ウォーラステイン『近代世界システム Ⅲ』を読んで、従来の産業革命の見方を違う視点がおもしろい。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2015/04/13

ウォーラステイン『近代世界システム Ⅲ』を読んで、従来の産業革命の見方を違う視点がおもしろい。


近代世界システムIII―「資本主義的世界経済」の再拡大 1730s-1840s―近代世界システムIII―「資本主義的世界経済」の再拡大 1730s-1840s―
(2013/10/10)
I. ウォーラーステイン

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 ウォーラステインの『近代世界システム』のⅢ冊目。

 第二巻は、スペインからオランダ、そしてイギリスへのヘゲモニー国家が移ることを分析。

 第Ⅲ巻は、18世紀から19世紀初頭と、通常考えられる、産業革命、フランス革命、アメリカ独立戦争など、大きな世界しすてむに変化があった時代を扱っている。

 しかし、ウォーラステインは、転換点というよりは、近代の世界システムが、南北アメリカやオスマントルコ、ロシア、インドを取り込んでいく過程と分析している。

 特に、産業革命の分析がおもしろい。

 産業革命は、農地囲い込みによる余剰労働人口、紡績機や蒸気機関による技術革新などで、イギリスを最初に起きたと分析するのが通常の世界史の教科書ののべ方。(例えば、「詳説世界史研究p330以降)

 しかし、著者は、農地の囲い込みはフランスにもあったし、新しい技術は別にイギリスに閉じたものではないことを指摘。むしろ、七年戦争の結果、強力な国家機構を維持したイギリスが、自国の紡績業を守るためにに関税、奨励金などの支援を行ったこと、これに対して、フランスは国家財政が破綻しており、重税を課そうとしてフランス革命がおき、それによって、国内産業を支援できなかったこと、アメリカ独立戦争を支援したことも、結果としては、独立したアメリカはイギリスとの通商を重視して、経済的なメリットがなかったことを重要な事項と指摘している。(主に第二章)

 要は、これまでの通説は、きちんとした世界経済のデータを分析しておらず、世界的な経済データを分析すると、従来の仮説は成立しないとの主張。ややフランスの肩をもった主張にも思えるが、国家の制度的枠組みや政策が意外と将来的に大きな国力の差をもたらすということは、いろんな政策の警告として受け止める必要がある。

 インド、オスマントルコ、ロシアなどの世界システムへの「取り込み」の分析も、過度に経済分析だけでなく、例えば、インドの綿産業はイギリスへの輸入に高関税をかけて意図的に破壊した点(p173)、オスマントルコはオーストリアとロシアから帝国の存在をイギリスに保護してもらう代わりに、1838年に、イギリス・トルコ通商協定を結ばされ、トルコへの輸入低関税によってトルコ国内の製造業が壊滅状態になった点(p195)など、国家戦略によって「取り込み」が行われた点を強調しているところに特徴がある。

 ヘゲモニー国家の周辺国への抑圧的な政策、搾取的な政策の歴史をきちんと知ることができて、第Ⅲ巻も有意義。
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佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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