社会学の先生。

 著者の自分史を交えながら(京大教育学部から生命会社、結核療養、大学院復帰などなど)、知識階級、知識人、インテリ、進歩的文化人と称される戦後のグループを社会学の道具を使いながら分析。

 特に、平和主義、安保反対、基地反対と共産党又は社会党に共感を寄せた有名大学の大学教授についての批判的分析が並ぶ。

 読み物として面白いのと、小熊英二『民主と愛国』を同じ視点ながら、より戦前と戦後の連続性を指摘している。

(1)大きな視点としては、西洋史学者の野田宣雄氏の論文を引きつつ、「欧州は第一次世界大戦後、フランス、イギリスで、平和主義、理想主義が蔓延して、それがヒットラーの進出を許した経験から、第二次世界大戦後は、欧州は理想主義に疑念をいだき、極度に現実主義になった」のに対して、「日本は、第二次世界大戦後に一周遅れ」で、理想主義に傾いた。(p404)

 その意味では、今日本は遅れてきた現実主義かもしれない。

(2)戦後、直後は共産党支持が強く、その後、共産党がソ連の指示により武装闘争を始めて国民の支持を失って、生じた思想的空白に、戦争を悔恨した「悔恨共同体」的な戦後最初のリベラル、丸山真男とか大塚久雄などのグループ、進歩的文化人が主流になった。その後、安保闘争、大学紛争を経て、右はニューライト、福田恆存などから攻撃され、左は、新左翼から攻撃されていって力を失う。ちょうど、雑誌「世界」が売れなくなり、大学生が読まなくなった傾向と重なる。

(3)朝日新聞の早野透が、「進歩的文化人の後裔は、コメンテイター、キャスターだ」という。著者の分析では、「彼らはデュルケームの言葉で言えば、「社会的事実」、ケインズの「美人コンテスト」のメカニズムのように、国民の多数がそう考えるであろう意見を考えて、その意見をいうということに長けている。」まさに予測の予測を繰り返してる。それが最近のコメンテイターの「わかります。よーくわかります。首相(ここは大臣でも社長でもいい)は何を考えているのでしょうか。………次ぎへいきます。」という台詞を繰り返すことになる。(p310)

(4)大学紛争は日大全共闘から始まるが、実は日大は1930年に同じような大学の管理条件、特に劣悪な講師陣のレベル改善を求めてストライキを行っている。特に戦前の私大では教育環境がひどくストライキが頻発した。それが収まったのは徴兵猶予が切れた1943年。
 その後、戦後は、大学のアカデミズムが戦前に圧迫されていた反動で、戦前の戦争協力学者の大半がマルキストになって大学に復帰し、さらに大学の新増設で在野知識人が簡単に大学教授になって、レベルの低い教育、マスプロ教育を行う。その後、私大の大学授業料の引き上げをきっかけに、戦後の大学紛争につながる。(p402)

 今の、厳しい大学院卒業生や博士の就職難を考えると、戦後しばらくは夢のような状況だったんだと痛感。しかし、問題が繰り返すところに、何か根っこで解決できていない問題があるように思う。

 あと、この本で記述している点で重要だと思ったのは、近衛のブレーン、全体主義的主張を行った昭和研究会のメンバーに蠟山政道、笠信太郎、三木清などがいて、丸山真男氏が特に自分の恩師である蠟山氏の批判を意図的に避けていること、1953年に共産党が支配していた県教職員組合が主導して、京都市の旭が丘中学校事件(教育委員会の異動を無視して自主管理、教育委員会の主導する学校との分裂授業となった事件)を引き起こしたことなど、歴史的事実をきちんとおさえておきたい。

 最近、とみに思うのだが、森政稔くんの「変貌する民主主義」など含蓄と考察は鋭いが、メインの政治学者ではないし、社会学者のこの竹内氏とか小熊氏など、社会学者の政治思想史分析に切れ味を感じる。

 この本を読んだ感想からいうと、日本は戦争を悔恨する丸山真男とか大塚久雄などのリベラル知識人がもてはやされたが、あまり社会の基盤までその考え方が沈殿するまでに(そもそも丸山真男氏などはやや高踏的なところがあり沈殿は期待していないのかもしれない)、左右から攻撃されて、リベラル論壇は、崩壊しつつあったということかな?と思う。

 しかし、実は、東大の法学部や経済学部ではなくて、文学部の社会学など、政治思想の周辺分野から、実は、新しい、現実的で実務的で、かつ、強靱な政治思想が生まれつつあるのかもしれないと最近思いつつある。もう少し、政治思想史の勉強を続ける。

 追加してよみたいと思った本・論文。福田恆存「一匹と九十九匹」、小田実『日本の知識人』、小熊英二『1968 上下』
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プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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