内海麻利『まちづくり条例の実態と理論』を読んで、法学者の本のように法理論の理解と分析は緻密。 - 革新的国家公務員を目指してー自由と民主主義を信じ国益を考えるーAiming at the innovative official

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2015/04/24

内海麻利『まちづくり条例の実態と理論』を読んで、法学者の本のように法理論の理解と分析は緻密。


まちづくり条例の実態と理論―都市計画法制の補完から自治の手だてへまちづくり条例の実態と理論―都市計画法制の補完から自治の手だてへ
(2010/03/19)
内海 麻利

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The writer, Dr.Uchiumi is the professor of city planning in KOMAZAWA University, but she has wide knowledge of city planning law and relative local government acts. I strongly impressed her viewpoint of 'scientific rationality' and 'social rationality'. The former is supported by city planning engineers and the latter is supported by citizens and residents. Both are very important to stabilize the city planning systems. Japanese government has to take this fundamental point to enact laws regarding to urban environments seriously.

 今度、内海先生に会いに行くので、事前勉強として読んでみた。

 都市計画法と条例の関係については、以前は法学者もよく議論をしていたが、法律に書いてあることに明確に反してなければ、条例の効力を否定する議論はほとんどないと思う。また、先生も指摘しているように、委任条例と自主条例を組み合わせて使い事例も多いし、それを国も推奨していると思う。

 自分は、先生の指摘している専門家による「科学的合理性」と市民、住民からみた「社会合理性」という観点(p326)で、ちょっと考えることがある。

 都市計画法は、現在、地方公共団体の自治事務として、都市計画案について一定の住民手続き、市町村又は都道府県都市計画審議会の意見をもらって、地方公共団体が都市計画決定するというのが、法律の枠組み。

 これは、もちろん、国民の代表である国会が制定した法律に基づいていることから、そこで、民主制に基づく仕組みとなっているが、都市計画の専門技術的な側面と、比較的影響が狭い範囲の住民に集中することを考えて、都市計画審議会と住民や利害関係人からの意見書提出、それをさらに審議会で議論するという形で、専門家の役割と関係する住民や地権者の意見を重視する仕組みとなっているとも評価できると思う。
 ドイツの建設法典のように条例化なり議会承認を必須とすべきとの議論もあるが、自治事務なので、地方公共団体が都市計画案を議決することは可能で、市政に大きな影響のある都市計画案は議会に説明したりしているようだが、議決まではしない市町村が多く、以前、市町村の担当部長に意見を聞いたときも、議決の義務づけには消極的意見ばかりだった。

 これは、一つは、議会の議決にすると、都市計画というかなり市町村の特定の地域に影響がある計画案に対して、市の全域から選ばれた議員が判断することになり、「社会的合理性」が保たれないこと、二つ目には、議会には事実上専門的技術的判断が期待できないので、「科学的合理性」も期待できないから、と頭を整理することができると思う。

 この例外的な措置の事例が、内海先生が批判的に紹介している、「地下室の容積一部不算入」の1994年建築基準法改正、「建築物の共用部分の容積率不算入」1997年建築基準法改正だと考えることができる。

 このような建築基準法そのものを変えてしまって全国の都市計画区域内のすべての敷地について容積率を一気かつ機械的に増やすというのは、国会での法律改正という民主制の根本という手続きをとっているとはいえ、個別の敷地の周りの利害関係者などの意見を具体的に反映することはできず、また、法律案提出には国の審議会の議決は制度的には不要であることから、専門家の意見の反映も制度的にはないことから、都市計画法制が苦心してつくってきた「社会的合理性」「科学的合理性」の議論を覆す側面があるともいえる。

 それを当面条例という形で、斜面住宅などの問題の発生を慌てて、地方公共団体が阻止したということだともいえる。やはり、建築基準法そのものをかえて、全国一律で個別の市町村の判断ぬきに、また、個別の事情に対する住民や専門家の意見反映なしに、規制を緩和することには、原則慎重であるべきだと思う。

 その他、重要な論点と思った点。

(1)要綱による住民同意を求める点について「同意制は事業者との金銭授受を誘引しやすこと」「同意を求める私人が不適切な場合や調整能力がない場合があること」「同意過程が不透明であること」から、住民同意は条例化しても違法とのべている点。(p66)

(参考文献)大方潤一郎論文(都市計画272号)、阿部泰隆『行政システム 上』、北村喜宣『行政法の実効性確保』(以上2冊は同意条例関係)
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プロフィール

佐々木晶二

Author:佐々木晶二
現役国家公務員(現在研究休職中)です。
早朝、毎日、一冊以上の読書を目指しています。
今は、平日は、都市計画と東日本大震災関係の本を読んでいます。
休日は、海外情報、古典、歴史など、幅広く教養をつけるための本を読んでいます。

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