落合敦思『殷』を読んで、唯物史観にとらわれずに甲骨文字を分析する日本の歴史学は強い。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2015/04/12

落合敦思『殷』を読んで、唯物史観にとらわれずに甲骨文字を分析する日本の歴史学は強い。


殷 - 中国史最古の王朝 (中公新書)殷 - 中国史最古の王朝 (中公新書)
(2015/01/23)
落合 淳思

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 著者は立命館の研究員。

 立命館と言えば、白川静先生の膨大な甲骨文字研究が有名。

 著者も、殷王朝について、史記などの文献記録は、1000年以上経ってから書いたもので正確性がないとして、直接甲骨文字を読み込んで、さらに最新の考古学の情報を整理して、新しい殷王朝の歴史を提案している。

 このように、唯物史観とか本来信頼性のない歴史的文献を離れて自由に日本の学者が中国の殷王朝を分析して、説得力ある新説を打ち出していること自体がすばらしいと思う。

 まとめは著者が終章で整理しているが、簡単にいえば、紀元前16世紀から前14世紀までは比較的安定していたが、前14世紀から100年ほどは分裂状態で、その後、武丁という王によって再統一された。

 武丁の統治は、分権的なもので、地方の都市を間接統治していたこと、日帰り圏での狩猟を一種の武力の威圧的行動として使っていたことなど、具体的でわかりやすい。

 殷の祭祀では、家畜以外に戦争での捕虜も生け贄にした。しかし奴隷制を引いていた証拠はない。

 紀元前11世紀に入ることから、集権化が進み出し、それと同時に王朝も不安定化してきた。ただい、後世の文献が示すような酒池肉林の生活を王が送ったわけではなく、祭祀、狩猟、武力の威圧的行動などを繰り返し行ってきた。

 殷王朝の現在まで続く財産としては、一つは漢字、二つ目は祖先崇拝、三つ目は都城の建築などがある。

 いずれにしても、日本の学者がここまで説得力ある、殷王朝の時代分析の新説を打ち立てたことは非常に日本の学者の層の厚さを物語るもので、中国に比べてみて、自由な研究環境の成果ともいえる。
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佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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